特急ワイドビューひだ殺人事件 | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

「特急ワイドビューひだ殺人事件 」


著者/ 西村京太郎
発行/ 光文社 光文社文庫

イメージ 1



 「ヒロシ、1031Dのことで話がついた」。その奇妙な新聞広告が掲載された直後、ヒロシという名の青年が相次いで殺された。1031DがL特急「ひだ11号」のことだと推理した十津川警部は、警戒乗車するが、そのさなか、爆弾を所持した男が車内で毒殺される…。JRへの列車爆破予告、犯人と十津川の息詰まる攻防。トラベル・ミステリーの傑作。---データベース---

 このストーリーでは警視庁捜査一課も暇な時は暇なものだなあという気がしてきます。なにしろ奇妙な3行広告を新聞で見つけて、それを事件が起こってもいないのに追いかけるからです。それも、1031Dの暗号が1031DがL特急「ひだ11号」だと亀さんの息子が解いた事で、わざわざ十津川班を名古屋まで派遣するのですから。

 まあ、小説ですからその列車で爆弾を持った男が殺されて発見されますのでこれが事件の発端となります。予測が事件を察知した事になります。普段の警察もこういう動きをしてくれれば事件は格段に速く解決するのではないでしょうか。

 この死んだ男の身辺を探っていくと一人の男にたどり着きます。しかし、既に暫く前に交通事故で死亡しています。しかし、この男の家で鉄道模型のジオラマを見つける事で犯行グループの存在が浮かんで事件は現実味を起きてきます。死んだ男が黒幕であった事が分かるのです。

 JRは最初脅迫されていた事を隠します。しかし、二度目の脅迫で十津川警部に助けを求めてきます。こうして、事件は表面化し犯人グループとの駆け引きが始まります。既に犯行グループの構成を熟知している十津川警部は的確な予測で爆破列車を割り出し、未然に防ぐ事に成功し犯行グループの一人を逮捕します。ここら当たりは見事な筆運びでのめり込んで読んでしまいます。冷静な犯人グループは次の犯行を予告しますが、犯人グループ裏をかいて予測データを入手し心理戦の様相を呈してきます。ここに、巨大コンピータのデータ予測を使う大胆な手口が描かれていてそのシュミレーションが事件解決に役立ちます。

 事件の影に女ありですが、ここでは女が黒幕です。これはテレビドラマ向きの設定ですなあ。でも、最後の方で1千万をJRのビルから撒くという設定があるからちょっと難しいかな。

 最後は「北斗星3号」が舞台となります。犯人グループとの行き詰まる攻防もコンピューターシュミレーションのおかげで次々と仕掛けられたダイナマイトを発見していきます。最後に2本だけ残ったダイナマイト、それは意外なところに仕掛けられます。これは女でなければ出来ない事でしよう。そして、それを見破った十津川警部は大したものです。

 この事件も亀井刑事との名コンビが怪傑して行きます。十津川警部の足らないところを亀さんが補完するいつもながらの展開が小気味よいです。鉄道ものの展開では最高クラスの出来です。