カラヤン2008 | geezenstacの森

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カ ラ ヤ ン 2008
(写真集+2CD+DVD)

曲目/録音
CD1
1.リスト:ハンガリー狂詩曲第5番ホ短調 S.359-5 12:42
 録音:1960年12月12,13日 ベルリン、イエス・キリスト教会(ステレオ)
2.J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調 BWV.1043 4:07 7:00 5:27
 クリスティアン・フェラス(ヴァイオリン)
 ミシェル・シュヴァルベ(第2ヴァイオリン)
 録音:1966年8月 サン・モリッツ、ヴィクトリアザール(ステレオ)
3.ブラームス:交響曲第4番ホ短調 op.98 13:27 11:51 6:20 10:12
 録音:1963年10月12-16日 ベルリン、イエス・キリスト教会(ステレオ)

 

CD2(BONUS CD)
4.ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 op.92 ~第2楽章 8:05
5.ベートーヴェンについてのインタビュー 16:01
 (インタビュアー:ヨアヒム・カイザー:ドイツ語/1977年)
6.ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調 op.92 ~第2楽章 8:03
7.ベートーヴェンについてのインタビュー
 (インタビュアー:リチャード・オズボーン:英語/1977年)
8.ブラームス第2交響曲についてのインタビュー 13:32
 (インタビュアー:ミシェリーヌ・バンゼ:フランス語/1964年)
9.ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品 ~第1楽章 7:49
10.リハーサル/ヴィヴァルディ:協奏曲集『四季』 ~春 6:36
11.ヴィヴァルディ:協奏曲集『四季』 ~春 第1楽章 3:28

 

DVD(カラー、4:3、PCMステレオ)
12.レオンカヴァッロ:『道化師』 ~導入部 芝居をするか!
13.レオンカヴァッロ:『道化師』 ~衣装を着けろ
14.スッペ:オペレッタ『軽騎兵』序曲
15.ワーグナー:『ラインの黄金』 ~Halt, du Gieriger
16.ブラームス:ドイツ・レクイエム ~万軍の主よ、あなたのいますところはどれほど愛されていることでしょう
17.チャイコフスキー:交響曲第4番 ~第3楽章
18.ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
19.ベートーヴェン:交響曲第5番(全曲)

 

指揮/ヘルベルト・フォン・カラヤン
演奏/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

 

E:ギュンター・ヘルマンス
P:オットー・ゲルデス、ハンス・ウエーバー、ハンス・リッター

 

DGG  4777099

 

イメージ 1

 

 一昨年に「Press Kit」としてリリースされていたのと同じA4判の写真集に、今回は新たにボーナスCDが追加されています。インタビューのうち最初の2つは1977年発売のベートーヴェンの交響曲全集についていたもののようです。すごいのはそのインタビューでなんとドイツ語、英語、フランス語を駆使しています。ブラームスの第2交響曲についてのインタビューは、最初のブラームス全集時の1964年にORTFが収録したものです。四季のリハーサルは1972年LP初出時の特典でしたが、そのとき収録されていた「夏」は収録されていません。このセットは限定盤のようで既にHMVのカタログでは注文不可になっています。当方はかろうじて1セット残っていたタワーレコードの店頭で入手しました。写真集抜きのボーナスCD抜きのセットが4,000円以上するのですからこのセットはコストパフォーマンスの高いものです。

 

