ブラームス交響曲第1番 その2 | geezenstacの森

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ハンス・スワロフスキー

ブラームス交響曲第1番

 
曲目
ブラームス交響曲第1番
1 No.1 In C Op.68-1 Un Poco Sostenuto; Allegr14:28
2 No.1 In C Op.68-2 Andante Sostenuto 09:08
3 No.1 In C Op.68-3 Un Poco Allegretto E Grazioso04:50
4 No.1 In C op.68-4Adagio; Allegro Non Troppo, Ma Con Brio15:57

 

指揮/ハンス・スワロフスキー
演奏/南ドイツフィルハーモニー管弦楽団

 

MEMBRAN 222114-444 原盤CASCADE MEDIEN

 

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 ハンス・スワロフスキーは不思議な指揮者です。1899年9月16日 ブダペストに生まれ1975年9月10日 ザルツブルクで亡くなりました。スワロフスキーはシェーンベルク、ウェーベルンに音楽理論を学び、ワインガルトナー、R.シュトラウスに指揮を師事。シュトゥットガルトを振り出しに、ハンブルク、ベルリン国立歌劇場、チューリヒ歌劇場の指揮者を歴任し、第2次大戦後はグラーツ歌劇場の音楽監督やウィーン国立歌劇場の指揮者も務めました。しかし、指揮者としてよりもウィーン音楽大学指揮科の教授として著名で、門下にクラウディオ・アバド、マリス・ヤンソンス、ズービン・メータ、アダム・フィッシャー、イヴァン・フィッシャーらを輩出しています。日本人指揮者では、尾高忠明や湯浅卓雄、矢崎彦太郎らがが師事していました。

 

 ブラームスの交響曲全集は数あれど、知る人ぞ知るスワロフスキーの演奏がまとめて聴けるのはおそらくこれだけではないでしょうか。けっこう録音はあるはずなのですがまとまった形での発売は意外と無いようです。小生は、LP時代はコンサートホールのレコードでその演奏に親しんでいました。CDでは他にPICKWICKレーベルから発売のベートーヴェンの交響曲第3、8番などを所有していて、その堅実な指揮ぶりを堪能しています。

 

 意外に正統的?な、ガッチリしたドイツ風の響きとよく整ったアンサンブルで、いぶし銀のような演奏です。録音年は不詳ですが(多分60年代?)、そんなに悪い録音ではありません。ただ、編成は小さいようで時に弦のアンサンブルが薄く聴こえます。まあ、ブラームスの生きてきた時代は本来はこんな程度の編成であったはずですから、そう思って聴くと違和感はありません。現代のオーケストラがやたら肥大しすぎた響きで演奏しているようですから。

 

 第1楽章冒頭は変に力を入れた利せずに淡々と和音を響かせます。しかし、どっしりとした足取りで、インテンポでスケール感のある演奏を展開します。第2楽章もバランスのとれた演奏で、ソロ・ヴァイオリンも決して上手いとはいえませんがオーケストラのサウンドに溶け込んでいます。第3楽章もことさらソロ楽器をクローズアップする事無く淡々とした演奏です。第4楽章もそれは同じで、全体の響きが調和したバラン胃のいい響きです。前日のバーンスタインのように熱く燃える演奏ではありません。しかし、楽譜の音を一音たりともおろそかにせずまた、変に小細工もせず堅実に音に置き換えています。何も足さない、何も引かないという教科書のような演奏です。まあ、録音だけがやや貧弱なので、低音部の響きが不足して重量感に欠ける点は残念です。
 

 

 

 

 

 

 曲の本来の構造を知るにはうってつけの演奏でしょう。これは1番だけに限らず2-4番も同じスタンスなので、小生のコレクションではスタンダードな演奏としての位置づけとなりえます。