著者/西村 京太郎
出版社/角川書店 角川文庫
出版社/角川書店 角川文庫

新宿のホテルの一室で毒殺事件が発生。その一週間後、“日本のエーゲ海”と呼ばれる岡山県牛窓の展望台で駐車中の車から男の死体が発見された。
岡山県警から捜査協力の要請を受けた十津川警部は、二つの事件の被害者がパルテノン1号というヨットを共同所有するメンバーであることを突き止める。
しかし、そのヨットは二年前に沈没し、その直後、他のメンバー四人は失踪していることが発覚した!二年前の遭難事故を洗い直す十津川警部の前に、意外な事実が判明し、事態は急展開を告げる。長編トラベル・ミステリ。---データベース---
岡山県警から捜査協力の要請を受けた十津川警部は、二つの事件の被害者がパルテノン1号というヨットを共同所有するメンバーであることを突き止める。
しかし、そのヨットは二年前に沈没し、その直後、他のメンバー四人は失踪していることが発覚した!二年前の遭難事故を洗い直す十津川警部の前に、意外な事実が判明し、事態は急展開を告げる。長編トラベル・ミステリ。---データベース---
このタイトルはいつもの十津川警部ものとしてはちょっと異色のタイトルです。ここで言う「日本のエーゲ海」とは岡山県の牛窓の事です。この小説を読むまでこんなところが在るとはついぞ知りませんでした。お勉強になりました。十津川警部シリーズでは久々の海洋ものです。
最初は全く関連のない殺人事件が、共通の趣味を通してのメンバーだったという点は「ワイドビュー南紀殺人事件」と同じ設定です。でも、結局この二人はなぜ殺されたのかは不明のまま事件は2年前の不可解なヨットの沈没事故に行き当たります。そして、この事故の前後になんと金塊の盗難事件が発生しているのです。しかし、盗まれた当事者たちはあまり騒いではいません。ここのところがうさんくさく感じられ、十津川警部たちはその関連性と牛窓のヨットハーバーに繋がれた不可解なゴムボートの謎に迫ります。
ヨットでのクルージングに憧れて集った残りの4人は最後まで表舞台には出てきません。失踪したまま最後には国外脱出を計り見事十津川警部たちの先を行って、それは成功したかに見えます。しかし、彼らも八丈島の近海でヨットごと爆破されあっけなく死んでしまうのです。
そうなんです。本当の黒幕は別にいるんですね。そこがまた、政治の暗黒の部分と結びついているのですから事が厄介です。しかし、十津川警部たちはそれに向かって毅然と立ち向かっていきます。これが、タイトルの後ろの部分の「日本の死」という言葉を暗示しているゆえんです。
それだけ、このタイトルには西村京太郎の思い入れがあったんでしょうね。