蘇ったケルテスの名盤
ボヘミアン・ラプソディ
曲目/
スメタナ
1.歌劇「売られた花嫁」~序曲 06:28
2.歌劇「売られた花嫁」~ポルカ 05:29
3.歌劇「売られた花嫁」~フリアント 02:20
4.交響詩「モルダウ」 11:07
ドヴォルザーク
5.スラヴ舞曲第1番ハ長調op.46-1 03:49
6.スラヴ舞曲第3番変イ長調op.46-3 04:46
7.スラヴ舞曲第8番ト短調op.46-8 04:07
8.スラヴ舞曲第10番ホ短調op.72-2 05:31
9.スラヴ舞曲第9番ロ長調op.72-1 04:18
10. 交響的舞曲 Op.78* 23:20
指揮/イシュトヴァン・ケルテス
演奏/イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
ロンドン交響楽団*
ロンドン交響楽団*
録音1962/03/25-04/30、ハダー・シネマ、テルアヴィィブ
1970/06/29-07/02 キングスウェイ・ホール、ロンドン*
P:ジョン・カールショウ
デヴィッド・ハーヴェイ*
E:ゴードン・パリー、スタンリー・グッドール
トリグ・トリグヴァソン*
1970/06/29-07/02 キングスウェイ・ホール、ロンドン*
P:ジョン・カールショウ
デヴィッド・ハーヴェイ*
E:ゴードン・パリー、スタンリー・グッドール
トリグ・トリグヴァソン*
英DECCA 475 7730

この録音については一度取り上げています。それはレコードというメディアを通しての記事でした。その名盤が「THE ORIGINALS」として戻ってきました。そして、このCDを見つけたときは迷わず買ってしまいました。なにしろLPは同じものを2枚所有していて一枚は永久保存版にしてあるほどなんですから。今回の復刻盤は96kHz.24-bitリマスタリングということで力が入っています。そして、詳しい録音データまできちんと記載されています。当然ながらジャケットも初出時のものを採用しています。もっとも、CD化に当たっては最後の「交響的舞曲」が一曲追加されています。でも、どういうことか分かりませんが曲順はLP時代とは違ってスメタナが先にきていてLPのA、B面は逆に収録されています。以前のCD化のときもそうでしたがなぜこういうことが起きるんでしょう。まあ、今回は最後にドヴォルザークの追加曲がありますから分からなくもないんですが・・・
それにしても、少々イメージが変わってしまいます。LPでのA面の一曲目は当然ながら「スラヴ舞曲第1番ハ長調op.46-1 」でした。スメタナの作品が悪いというわけではないのですが、初めてこのレコードを掛けた時このスラヴ舞曲のサウンドに驚嘆したものです。なんという生々しい響きなんだ!と。しかし、CDで曲順が代わってスメタナの後に聴くこの曲の響きにはそういう感動は感じられませんでした。ちなみにCDではプログラミングが出来るので、後日LPと同じ曲順で再生してみました。やはり、感動が違います。昔LPOで聴いたゾクゾクする響きのイメージが蘇ってきました。音そのものに変わりはないのでしょうが新鮮さという部分ではやはりイメージが違うものなのでしょう。それだけ、収録の曲順というものは重要なファクターだといえるのではないでしょうか。このCDをお持ちならぜひとも曲順を変えて聴いてみてください。
ということで、やはり感想はドヴォルザークからです。昔から録音は良いと思っていましたが、このリマスタリングで聴く響きは一皮むけたというイメージです。さすが、デッカの黄金チームの録音になるディスクです。SHM-CDの比ではないです。これだけの音が蘇ったのならもうLPは処分しても良さそうです。ケルテスはスラヴ舞曲を全曲録音してはいませんが、ここで聴かれる5曲はどれも珠玉の名演です。手元にはクーベリックやセルのCDもありますが、やはりいつも手が出るのはこのケルテスの演奏です。躍動感があり、パワー溢れる演奏です。この頃のイスラエルフィルは弦が美しくそのシルキーなサウンドが熱く響くのですからまさにケルテス・マジックといっても良いサウンドです。
それに比べると追加の交響的変奏曲はおとなしい響きに聴こえてしまいますし、かえって録音が古く感じてしまう艶のない響きです。それだけロンドン交響楽団の音が渋いというのか、イスラエルフィルがブリリアントなのかオケ、録音ロケーション、スタッフ等の違いが如実に感じられます。ドヴォルザークの交響曲を全曲録音したケルテスの一連の録音ですから演奏は悪かろうはずはありません。主題の提示からして緻密なアンサンブルで、それがひとつひとつ織り上げられるように変奏を積み重ねています。丁寧な仕事でこの曲の良さを再認識させてくれます。
オーケストラは通常のアメリカ式配置。金管は左にホルン、中央から右にトランペット、トロンボーンが並んでいる様が手に取るようなくっきりとしたステレオプレゼンスです。両翼いっぱいに広がった弦の響きが豊かなプレゼンスを醸し出しています。特にチェロのつややかな響きが印紙用的な演奏です。このキングスウェイホールでは客席を取っ払ってオーケストラを平土間に配置しての録音だったといいますから奥行きのある響きが録れているのでしよう。
さて、スメタナに戻ります。普通は序曲しかあまり取り上げられない「売られた花嫁」ですがここでは3曲演奏されています。ここでも明るい響きでスメタナの音楽が炸裂しています。少々元気が良過ぎて力が入りすぎているのではと感じさせる部分もあります。しかし、歯切れのいいリズムで良くオーケストラを歌わせ、鳴らしています。とくに第2曲のティンパニの響きは象徴的で、こういうサウンドもありなのかとびっくりさせられます。これで踊ったらさぞかし楽しいでしょう。
さて、スメタナに戻ります。普通は序曲しかあまり取り上げられない「売られた花嫁」ですがここでは3曲演奏されています。ここでも明るい響きでスメタナの音楽が炸裂しています。少々元気が良過ぎて力が入りすぎているのではと感じさせる部分もあります。しかし、歯切れのいいリズムで良くオーケストラを歌わせ、鳴らしています。とくに第2曲のティンパニの響きは象徴的で、こういうサウンドもありなのかとびっくりさせられます。これで踊ったらさぞかし楽しいでしょう。
フリアントはポルカ同様、チェコの民族舞曲の一種です。ドヴォルザークのスラヴ舞曲集Op.46の第1曲も同じ形式で書かれていますが、楽譜上は3拍子ながら実際には<2+2+2+3+3>が基本のリズムになっている舞曲です。非常に力強い感じのする曲で、このアルバムの核となっているリズムでしよう。この曲を入れたケルテスの意気込みが分かります。
そういう意味では「モルダウ」もその流れに沿った演奏になっています。どちらかというと弾むようなリズム感のある演奏でちょっと異色の「モルダウ」となっています。それでも、中間部のさざ波のような流れを描写した部分はイスラエルフィルの弦の美しさが際立っていて聞き惚れてしまいます。を画素国からこの曲だけを取り出してきて聴こうとしたらこういう演奏もありなんではないでしょうか。
いずれもYoutubeへ飛ばないと聴けない仕様になっていますが、興味のある人はクリックして飛んでください。