BOSSA NOVA
DISC1
1.イパネマの娘(アントニオ・カルロス・ジョビン)/スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト
2.三月の雨(アントニオ・カルロス・ジョビン)/エリス・レジーナ&アントニオ・カルロス・ジョビン
3.あなたと私(カルロス・リラ)/ポール・ウィンター&カルロス・リラ
4.想いあふれて(アントニオ・カルロス・ジョビン)/ナラ・レオン
5.ソー・ナイス (サマー・サンバ)(マルコス・ヴァーリ)/マルコス・ヴァーリ
6.ワン・ノート・サンバ(アントニオ・カルロス・ジョビン)/シルヴィア・テリス
7.ビーチ・サンバ(ペリー・ヒベイロ)/アストラッド・ジルベルト
8.波(アントニオ・カルロス・ジョビン)/アントニオ・カルロス・ジョビン
9.小舟(ロベルト・メネスカル)/エリス・レジーナ&トゥーツ・シールマンス
10.彼女はカリオカ(アントニオ・カルロス・ジョビン)/ルーシオ・アルヴィス
11.マシュ・ケ・ナーダ(ジョルジュ・ベン)/タンバ・トリオ
12.ビン・ボン(ジョアン・ジルベルト)/セルジオ・メンデス&ブラジル66
13.偽りのバイーア娘(ジェラルド・ペレイラ)/ジョアン・ジルベルト
14.サウダージス・ダ・バイーア(ドリヴァル・カイミ)/バーデン・パウエル
15.ビリンバウ(バーデン・パウエル)/クアルテート・エン・シー
16.ウッパ・ネギーニョ(エドゥ・ロボ)/エドゥ・ロボ
17.まじめな青年(ジョニー・アルフ)/ナラ・レオン
18.私はあなたのもの (ソ・チーニャ・ヂ・セール・コン・ヴォセ)(アントニオ・カルロス・ジョビン)/アントニオ・カルロス・ジョビン
19.アテー・ケン・サービ(ジョアン・ドナート)/ガル・コスタ
20./プリマヴェーラ(カルロス・リラ)/クアルテート・エン・シー
21.サンバ・プラ・ヴィニシウス(トッキーニョ)/トッキーニョ&シコ・プアルキ
22.ブラジルの水彩画(アリ・バホーゾ)/ジョアン・ジルベルト
DISC2
1.おいしい水(アントニオ・カルロス・ジョビン)/アストラッド・ジルベルト
2.デサフィナード(アントニオ・カルロス・ジョビン)/スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト
3.ソ・ダンソ・サンバ(アントニオ・カルロス・ジョビン)/ワンダ・ヂ・サー
4.メディテーション(瞑想)(アントニオ・カルロス・ジョビン)/ナラ・レオン
5.夢見る人(ヴィヴォ・ソニャンド)(アントニオ・カルロス・ジョビン)/シルヴィア・テリス
6.ジェット機のサンバ(アントニオ・カルロス・ジョビン)/ミウシャ&アントニオ・カルロス・ジョビン
7.リオ(ロベルト・メネスカル)/オス・カリオカス
8.二人と海(ホナルド・ボスコリ/タンバ・トリオ)
9.ホイッスル・サンバ(ルイス・ボンファ)/ルイス・ボンファ&マリア・トレード
10.トリステーザ (グッドバイ・サドネス)(ハロルド・ロボ)/アストラッド・ジルベルト&ワルター・ワンダレイ
11.バトゥカーダ(マルコス・ヴァーリ))/セルジオ・メンデス&ブラジル66
12.ミーニャ・サウダージ(ジョアン・ドナート)/ジョアン・ドナート
13.まなざし/あなたの腕の中で(アントニオ・カルロス・ジョビン)/シルヴィア・テリス&ルーシオ・アルヴィス
14.コルコヴァード(アントニオ・カルロス・ジョビン)/スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト
15.トムへの手紙’74(トッキーニョ)/ヴィニシウス・ヂ・モライス&トッキーニョ
16.ばらに降る雨(アントニオ・カルロス・ジョビン)/エリス・レジーナ&アントニオ・カルロス・ジョビン
17.カンデイアス(エドゥ・ロボ)/エドゥ・ロボ
18.もっとも美しいもの(カルロス・リラ)/カエターノ・ヴェローゾ
19.ヴォセ(ロベルト・メネスカル)
20.お馬鹿さん(ハウ・インセンシティヴ)(アントニオ・カルロス・ジョビン)/アントニオ・カルロス・ジョビン
21.フェリシダージ(アントニオ・カルロス・ジョビン)/ナラ・レオン
