MJQのアランフェス | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

マンハッタン・ジャズ・クインテットのアランフェス


曲目
1.Contierto De Aranjuez(アランフェス協奏曲) / Joaquin Rodrigo 7:40
2.Blue Bossa(ブルー・ボッサ) / Kenny Dorham 5:28
3.Watermelon Man(ウォーターメロン・マン) / Herbie Hancock 8:56
4.Manhattan Tower(マンハッタン・タワー) / David Matthews 5:30
5.Cantaloup Island(カンタロープ・アイランド) / Herbie Hancock 7:54
6.Alfie's Theme(アルフィーのテーマ) / Sonny Rollins 10:29
7.Antonio Morase, Luiz Bonfa(黒いオルフェ) / Black Orpheu 7:36
8.Midnight Sun Will Never Set(真夜中の太陽は沈まず) / Quincy Jones 6:54

Devid Matthews  :Piano
Lew Soloff     :Trumpet
George Young   :Tenor Sax、flute
Charnett Moffett  :Bass
Victor Lewis     :Drums
Eddie Gomez    :Bass(1、7)
Steve Gadd     :Drums(1、2)

録音 1994/05/11,21,ジャイアント・スタジオ,ニューヨーク
P: デビット・マシューズ、川島茂之
E: チャズ・クリフトン

APOLLON APCZ8013

イメージ 1


 MJQといっても、こちらは現在も活躍中のマンハッタン・ジャズ・クインテットのアランフェスです。
「アランフェス協奏曲」、この曲をJAZZ界で最初に取り上げたのは、いわずと知れた、マイルスとギル・エバンスです。「スケッチ・オブ・スペイン」がそれで、ジャズのアランフェスはここから始まっています。16分20秒の音のコラボレーションは華麗なオーケストラ・アレンジとともにマイルスの世界を作り出していました。ここでは「アランフェス」はその半分以下、複雑なアレンジではなくストレート勝負といった感じで、聴きやすい仕上がりです。いきなりルー・ソロフのミュートで聴かせてくれます。ジョージ・ヤングはフルートも吹いていますねえ。これが意外と聴けます。ガッドのフュージョンぽいドラムスが冴えます。ガットはジム・ホールのアランフェスでもドラムスを叩いています。

「Blue Bossa」はケニー・ドーハムの有名な曲です。ドラムスが刻むテーマに入る前のイントロがかっこ良いです。これはフュージョンの乗りでガッドのドラミングが冴えてます。、ルー・ソロフのソロのハイトーンのペットの音がかっこいいです。MJQは別のアルバムでもこの曲を取り上げていますが、余程お気に入りなんでしょうなあ。この曲のみフェイド・アウトになっています。


「ウォーターメロン・マン」は明らかにドラムスのセッティングが1,2曲目と違い、ヴィクター・ルイスのドラムスだと分かります。どことなく。デイブ・ブルーベック・クアルテットのジョー・モレロのドラミングを感じさせます。さびの部分のまったり感がなんともいえず、遊び心満載のソロフのペットとヤングのサックスが聴き物です。ハービー・ハンコックの曲は「カンタロープ・アイランド」も収録されています。

「マンハッタン・タワー」はマシューズの作品で、このアルバム唯一のオリジナルです。ピアノの連続打音がニューヨークの喧噪を感じさせます。軽快で都会的なセンスの曲ですが、遊び心も忘れず、途中、さりげなくプロコフエフの「ピーターと狼」の旋律を挟み込んでいます。

「アルフィーのテーマ」、1966年のマイケル・ケインが主演した映画の主題曲ですが、ソニー・ロリンズが書いていたんですねぇ。とっても分かりやすい、聴きやすい演奏です。曲の長さからいえばこの曲がメインでも良かったのではという仕上がりです。元が元だけにテナーのソロが良いです。ジャズとフュージョンのコラボレーションといった所でしょうか。

「黒いオルフェ」はボサノバのリズムでテンポ良く、すっきりと演奏されています。ゴメスの乗りのいいベースがラインを押えてその上をサックスが縦横無尽に吹き捲くります。トランペットもハイトーンで入り込んできます。ピアノもバッキングに徹していいサポートをしています。いい乗りです。

「真夜中の太陽は沈まず」はクインシーのスローバラードです。なかなか味わいのある、ムーディな曲です。フォービート・ジャズのセオリー通りの展開で、安心して聴いていられます。まさにクロージングにはうってつけのナンバーに仕上がっています。

 こんな風に、選曲はほとんど有名な曲で、アレンジも聴き易く分かりやすい。ゲストは前任のベーシストとドラマーという人選です。演奏にもう一ひねり欲しいと思われるところもありますが、このシンプルさが受けているのでしょうか。