イ・ソリスティ・ヴェネティの四季
曲目1 ヴァイオリン協奏曲 ホ長調 RV 269 《春》
2 ヴァイオリン協奏曲 ト短調 RV 315 《夏》
3 ヴァイオリン協奏曲 ヘ長調 RV 293 《秋》
4 ヴァイオリン協奏曲 ヘ短調 RV 297 《冬》
5 ヴァイオリン協奏曲 変ホ長調 RV 253 《海の嵐》
6 ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 RV 180 《歓び》
7 ヴァイオリン協奏曲 変ロ長調 RV 321 《狩猟》
ヴァイオリン/ピエロ・トーゾ
指揮/クラウディオ・シモーネ
演奏/イ・ソリスティ・ヴェネティ
指揮/クラウディオ・シモーネ
演奏/イ・ソリスティ・ヴェネティ
E:ピーター・ヴィルモース
録音 1971
録音 1971
日エラート R25E-1012

シモーネはヴィヴァルディの四季を何度と無く録音していますが、これは2回目の録音で、作品8の全曲録音から抜粋された7曲を収録しています。思えば1969年にマリナー/アカデミー室内管弦楽団による革新的な録音が発売されてから、四季は様々な演奏スタイルが出現するようになりました。この演奏も少なからずその影響を受けていると思われる節があります。
まず、通奏低音の扱いが非常に自由で装飾音が至る所に散りばめられています。そして。ピエロ・トーゾのソロ・ヴァイオリンもテンポを自由に動かし、生き生きとしたパロック時代の息吹を感じさせてくれる演奏となっています。
春の第1楽章の冒頭などは非常にあっさりとした開始で、イ・ムジチのそれとは対極の解釈といってもいい表現です。この第1楽章の中間部は極端にテンポを落としたりして、聴くものをびっくりさせます。夏の第1楽章では短いスタッカート気味の開始で燃え盛る酷暑の日差しの厳しさを表現しています。聴き物の冬の第2楽章のラールゴは意外のノン・ヴィヴラートのあっさりとした表現で期待していると裏切られました。反対に通奏低音のチェンバロの方が自由に動き回ります。いろいろな仕掛けを発見出来て、改めてこのディスクの面白さを発見出来ます。
四季だけに目を奪われがちですが、全集録音から収録されている「海の嵐」、「歓び」、「狩猟」も聴き応えのある演奏です。特に「海の嵐」でのチェンバロの響きは非常にチャーミングでうっとりしてしまいます。
まあ。今となれば古楽器による演奏ではないので再発されにくい状況にありますが中古品で発見したら救出してもらいたいものです。ちなみに店頭で発売されているのは、この録音ではなく1982年に再録されたものです。
なを、このCDはBMG時代の発売品で仏エラートの「BONSAI」シリーズの一枚です。日本の盆栽をテーマにしたジャケットを採用しており、きわめて品のいいシリーズでした。面白い事にこのCDが発売された1988年はこれとは別にRCAのパビヨンシリーズも同時発売されており、こちらにはクルトレーデルの指揮で四季が収められていましたがレコード番号はR25E-1001と連番の扱いになっています。