元ウィーン・フィル・コンマスによるグリーグ | geezenstacの森

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グリーグ「ペール・ギュント」の音楽 /ホルベルク組曲

曲目
Im Hochzeitshof 5:12
Der Hochzeitszug zieht vorbei 3:22
Der Brautraub, Ingrids Klage 5:04
In der Halle des Bergkönigs 2:13
Tanz der Bergkönigstochter 2:00
Solveigs Lied 5:14
Aases Tod 5:44
Morgenstimmung 4:56
Arabischer Tanz 4:34
Anitras Tanz 3:24
Peer Gynts Heimkehr 2:15
Solveigs Wiegenlied 4:27
Holbergs Zeit - Prelude* 2:45
Holbergs Zeit - Sarabande* 4:44
Holbergs Zeit - Gavotte - Musette* 3:05
Holbergs Zeit - Air* 6:19
Holbergs Zeit - Rigaudon* 4:00
Elegische Melodien - Herzwunden* 2:37
Elegische Melodien - Letzter Frühling* 4:26
指揮/ワルター・ウェラー
   ウィリー・ボスコフスキー*
演奏/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
   ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団*
録音/1978/05 1974/12*,キングスウェイ・ホール,ロンドン
P:アンドリー・コーナル クリストフアー・レイバーン*
E:ジョン・ダンカーリー ケネス・ウィルキンソン*

英DECCA 433 614-2

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 何とも、二人とも元ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めたというゴージャスな経歴の指揮者のCDです。ウェラーは1969年に指揮者に転向しましたが、ボスコフスキーは1950年代から指揮をしていました。

 ロイヤル・フィルはウェラーが当時常任を務めていたオケで気心の知れた演奏を展開しています。イギリスのオーケストラは北欧の音楽がよく合うようで、伝統的にシベリウスやグリーグの作品を数多く録音しています。ここでは、ペールギュントの音楽から12曲が抜粋されていますが、声楽を含む曲は含まれていません。通常の組曲とは違いストーリーに沿って演奏されています。

 ウェラーはけっこうムラのある指揮者のようで、来日時の批評を見ても賛否両論だったのですが、ここでは少なくとも成功しています。カラヤンのように重くならず、さりとてあっさりしすぎてムードミュージックのようにもなっていなくて、きわめてドラマチックな仕上がりをみせています。

 さて、ペールギュントは戯曲として作曲されているのですが、オペラではないので通常の演奏会では全曲はめったに取り上げられません。小生も生まれてこのかた、目にしたのは1回だけでそれもNHKのテレビで放映されたのを見ただけです。かなり以前の体験ですが、小山田宗徳氏が ペールギュント役で上演されたものです。この公演でペールギュントの作品の素晴らしさを知りました。それ以来、ペールギュントは出来るだけ組曲盤でないものを探して聴くようになりました。小山田さんはどちらかと言うと声優としての方が有名ですが、ちゃんとした俳優座養成所の出身の役者さんで、映画にも出ていました。 注1

 ホルベルク組曲以下はボスコフスキーの指揮によるものですが、ここでは珍しくウィーンのオケ以外を指揮しての演奏です。いわば他流試合みたいなものですが、ボスコフスキーは1950年代から指揮を手がけていましたからウェラーよりは年季が入っています。でも、どちらかというとドイツ、オーストリアものが主体でしたからグリークは珍しい部類でしょう。オーケストラは臨時編成のナショナル・フィルハーモニー管弦楽団ですが、ここでも弦のアンサンブルのこの曲をうまく纏めています。曲自体のせいなのか、デッカの録音にしてはやや軽く聴こえますが、弦のつややかな響きは素晴らしく、74年の録音ながら78年録音のペールギュントよりも明るい音色で快活な演奏を展開しています。さすが、元ヴァイオリニストだけあってこういう曲の料理はお手のものと言えます。
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 ところで、このディスク、DECCAのものですが、製造はハノーヴァー工場では無くイギリスプレスです。表示は MADE IN INGLAND BY PADとなっています。イギリス限定の発売か、ジャケット下には帯で「INCLUDES MUSIC USED IN NESCAFE COMMERCIAL」なんて記述があります。しかし、購入から10年以上経ってディスクの外周が変色してきてしまいました。それも、もともとはシルバーなのに高級感のあるゴールドへの変色です。今の所、音質には影響ないようですが、これって喜んでいいのですかねえ。

追記
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 このCD、日本では1997年に最初の「ロンドンCD名盤2800」シリーズとして発売されましたが、直ぐに廃盤になってしまいました。当時はレギュラーが3500円していたのでこれでも安かったんですねえ。ただし、日本盤は最後の「2つの悲しき旋律」が収録されてませんでした。

注1

小山田宗徳(俳優,声優1986/05/13 58歳)
1927年12月14日、福島県生まれ。俳優座養成所三期生。同期に穂積隆信、安井昌二。60年、小沢昭一ら七人で劇団俳優小劇場を結成。71年解散。甘いマスクと誠実なムードで初期の多くのテレビに主役を演じた。夫人は宝塚の娘役スター・日夏悠理で見合い結婚。1986年5月13日病没。後年は独特のもじゃもじゃした髪型と眼鏡が、トレード・マークで知的で落ち着いた役柄を演じていた。声優としても有名で、TV番組「ディズニーランド」のウォルト・ディズニー本人、名優ヘンリー・フォンダの吹き替えを初め、カルトムービーのプリズナーNo.6のパトリック・マッグハーンははまり役でした。