アップタウン・ストリング・カルテット | geezenstacの森

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マックス・ローチ・プレゼンツ/アップタウン・ストリング・カルテット

曲目

01 エクステンションズ
02 レット・アス・ブレイク・ブレッド・トゥゲザー
03 ジェリー・ローグ・ラグ
04 トリコティズム
05 イージー・ウィナーズ
06 ソング・フォー・ウィニー
07 オーバーチュア
08 アンド・ビー・ネバー・セッド・ア・マンブリン・ワード
09 リメンバリング
10 ミッドナイト・チャイルド
11 カルバリー
12 チャタフーチー・レッド


ヴァイオリン ダイアン・モンロー、レサ・テリー
ヴィオラ   マキシン・ローチ
チェロ    アイリーン・フォルソン

録音 198904/19-22
   マスター・サウンド・アストリア,ニューヨーク
P: マックス・ローチ
E: ベン・リッツィ

日PHILIPS EJD-12
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 鳴り物入りで登場したグループですが、ぱっとしなかったようで日本ではこのアルバム一枚しか発売されなかったのではないでしょうか。本国アメリカではこの後1991年に「Just Wait a Minute!」というアルバムが発売されています。メンバーはそうそう足るもので、ジャケットにジャズドラマーの巨匠マックス・ローチプレゼンツの文字がある通り、ヴィオラにはローチの愛娘のマキシン・ローチ、ヴァイオリンには名トランぺッター、クラーク・テリーの姪っ子のレサ・テリーが在籍し、チェロのアイリーン・フォルソンはニューヨーク・フィルにも在籍した事のある経歴の持ち主で実力者揃いです。

 このCDは、以前各地で開催されていた日本レコード協会が主催していた廃盤セールでゲットしたものです。でも、けっこう気に入っていてMJQのアルバムとともによく聴いています。こういうアルバムは日本では受け入れられないんでしょうかねえ。

 アルバムの1曲目は、クラシックの現代音楽と聴き間違うかと思えるような旋律の曲でマックス・ローチが作曲している「エクステンションズ」です。まるでクロノス・カルテットの演奏を聴いているような雰囲気で思わず身を乗り出して聴き入ってしまいます。4曲目はピチカート奏法で弾かれる佳曲です。5曲目はスコット・ジョッブリンの名曲「イージー・ウィナーズ」です。ピアノの原曲も良いのですが、このアレンジによる演奏もしゃれていて、ゆったりとしたテンポで余裕とユーモアが感じられます。

 まあ、初のアルバムということでけっこういろいろなものを詰め込んでいますが、メッセージ性もちゃんとあり、6曲目の「ソング・フォー・ウィニー」は南アの指導者ネルソン・マンデラ氏の妻ウィニーに捧げたレズリー・バーズの作品ですし、最後の「チャタフーチー・レッド」は1970年代に起きたアトランタ州のチャタフーチー河での黒人の幼児殺害事件をモチーフにした作品です。

 まあ、そんな事は知らなくてもジャジーなムードいっぱいのストリング・カルテットの音が広がります。