ムローヴァのブラームス
曲目/ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.77
1.第1楽章 Allegro non toroppo 22:36
2.第2楽章 Adagio 8:42
3.第3楽章 Allegro giocoso, ma non troppo vivac 8:29
1.第1楽章 Allegro non toroppo 22:36
2.第2楽章 Adagio 8:42
3.第3楽章 Allegro giocoso, ma non troppo vivac 8:29
ヴァイオリン/ヴィクトリア・ムローヴァ
指揮/アバド(クラウディオ
演奏/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮/アバド(クラウディオ
演奏/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 1992/01/25、サントリーホール
P:マエダ・ナオズミ、クリストフアー・オールダー
E:モリ・ケンイチロウ、ゲルノート・フォン・シュルツェンドルフ
P:マエダ・ナオズミ、クリストフアー・オールダー
E:モリ・ケンイチロウ、ゲルノート・フォン・シュルツェンドルフ
日PHILIPS PHCP1420

ライブ録音でありながら1994年度のレコードアカデミーの大賞を受賞した名盤です。他にもエコー・クラシック賞とドイツ・レコード批評家賞も受賞しています。
このCDを聴いたタイミングでNHKのBSでムローヴァの「完璧にそして自由に」というドキュメンタリーを放送していました。
ムローヴァは亡命後ニューヨークやウィーンに居を移しながら世界各国てせ活躍してきましたが、結婚した現在は3人の子供の母親でイギリスはロンドンに生活の拠点をかまえて演奏活動をしています。
ムローヴァは亡命後ニューヨークやウィーンに居を移しながら世界各国てせ活躍してきましたが、結婚した現在は3人の子供の母親でイギリスはロンドンに生活の拠点をかまえて演奏活動をしています。
愛器は、1723年製のストラディヴァリウス・「ジュールズ・フォーク」。準バロック様式の弓を用いています。番組の中でバッハの「シャコンヌ」を演奏していましたがそこで使われていたヴァイオリンはEとAはガット弦だと話していました。そして。ブラームスの録音ではこれを使ったといっていますから多分この演奏でもそうだったのではないでしょうか。なを、バロック音楽の演奏会では、別の古楽器も使用しているようです。
緊張感のある演奏でバックのアバド/ベルリンフィルに支えられて、第1楽章から熱い演奏が展開されます。亡命後の一時期、ややさめた感じのする演奏が多かったムローヴァですが、ここでは温かみのある演奏で持ち伸びやかな艶のある音色は聴きものです。確かに、ノイズも多く傷もありますが、それにも増して完成度の高い「一期一会」の緊張感あるブラームスを聴くことができます。
チョン・キョンファも少し前に来日(1989年10月)していて、こちらは秋山和慶指揮のNHK交響楽団と共演してブラームスを披露しています。それと比べると同じ女流奏者とは思われない違いを聴くことができました。力強さでいえばチョン・キョンファの方があります。どちらかというと男勝りの音色でしょうか。それに対して、ムローヴァは力強さにプラスして深みと透明感をも併せ持っています。この部分が近年バランスの取れ味わいのある演奏に浄化しています。
アバドとはウィーン時代に頻繁に共演し、共感していたのでここでも呼吸はぴったりです。フィリップスの録音も秀逸でムローヴァの美音を余すところなく捉えています。
アバドとはウィーン時代に頻繁に共演し、共感していたのでここでも呼吸はぴったりです。フィリップスの録音も秀逸でムローヴァの美音を余すところなく捉えています。
第2楽章の冒頭の合奏の後、オーボエの魅力的な主題についで奏されるヴァイオリンの音色はチャーミングで切々とした調べが郷愁を誘います。ぴったりと付けるアバドの棒も申し分ありません。この心地よい響きの旋律に浸るとついついまどろんでしまうのは小生だけでしょうか。
第3楽章は間髪を入れず開始されます。聴衆に休憩の余裕がないため、咳払いなどのノイズと重なってもったいない開始となっています。しかし、演奏自体はおかまい無しに名演を紡ぎ出しています。ジプシー風の主題は朗々と響き妙な節回しも無いのでストレートに心に響いてきます。この曲のCDもかなり所有していますが、聴き終わって清々しさと心地よい感動を与えてくれる演奏はこのムローヴァがピカ一です。
オリジナルの発売はこのブラームスのヴァイオリン協奏曲1曲だけでしたが。再発(PHCP-21016)にあたってはバッハの無伴奏パルティータ第2番ニ短調 BWV1004が収録されてお買い得になっているようです。