今日の一枚 04/11 ショスタコーヴィチ/交響曲第12番「1917年」 | geezenstacの森

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ショスタコーヴィチ「交響曲第12番/1917年」

ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/ソビエト国立文化省交響楽団
英OLYMPIA OCD 111

 今はもう処分してしまって無いのですがこの曲との出会いはオーガン・ドルヤン/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のレコードでした。新譜として発売されたのにいきなり廉価盤での登場でした。全く未知の指揮者でゲヴァントハウス管弦楽団との組み合わせも意外でした。録音は1967年でマズアがまだ常任になる前の頃です。これが非常に分かりやすい演奏でロシアのオケや指揮者によるパワフルな演奏とは一線を画したすっきりとした演奏でした。最近CD化されたようですが入手できていなくて残念です。

曲はショスタコーヴィチの全交響曲の中でも分かりやすいもので小生も7番、9番、5番に次いでよく聴く曲です。曲は4楽章構成ですが全曲は続けて演奏されるように書かれておりこのロジェストヴェンスキー盤は全曲を1トラックで捉えています。ほかの演奏もタイミングは売ってありますが演奏は繋がっています。

 この曲になると初演は1961年10月1日で現代音楽の部類に入ります。でも秒に分かりやすい曲です。第12番の第1楽章第2主題は、この曲の統一主題でもあり、ドーシド、という動機は、言うまでもなく、ブラームスの第1番の主題とと同じ音型です。これはショスタコーヴィチの第12番が、ベートーヴェンの「第九」、ブラームスの第1番と流れる「歓喜」の引用の系譜に連なる作品であるいいっていかもしれません。また第4楽章の冒頭には人によってはこの主題がディアスイレイの主題がさりげなく使われていると感じる人もあるようです。

第1楽章「Революционный Петроград(革命のペトログラード)」
第2楽章「Разлив(ラズリーフ)」
第3楽章「Аврора(アウローラ)」
第4楽章「Заря человечества(人類の夜明け)」

と各楽章に標題がつけられ、交響曲第11番ほど直接的な描写性は見られないものの、十月革命にまつわる数々のエピソードを十分に想起させ得る作りになっています。ショスタコーヴィチの作品にはよくパロディ的に他人の作品が使われたり隠しメッセージがあったりと詮索好きにはたまらない魅力がありますが、この曲にも「Es-B-C」という音型がスターリンの頭文字を採ったものとかショスタコーヴィチのイニシャル「D-Es」が最終楽章で使われているとかで話題に事欠きません。

 ショスコーヴィチは好きな作曲家でこの曲もコンドラシン、ロストロポーヴィチ、バルシャイ、ハイティンク、スロヴァーク等は所有しているのですが今ひとつぴったりのものがありませんでした。その中でこのロジェストヴェンスキー盤は非常に分析的でありながら一本筋が通っており、当時のソビエト政府から専用のオーケストラを用意してもらい思う存分コントロールして演奏した録音だけに曲の本質を良く理解できる分かりやすい演奏です。