=== 星新一「ボッコちゃん」===
著者: 星新一
出版社: 新潮社(文庫)
発売日: 1971/05
出版社: 新潮社(文庫)
発売日: 1971/05

本棚を整理していたら星新一氏の作品がぞろぞろ出てきました。もうなくなられたので新作が出ないのは寂しいですが、学生時代に読んだ懐かしい作品の中で「ボッコちゃん」は最初に文庫本化された作品だけに思い出深いものがあります。これは昭和61年に発表された「人造美人」を改題したもので、その名から推察されるように女性型アンドロイドの名前です。氏の作品のベースはSF、ファンタジーで初代日本SF協会の会長に就任していました。
氏の作風のショートショートはフレドリック・ブラウンらの影響を受けて完成したもので独自境地を開いています。蛇足ですが小生のニックネームのgeezenstacはこのフレドリック・ブラウンの小説のタイトルに由来しています。もっともgeezenstackが正しいのですが何かの登録のときに字数制限に引っかかり最後のkが抜けてしまいそのまま現在に至っています。氏のショートショート作品は1000作を超えますがアラビアンナイトよろしく1001作目を記念作としていたようにユーモアに溢れた人でした。「ボッコちゃん」もそういう短編の寄せ集めですからどれがどうのということではなく登場人物にしても具体的でなくN氏とか地名も具体的でないし社会環境、時代背景も中性的でまさに無国籍的ストーリーになっています。それは20カ国語以上に翻訳され世界中で読まれていることからも分かります。そして、どの本をとっても内容は現代のイソップ物語風なアイロニーが込められています。

1話3分もあれば読めるのでカップラーメン世代や忙しい現代人には最適な作風でしょうね。通勤通学のお供にどうぞ。