指揮/ニコラス・アーノンクール
演奏/ヨーロッパ室内管弦楽団
録音1993/06,1994/07*
ステファニエン・ザール,グラーツ
P:ヘルムート・ミユーレ
E:ウォルフガング・モール
演奏/ヨーロッパ室内管弦楽団
録音1993/06,1994/07*
ステファニエン・ザール,グラーツ
P:ヘルムート・ミユーレ
E:ウォルフガング・モール
独TELDEC 4509-90867-2

このヨーロッパ室内管弦楽団を指揮したシューマンの響きは独特です。まず、第1稿となる1814年版の交響曲第4番は、今まで聴き慣れた楽想とはかなり違うので驚かされます。そして、後に改訂され現在の形に落ち着いた理由が納得出来ます。
第1楽章の冒頭からしてその違いが歴然としています、いつも、問題視されるシューマンのオーケストレーションの欠点を、はからずしもここでは耳で確認出来てしまいます。そういう意味でも、この演奏は一聴の価値があります。
全楽章続けて演奏されるというこの曲の様式に変更はありません。第1楽章終了と同時に第2楽章のオーボエの和音が響く「間」は絶妙です。第3楽章はスケルツォでプレストからラールゴになるのですが、この演奏はこの指示に忠実です。アーノンクールはやや早めのテンポで開始し、中間部はびっくりするほどスローなテンポになるのですが、最初聴いた時はなんで?というほどびっくりしました。でも、これが指示通りの演奏ということで納得。うーん、この曲の新しい発見でした。一番。改訂版と大きく違うのは第4楽章でしょうか。聴き方によっては全く違った曲に聴こえます。でも、印象としてはちょっと散漫で構成に欠ける印象がやはりあります。
第3番の「ライン」もアーノンクール節か響き渡る独自の解釈ですが、50名程度のヨーロッパ室内管弦楽団を見事にドライブして、透明感のある見通しの良い「ライン」を響かせています。

ところで、この録音、第3番と第4番ではオーケストラの配置が違っています。第3番では第1と第2のヴァイオリンを左に寄せてヴィオラ、チェロ右後ろにコントラバスという配列をとっています。ところが。第4番ではヴァイオリンを両翼に配置しコントラバスは左手奥に配置しているのです。それにともないティンパニは第3番は左側に、第4番では右側に配置されて鳴ります。シューマン時代の響きを再現したということですが、なかなか興味深い響きが聴き取れます。
ヨーロッパ室内管弦楽団のメンバーはかなりフレキシブルなようで第3と第4ではけっこうメンバー構成が違います。曲の性格を反映させているのか、はたまた結構な数のエキストラを抱えているのかは定かではありません。特に管楽器は主要メンバーがけっこう違っています。