ミヒャエル・ハイドンの交響曲 | geezenstacの森

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ミヒャエル・ハイドンの交響曲
曲目/ミヒャエル・ハイドン
交響曲第30番ニ短調P.20(交響曲第29番)
1.Allegro brillante 5:39
2.Andante 11:52
3.Roddeau 4:49
交響曲第22番ニ長調P.42
4.Adagio, allegro molto 7:27
5.Andante 8:07
6.Presto 4:06
交響曲第41番ヘ長調P.32*
7.Allegro molto 5:42
8.Adagio ma non troppo 5:53
9.Vivace 4:08

 

指揮/ハロルド・ファーバーマン
演奏/ボーンマス・シンフォニエッタ
録音/1984/06/27、28 ポール・アーツ・センター、ドレスト
1983/06/14、15* プリオリーキリスト教会、ボーンマス
P:アントン・ホッジソン
E:ボブ・アウガー

 

MMG/Vox Prima  MWCD7124

 

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 VOXもデジタル初期には積極的に録音をしていたのですね。これはそんな一枚です。結構先進性もあってこのCDは1986年の発売であるにもかかわらず紙のジャケットに不織布のインナーに入っています。不織布の袋自体も珍しい時代ですからこのジャケットは斬新に映りました。このVox PrimaシリーズはCDハードケース入りのものもありましたが紙のケースの方がライナーノーツが充実していて好きでした。といっても解説はすべて英語ですがね。

 

 ところで、ミヒャエル・ハイドンについては情報源の日本語版wikipediaをみてもほとんど詳しいことはわかりません。ヨーゼフ・ハイドンの弟でモーツァルトと同時代に活躍した作曲家ということぐらいは知識にありましたが、音楽史の陰に隠れてしまっています。その肝心なwikipediaにも交響曲の作品は30曲と紹介されていますがこの記述すら怪しいものです。何しろこのCDには交響曲第41番が収録されていますから。そこで本家のwikipediaの情報を調べてみると交響曲は46曲作曲したと出ています。これなら辻褄が合います。wikipediaの記事も鵜呑みには出来ないということでしょう。

 

 さて、最初の交響曲第30番はとんでもない誤記です。この一文を書くにあたって再度調べてみたのですが、今まで30番と思い込んでいたのが実際はこのCDに収録されているのは交響曲第29番です。なんでこんな大きな間違いをしているのでしょう。明らかに違う曲だとわかります。元々の交響曲第30番は編成が弦楽にオーボエ、バスーン、ホルンという構成で
Adagio - Allegro spiritoso
Andante sostenuto, in G major
Vivace molto
という構造になっています。しかし、収録されているのは上記のようになっています。そして、ここで演奏されている曲は盛大にトランペットが活躍しています。これは明らかに交響曲第29番の編成です。ちなみに29番は弦楽にオーボエ、バスーン、ホルン、そしてトランペットさらにはティンパニが加わった編成になっています。

 

 ミヒャエル・ハイドンの交響曲は3楽章形式がその特徴です。急ー緩ー急の構造です。この交響曲第29番は編成的にも特徴的でM.ハイドンの代表曲といってもいい作品です。華やかなトランペットの活躍がそれに花を添えています。特に第1楽章でのトランペットの活躍は目覚ましくトランペット協奏曲の趣きすらあります。叙情楽章でも朗々とトランペットが吹かれる箇所があり特にそれを感じてしまいます。

 

 

 

 

 ところで、この演奏現代楽器による演奏ですがいい味出しています。通奏低音にはちゃんとチェンバロが使われていてピッチの違いこそあれきっちりとした演奏で、聴いていて安心感があります。オーケストラもしっかりとしたアンサンブルで指揮者の要求にしっかりと応えています。フーバーマンの指揮もメリハリのある演奏で躍動感がありこの曲の鑑賞を大いに助けています。ハロルド・ファーバーマンはアメリカ生まれの指揮者で、最初はボストン交響楽団のティンパニー奏者として活躍しました。作曲家でもあり、指揮者でもあるという活躍ぶりです。そういう視点でこのハイドンを料理しているのですこぶる聴きごたえがあります。調べてみると指揮者としてはマーラーの交響曲第2番をニュー・フィルハーモニアで指揮したり、第4番をロイヤル・フィルで振ったり、第10番のカーペンター版をフィルハーモニア・フンガリカでやってみたりと、そこそこ活躍しています。

 

 続く交響曲第22番と41番は弦楽にオーボエ、バスーン、ホルンという標準的な構成の交響曲です。22番の方はイタリア序曲的序奏部があり、さらには第2楽章にヴァイオリンのソロがあったりと変化に富んでいて楽しめます。どちらかというとディヴェルティメントに近い雰囲気を持っています。こんな曲です。

 

 

 最後の交響曲第41番は一応交響曲の番号としては最後の作品となっています。つまり46曲という曲の名からは番号のつかない作品もあるということなんですね。しかし、海外版のwikipediaにはM.ハイドンの交響曲の詳しい解説があり、そこにはディスコグラフィもあるのですがこの演奏についての言及はありません。つまりはこのCDの演奏自体忘れ去られているということなんでしょうね。

 

 

 ちなみにモーツァルトの交響曲第37番とされていた作品はM.ハイドンの交響曲第25番です。