22.祝福のサンバ (サンバ・ダ・ベンサォン)(バーデン・パウエル)/ヴィニシウス・ヂ・モライス
UNIVERSAL UICY-9412/3

散財品の中からさっそく「BOSSA NOVA」のアルバムを聴いています。2004年4月に発売されたアルバムですが、僅か3ヶ月の期間限定での発売だったようです。なんでこんなもったいない発売の仕方をしたのでしょうね。内容は充実していて、レーベルを越えたコンピュレーションになっています。1-3がソニー、2-3が東芝EMI、そして2-6がBMGファンハウスの音源です。ブックレットも充実していて曲の紹介とともにオリジナルアルバムも写真付きできっちりと紹介されていますし、解説、対訳まで全く手を抜いていません。元々2枚組で全44曲が2,980円で発売されていましたから、それでもお買い得にはなっていたわけです。それが200円ですからたまりません。
オープニングを飾るのはスタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルトでメジャーな「イパネマの娘イパネマの娘」です。オリジナルのアルバムは「GETZS/GILBERTO」でジャズのサックス奏者のスタン・ゲッツが「ジャズ・サンバ」に続いて録音した物です。この最も有名なボサノヴァ曲「イパネマの娘」を原詞ポルトガル語で歌うのはジョアン、続いて英詞を歌うのはジョアンの妻、アストラット・ジルベルトです。アストラットはこれが歌手デビューでした。これが成功してアストラットは一躍人気者となり数々の名盤を生み出しています。そんなアルバムは大ヒットし、グラミー賞も獲得しています。ここではこのアルバムから他に2曲、「 デサフィナード 」と「コルコヴァード」も収録されています。いかにも、エヴァー・グリーンなアルバムだということが思い知らされます。
1曲づつ感想を書いていったらキリがないのですが、リストを眺めてみると「アントニオ・カルロス・ジョビン」の曲が桁外れに多いことが分かります。彼の曲だけで充分一枚のアルバムが出来る程です。それほど彼の存在はブラジル音楽に深く根付いているということなのでしょう。ここには自作自演も含まれていますが、他のアーティストたちに提供した曲もたくさん収録されています。自作自演では何といっても1-8の「波」でしょう。名物プロデューサーのクリード・テイラーのもとでCTI/A&Mに残した音源からの収録で、クラウス・オガーマン編曲指揮のストリングス入りオーケストラとの共演による心地良いインストゥルメンタルに仕上がっています。洒落た曲では2-13で別々の2曲が繋いで歌われ、最後にはほぼコード進行の同じの二つのメロディがデュエットで歌われるという趣向が盛り込まれています。
「セルジオ・メンデス&ブラジル66」も懐かしい名前です。彼らのヒット曲「マ・シュケ・ナダ」はここでは他のアーティストが歌っていますが、「ピン・ポン」と「パトゥカーダ」で彼らの歌声を聞くことができます。思えば60-70年代は今よりもワールドミュージックが幅広くヒットしていたのではないでしょうか。アメリカン・ポップスが大勢を占める今の時代にあって、この頃はセルメンのブラジル音楽、ジルオラ・チンクエッティらのイタリアポップス、シルヴィ・ヴァルタンに代表されるフレンチポップスなどがバランスよくヒットチャートを賑わしていたような気がします。
このアルバムを流し聴きしながらこの一文を書いていますが、夏の日の午後にはぴったりのアルバムです。始めて耳にする曲もあり新鮮な気持ちとものうげなリズムに包まれてまったりとした気持ちが交互に訪れてきます。そんな中で1-17は耳をそばだてて聴いてしまいました。「アテー・ケン・サービ」と題されたこの曲しっとりとしたピアノをバックに歌われるのですが、どう聴いても「マイ・ウェイ」に聴こえてくるのです。もちろん違う曲なのですが、最初のメロディからしてそっくりで雰囲気も似ているので思わず聴き直してしまいました。
この2枚組にはボサノヴァを代表するアーティストが網羅されており、素晴らしいコンピュレーションになっています。暫くはまだ暑い日が続きそうなのでこのCDはBGMとして重宝しそうです。