今日の一本 04/07 「ターミナル」トム・ハンクス | geezenstacの森

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ターミナル」トム・ハンクス/スピルバーグ


監督:スティーブン・スピルバーグ
製作:スティーブン・スピルバーグ 、ローリー・マクドナルド 、ウォルター F パークス
原案:アンドリュー・ニコル 、サーシャ・カヴァン
脚本:サーシャ・カヴァン 、ジェフ・メサンソン
音楽:ジョン・ウィリアムス
出演者:トム・ハンクス 、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ 、スタンリー・トゥッチ 、チー・マクブライド 、ディエゴ・ルナ

角川エンタテインメント DWBF10005

 最初この映画の予告を見て、なんで空港から出られないのか意味がよくわからなかったので劇場公開はパスしていた作品でした。DVDで発売されて、まあトム・ハンクスの映画だからつまらなくはないだろうという軽い気持ちで観たのですがこれがぐっと胸にくる素晴らしい映画で、思わず目頭が熱くなってしまいました。

 主人公ビクターはは架空の東欧のクラコウジアという国から父親の夢を叶えるために渡米したのに祖国がクーデターが起こりパスポートが無効になってしまうところから物語が始まります。何の予備知識もないままにこの映画を見たので、ビクター同様見る側も何故入国出来ないのかなかなか分からないので途方に暮れてしまいます。それでかえって先入観なしにこの映画に接することができ、感情移入がしやすくなってのめり込んで観ることができました。

 何も伝手もないビクターがまず、金を稼ぐために仕事を探し、英語を勉強し、友人をつくり、1日1日成長していく姿が、アメリカという多国籍国家的人間の集まりを象徴させるかのような、凝縮した空港の中で、色々な物語として展開されていくのです。空港警備局から様々な妨害を受けながらも改装中の67番ゲートのスペースで寝泊まりし、手に職を持っていて自ら改装工事に参加しそれで給料をえるまでになるなるのです。何の取り柄もない小生にとってはうらやましい限りです。腕さえあれば実力で仕事が貰えるというアメリカ社会のバイタリティを垣間見て、まだまだアメリカンドリームは存在するということを感じました。

 空港警備局とのやりとりも観もので、強制退去させたい空港側と入国したいけれども規則を破ってまで入国したくないビクターとの駆け引きも面白いです。最後には法を犯して入国してしまうのですが、それを見逃すシーンも観ていて清々しいものがあります。最後に父親の夢を果たすべくタクシーでニューヨークのラマダ・イン・ホテルへ向かいますが、目的はベニー・ゴルソンのサインをもらうことなのです。そのビクターの晴れ晴れとした表情は何ともいえない共感を誘います。この映画ジャズに少しでも興味のある人ならもっと面白く観ることができるでしよう。

 実在の人物をモデルにしているだけあってストーリーにはしっかりしているし、れいによって名コンビのジョン・ウィリアムスの音楽もクラリネットをフューチャーしたオーケストラサウンドで聴かせてくれます。またひとついい映画に巡り会えました。
 
 最後に、この映画は日本語吹替えで観ることをお進めします。英語が喋れないビクターが言葉を覚えていく過程は字幕ではいまいち追いきれていませんから。