 上の写真が、今でも入手出来るもので、カタログ番号は4777097です。これを買った人は損した気分でしょうね。それにしても僅か半年あまりでDGがこういう商売をするとは・・・ですが、じっくり待ってこれを買った人は思わずほくそ笑んだのではないでしょうか。「Press Kit」版とはいえ48ページにも及ぶカラヤンの写真集は貴重です。見開きには2ページを使ってベートーヴェンの第9を指揮するフィルハーモニーでの1983年の写真、コントロール・ルームで自ら調整卓をさわるカラヤン、自家用車を運転する姿、自家用ジェット機の前でポーズをとるカラヤン、そして1981年ザルツブルグでCDシステムのプレゼンの前でソニーの森田昭夫会長と語り合う姿とかとにかく貴重な写真ばかりです。これなんかを見るとCDの規格がカラヤンの意見で決められたというのが真しやかに思えてきます。さらには、1978年のデビュー当時のアンネ・ゾフィー・ムターとの録音セッションの写真に魅せられます。親子ほどの差のある二人のツーショットですが、優しい視線を投げ掛けるカラヤンに、つんとすました態度で見返すムターの費用上が何ともいえません。この写真集だけでもこのセットの価値がありますね。

 

 

 それにプラスしてのボーナスCDですからいうことはありません。まあ、輸入盤ということで対訳がついていないのでドイツ語、フランス語で話している内容は理解出来ないのが悔しいですが、ベートーヴェンの交響曲第7番の第2楽章が1962年盤と1977年盤の2つが収録されていてその違いが確認出来る配慮がされています。のだめではないんですから、交響曲第7番といえば不滅のアレグレットの第2楽章でしょう。

 

 本編のCDにはこれが初出となるバッハの「2つのヴァイオリンのための 協奏曲 ニ短調 BWV1043」が収録されています。ソリストとしてのクリスティアン・フェラスとコンマスだったミシェル・シュヴァルベの興味深い競演の一曲で、フェラス独奏のヴァイオリン協奏曲の2曲は1999年に没後10周年企画で発売されていますが、この曲だけはなぜかお蔵入りしていました。カラヤンのディスコグラフィのサイトで確認してもこの録音は漏れています。こういう音源がまだグラモフォンに眠っているんですなぁ。

 

 このCD何処にも記載はありませんが、同じ原盤を使っているならOBIT化されたものですから音質も改善されています。収録されている1963年の第1回目のブラームスの交響曲第4番は丁度コレクションから抜けている曲目だったので奇しくもこれで全集が完成しました。カラヤンのブラームスはこの第1回目の録音が一番気力が充実していた頃のこのコンビの録音なので大歓迎です。

 

 

 DVDもオペラ、ライト・クラシック、宗教曲、協奏曲、そして交響曲と幅広い活躍をしたカラヤンのダイジェストのような選択です。文句を言う筋合いではありませんが、声楽ものは字幕が全く無いので退屈です。こちらはおまけでは無いので写真集と同じようにせめて3カ国語の字幕を入れてほしかったと思います。レオンかバレロの「道化師」だけはオケがスカラ座管弦楽団というのも粋な収録です。

 

 コンサートピースは当然とはいえ、どれもカラヤンを中心とした映像でフィルハーモニーでの収録ですが観客はほとんど映り込みません。コンサートマスターすら映し出されないといった有様です。NHKが捉えるコンサートの映像とは全く違います。しかし、画面から聴こえてくる演奏は音楽と映像を一体化させて聴くものを魅了します。さすが映像にこだわったカラヤンです。スッペの軽騎兵序曲でも全く手を抜いていません。自ら映像をプロデュースするカラヤンはワイセンベルクとのラフマニノフではピアノを真上から捉えたシーンを挿入しています。こういう構図もありなのか、という新しい発見もあります。そして、ベートーヴェンの交響曲第5番の映像です。湯に輝が作成したこのフィルハーモニーでの映像は颯爽としたカラヤンの指揮姿を見ることが出来ます。晩年のテレモンでの映像に比べるとこちらの演奏の方が動きがしなやかで彼の意思が徹底しているという感じがします。やはり、詰め襟タートルネックよりも燕尾服姿のカラヤンの方がかっこいいですからね。残念ながらYoutubeで流れている映像は晩年のもので、足を痛めいてるのでそれをかばい棒立ちの姿勢での指揮でどうしても痛々しさが見えてしまうのが残念です。

 

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