クルト・マズア/ブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」
指揮/クルト・マズア
演奏/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
演奏/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
コロムビア COCO-6764
録音 1975/06/29-07/01
録音 1975/06/29-07/01
クルト・マズアは日本では「振ると不味いわ」とあだ名され、今ひとつ人気はぱっとしない。決して下手な指揮者ではないが個性が感じられないので代表盤というのが存在しないんだろうなぁ。
この「ロマンティック」は東独シャルプラッテンとオイロディスクの共同制作となる一枚で75年から78年にかけて完成した全集の中の一枚です。ただ、このオイロディスク、今はRCA翼下からソニーグループになっています。70年代は積極的に全集に取り組みベートーヴェン、メンデルスゾーン、シューマンなどの作曲家のものを完成させています。当時の東ドイツの国策だったのかもしれませんがマズアは精力的に録音していました。そしてこのブルックナーはゲヴァントハウス管弦楽団としても初になる全集の録音でした。ルカ教会でのこの録音はアナログ後期の録音にもかかわらずテープヒスが目立ちブルックナーの分厚いサウンドが捉えきれず、音像もやや左チャンネルに偏ったところがあってマイナスの面もありますがなかなかオーケストラは鳴っています。
とくに第1楽章の後半のチェロの旋律はこぼれんばかりのフレージングで歌い聴かせてくれます。マズアの解釈はここでも中庸で早すぎずの指定通りのテンポで18分台で演奏しています。
とくに第1楽章の後半のチェロの旋律はこぼれんばかりのフレージングで歌い聴かせてくれます。マズアの解釈はここでも中庸で早すぎずの指定通りのテンポで18分台で演奏しています。
マズアはニューヨーク・フィルと再録していますが金管ばりばりのニューヨークよりくすんだサウンドのゲヴァンとハウスの方が遥かにブルックナーらしいサウンドです。一応「原典版」という表記になっていいますが聴いた限りではハース版に近い演奏です。最近SONY BMGから発売された全集はハース版の表記に変わっています。
今回この一文を書くにあたって再度聞き直してみましたが所々はっとするような音の響かせ方をしていますが、やはりマズアは中庸な解釈で玉手箱的な驚きはありません。ゲヴァンとハウスの渋い音は聴き応えがあります。まあ、その分安心して聴いていられるということの裏返しになっているのでしょう。