サンサーンスー洗練されたフランス音楽の数々 |
曲目/サン・サーンス
組曲「動物の謝肉祭」
1.序曲と堂々たるライオンの行進 1:53
2.雌鳥と雄鶏 1:08
3.騾馬 0:39
4.亀 2:09
5.象 1:22
6.カンガルー 1:00
7.水族館 2:30
8.耳の長い紳士 0:47
9.森の奥のかっこう 2:34
10.大きな鳥籠 1:24
11.ピアニスト 1:24
12.化石 1:23
13.白鳥 2:42
14.組曲 1:52
指揮/ハンスペーター・グミュール
演奏/南ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団
15.歌劇「サムソンとデリラ」第2幕よりアリア「あなたの声に心は開く」 6:38
メソ・ソプラノ/リダ・ノエル
指揮/アルフレード・ショルツ
演奏/ロンドン・フェスティヴァル管弦楽団
16.オルガンのための幻想曲 変ホ長調 5:37
オルガン/イムリッヒ・ザーボ
交響曲第3番ハ短調作品78「オルガン付き」
17.第1楽章(第1部) 10:10
18.第1楽章(第2部) 8:46
19.第2楽章(第1部) 7:17
20.第2楽章(第2部) 7:14
指揮/カルロ・バンテッリ
演奏/フィルハーモニア・スロヴォニカ
録音/不明
ディアゴスティーニ CC-020

幽霊演奏の宝庫ディアゴスティーニから1990年代に発売された「クラシック・コレクション」の中の一枚です。このシリーズヤフーのオークションで30枚のセットを500円で落札したもの中の一枚です。冊子もちゃんと付いていましたので確か送料の方が高かった覚えがあります。こういう形で入手したのでじっくり聴くということがありませんでした。たまに、CDを整理する時このシリーズが引っかかりました。その中から今回は、サン・サーンスです。このシリーズ過去に4回取り上げています。暇だったら覗いてやってください。
第1回 http://blogs.yahoo.co.jp/geezenstac/33812311.html
第2回 http://blogs.yahoo.co.jp/geezenstac/33936800.html
第3回 http://blogs.yahoo.co.jp/geezenstac/34496594.html
第4回 http://blogs.yahoo.co.jp/geezenstac/34595458.html
第2回 http://blogs.yahoo.co.jp/geezenstac/33936800.html
第3回 http://blogs.yahoo.co.jp/geezenstac/34496594.html
第4回 http://blogs.yahoo.co.jp/geezenstac/34595458.html
ご多分に漏れず幽霊演奏のオンパレードです。このシリーズを詳しく調べられた安田さんによると全部が正体不明の演奏ということになっています。しかし、先日も書いたように音楽は音を楽しむものです。幽霊だろうがお化けだろうが音楽は音楽です。ということで、このそしとに向かい合いました。
サン・サーンスで一番広く知られているのは冒頭の「動物の謝肉祭」でしょう。この年までにかなりの演奏を聴いていますが、この演奏はあまり褒められたものではありません。残響が多すぎで、各楽器の分離がいまいちです。曲のアウトラインを知る程度でしょう。でも、このCDこれは前菜です。
正直言って作品としての「サムソンとデリラ」は知っていましたが、この曲は聴いたことがありませんでした。声楽の人ならこの曲は耳にするかもしれませんが、普通のサン・サーンスのCDにはこんな曲は入りません。入っても、このオペラからは「バッカナール」くらいでしょう。このアリアはオペラの第2幕第2場でメゾ・ソプラノのヒロイン=デリラが、主人公のサムソンを陥れようと誘惑する場面で歌われるもので、曲から感じ取れるきれいなイメージとはかなり違った内容です。TOUTUBEで探したらエリーナ・ガランチャの映像が検索できました。まあ、聴いてみてください。
〔You can enjoy Videos by 『YouTube Seeker』〕 |
こういう隠れた名曲とこのCDでは出会えました。このCDに登場するリダ・ノエルは実在しないので確認は出来ませんがそううまい人ではありません。映像のがランチャの歌声の方が遥かに魅力的です。でも、曲は素敵です。ばったもんCDと侮ってはいけません。そういう意味では次の「オルガンのための幻想曲 変ホ長調」も初めて接する曲でした。サン・サーンスはオルガンの名手でもあり、オルガンのための作品も多数残しています。この変ホ長調の作品は3曲の幻想曲の第1番にあたるものです。ここではそんなに大きなオルガンは使われていません。しかし、このこじんまりした響きが曲に合っていて、サン・サーンスのエスプリの効いた音楽を楽しく聴くことが出来ます。この曲を聴いていると他の作品も聴きたくなります。
とりは名曲の交響曲第3番、俗にオルガン交響曲と呼ばれている作品です。この幽霊演奏、結構聴き応えがあります。第1楽章冒頭はやや不安定な立ち上がりながら、アンサンブルはそんなに悪くありません。木管楽器の響きはしなやかで独特のつやがあります。少なくともこの時期のナクソスの録音のガンゼンハウザー盤よりは断然バランスの良い均整のある録音ですし、音の粒もそろっています。音の広がりも充分ありスケール感が出ています。テンポは遅からず早からずで、生理的には好きなテンポです。第1楽章第2部から登場するオルガンも良い響きで収録されています。スペア名で見ると重低音まできっちりと記録されていて迫力があります。小生のオーディオシステムでもこんな素晴らしい音がするのですから立派なものでしょう。エラートやEMIのマルティノンの録音でもここまでは収録されていません。オルガンの音が左右いっぱいに広がりオルガンファンにはたまりません。オルガン独奏者の表記はありませんが良い仕事しています。
第2楽章も快調なテンポです。ピアノは左に配置されていて、やや取って付けたようなバランスなのがちょっと気になりますが、金管のバランスは見事でシンバルやトライアングルの響きもぴしっと決まっています。こちらの第2部の演奏の方がオルガンが華々しく活躍するのですが、音域的には第1楽章に譲ります。多分オルガンと同一ホールでの録音でしょう。強奏ではやや弦の響きが混濁するのが残念ですが、スピーカーで聴く分には問題ないレベルです。
この幽霊演、個人的には断定は出来ませんがどう見てもオケの響きからして、廉価版の王者アントン・ナヌートの指揮によるリュブリアナ放送交響楽団の演奏のように思われます。