第1楽章 : ウン・ポコ・ソステヌート - アレグロ 12:38
第2楽章 : アンダンテ・ソステヌート 8:40
第3楽章 : ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ 4:45
第4楽章 : アダージョ - ピウ・アンダンテ - アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ 10:08
ドヴォルザーク/交響曲 第8番 ト長調 作品88
第2楽章 : アンダンテ・ソステヌート 8:40
第3楽章 : ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ 4:45
第4楽章 : アダージョ - ピウ・アンダンテ - アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ 10:08
ドヴォルザーク/交響曲 第8番 ト長調 作品88
第1楽章 : アレグロ・コン・ブリオ (プラティニ国際指揮者コンクール課題、間違い探しスコア版) 10:17
第1楽章 : アレグロ・コン・ブリオ (スプラフォン版) 10:14
第1楽章 : アレグロ・コン・ブリオ (スプラフォン版) 10:14
指揮/千秋真一
演奏/R☆Sオーケストラ
録音/2005年6月27,28日 東京芸術劇場大ホール
演奏/R☆Sオーケストラ
録音/2005年6月27,28日 東京芸術劇場大ホール
キングレコード KICC555


まあ、その徹底した覆面ぶりは痛快です。何しろ解説は物語に登場する音楽評論家の佐久間学氏が書いてますし、演奏はあくまでも「千秋真一&R☆Sオーケストラ」ということで、実際の演奏者名は明かされていないという、実に徹底したアルバムです。そして、R☆Sオーケストラのデビュー曲のブラームス交響曲第1番以外には、クラシック界唖然の前代未聞、「間違い版」音源の収録です。コミック第10巻に登場するプラティニ国際指揮者コンクール課題B、間違い探しスコアを使用したドヴォルザークの交響曲第8番の第1楽章を収録しています。15分間の初見予見で本番に臨み、わざと書き換えられた8カ所の間違いを耳だけを頼りに指摘する審査用の曲です。
凡人がさらっと聴いただけではその違いは分かりません。一応原作では
1.セカンドフルートがピッコロの旋律を吹く
2.フルートの旋律をオーボエが吹く
3.95小節目からのセカンドヴァイオリンがヴィエオラに入れ替わり
4.フルート、クラリネット、第1ホルンの付点2分音符ロ音が四分音符に
5.七の和音が三和音に変更
6.余分なティンパニの打音が入りクラリネットとオーボエが同じ音に
7.コントラバスのアルコがピィツィカート、ヴィオラがセカンドヴァイオリンに変更
8.オーボエ、ヴィオラのヘ音がホ音に変更
1.セカンドフルートがピッコロの旋律を吹く
2.フルートの旋律をオーボエが吹く
3.95小節目からのセカンドヴァイオリンがヴィエオラに入れ替わり
4.フルート、クラリネット、第1ホルンの付点2分音符ロ音が四分音符に
5.七の和音が三和音に変更
6.余分なティンパニの打音が入りクラリネットとオーボエが同じ音に
7.コントラバスのアルコがピィツィカート、ヴィオラがセカンドヴァイオリンに変更
8.オーボエ、ヴィオラのヘ音がホ音に変更
というのがその間違いですが小生は109小節目からのティンパニしか見つけることが出来ませんでした。こんなお遊びのボーナストラックが含まれているんですから通にはたまりません。ちなみに正解のスプラフォン版もちゃんと収録されています。(参考までに、スプラフォン版というのはスコアの種類です。レコード会社の事ではありません。)これを聴けば、彼がいかに優れた耳を持っているかが分かります。原作では8カ所見事に正解したのは千秋とライヴァルのジャン・ドナディウの二人だけです。
原作では1曲目がシューマンのマンフレッド序曲、2曲目がモーツァルトのオーボエ協奏曲、そして3曲目がブラームスの交響曲第1番というプログラムです。普通なら素直にシューマンのマンフレッド序曲を持ってくるのが順当なところをドヴォルザークの間違い探しというところがユニークです。
さて、本題のブラームスの交響曲第1番ですがこちらも一癖ある演奏です。単に既存の音源を用いた安直なものではなく、マンガで描写されている「千秋真一」のアプローチを徹底的に研究し、実際に演奏・録音したということです。ドラマ版はデプリーストの指揮ということで第1楽章冒頭のテンポはややゆっくり目で始まるのですが、この千秋の指揮はインテンポで早いテンパニの打ち込みでスタートしています。ここはデプリースト盤に軍配が上がります。この5の展開はデプリースト盤は全曲演奏していないので評価のしようがありません。
せっかくの新録音なのですが低域がちょいと不足してコントラバスが充分音が拾いきれていないのが残念です。ティンパニの音もちょっと曇りがちで真澄ちゃん?の実力が出切れていないようです。同じセッションのはずですがこの第1楽章と第4楽章では明らかに音の響きの充実度が違います。ちょっとバランスが悪いです。
第4楽章はちょっと力が入りすぎているような印象です。導入部が終わってからのフルートの旋律は目一杯吹かせているのですがヴィヴラートが踊っていていただけません。ちょっと力が入り過ぎという感じです。しかし、コーダに向かっての盛り上がりは見事です。この楽章では、真澄ちゃんのティンパニ盛大に鳴り響きます。ライブ録音ではないのですが尻上がりに良くなっていくようでこの4楽章は爆演です。黒木君のオーボエもいい味出してます。
第4楽章はちょっと力が入りすぎているような印象です。導入部が終わってからのフルートの旋律は目一杯吹かせているのですがヴィヴラートが踊っていていただけません。ちょっと力が入り過ぎという感じです。しかし、コーダに向かっての盛り上がりは見事です。この楽章では、真澄ちゃんのティンパニ盛大に鳴り響きます。ライブ録音ではないのですが尻上がりに良くなっていくようでこの4楽章は爆演です。黒木君のオーボエもいい味出してます。
短調から長調へ、歓びのコラール。「悲劇」から希望と救済」へ歌え、という原作のフレーズを余すところなく再現しているようですね。無難な纏まりはデプリーストですが荒削りながら原作の味を彷彿とさせるのは千秋の指揮に軍配が上がります。
ドラマの方は終了してしまいますが、R☆Sオーケストラのメモリアムということではこのアルバム存在価値があります。
追記
レコ芸2007/01号のレコード特信の11月の売り上げチャートでこのCDがクラシック部門で13位にランクインしていました。発売後1年以上のCDがこの位置にいるのは驚異です。やはりドラマの影響でしょうね。