曲目
1.メイン・タイトル (3:03}2.奇襲攻撃 (5:06}
3.スポック (1:10)
4.カークの応酬(4:02)
5.カーンズ・ペット (4:18)
6.エンタープライズ号の出発 (3:32)
7.ムタラ星雲の戦い (8:02)
8.創造への秒読み (6:32)
9.エピローグ~エンド・タイトル (8:40)
作曲:ジェームス・ホーナー
オーケストレーション:ジャック・ヘイズ
オーケストラ・マネージャー:カール・フォーティナ
オーケストレーション:ジャック・ヘイズ
オーケストラ・マネージャー:カール・フォーティナ
録音1982
米GNP GNPD8022(CD)
日ATLANTIC P-11301(LP)
日ATLANTIC P-11301(LP)

1979年のデビュー作「ジェラシック・ジョーズ」「赤いドレスの女」から僅か3年後、この素晴らしい作品で映画音楽ファンを唖然とさせたジェームズ・ホーナー。前作のジェリー・ゴールドスミスに代わって大役を見事にこなし、ジョン・ウィリアムスばりに90人編成のフル・オケでこの大作を仕上げた力量はたいしたものです。ただ、この作品はオーケストレーションにJack Hoyesの力を借りているようです。しかし、自身は「スペクトラム・シマーズ」というクラシックの管弦楽作品を作曲しているほどです、その後の活躍を見れば力量はあるのは当然のことです。
さて小生は劇場版として公開されたSTの作品の中で音楽としての完成度の高さはこの第2作が最高だと思っています。第1作のジェリー・ゴールドスミスが結構手の込んだ音作りでたのしませてくれて、STのテーマソングといえば彼の作品をさすのが一般的ですが、ことサントラとしての音作りの完成度の高さはホーナーの作品の方が勝っており、彼の最近の作品まで含めてもベストの出来に入ると考えます。アレクサンダー・カレッジの作曲したTV版のテーマを巧く生かし、それを自身のテーマの中に実に違和感無く取り入込んでいる手法も見事です。ストーリーは難解な第1作の批判を受けてTVシリーズのエピソードの続きで語られているものの音楽は重厚で分かりやすいストーリーにぴったりフィットしています。
まだまだCDというフォーマットが普及する前はレコードからカセットにダビングし、車の中でくる日もくる日も飽きること無くこのサントラをかけ続けていた日々を思い出します。特に「エンタープライズの出発」や「ムタラ星雲の戦い」なんかは出色の出来で音楽だけ聴いてもわくわくするシーンが思い起こされるます。
「スター・トレック」のサントラはオムニバス盤も何枚か作られましたが、その中に「THE ASTRAL SYMPHONY」と題された第5作までのシリーズのそれこそシンフォニックな聴き所を集めたCDが発売されました。ジェリー・ゴールドスミス、レナート・ローゼンマン、そしてジェームン・ホーナーの3人の作曲家の競演であったのですが、その中でもこのホーナーの第2作の音楽が一番光っていました。彼の付ける音楽は作品からは切っても切れないメロディが映画の場面のそこここにちりばめられているものが多く親しみやすい主題曲というもはあまり存在しません。ですが、この作品だけは映画を切り離して聴いても魅力的な旋律にあふれ、音楽だけでも鑑賞に堪えられる内容を持っている極上のサントラだに仕上がっています。
映画はCICのロゴとともに「メインタイトル」が流れ、星が流れるスターウォーズばりのタイトルのバックに堂々としたテーマが響きます。このゆったりと星が流れるシーンは変にストーリーが進行しなくて、映画への感情移入にぴったりの時間を提供してくれます。
「エンタープライズ号の出発」は実際には映画の最初の方に登場する音楽で、ドックから出発するシーンで使われています。エンタープライズがアップで映り、ゆっくりとドックを離れる様がオーケストラの全奏に続き、小太鼓の連打音に乗ってハープの音色に乗って優雅に奏でられます。出色のアレンジです。
「ムタラ星雲の戦い」では互角の条件を得るためにエンタープライズ号が星雲に突入して最後の戦いに挑みます。ここの音楽もすこぶる場面にマッチした素晴らしい音楽で魅力的な旋律が次々と登場し場面をもり立てています。宿敵カーンの乗った「リライアント号」との対決は本当にわくわくさせられます。
映画音楽としてはまったく無駄な曲が一曲も無くすばらしてアルバムです。映画の中では聞き逃してしまう旋律が、こうしてCDで単独で鑑賞出来る喜びを一番感じることができるアルバムの一枚です。
作品としては前作に比べいささか小粒ながらTV的手法で続き物として楽しみを残させ、スポックの死という衝撃的な結末でファンをやきもきさせる展開でわくわくさせてくれます。何よりも分かりやすいのが良いですね。余談ですが、スポックの葬送のシーンでバグパイプによる伝統的な「アメージング・グレイス」が使われていたのが印象的でした。