今日の一冊 03/24「モーツァルトは子守唄を歌わない」 | geezenstacの森

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モーツァルトは子守唄を歌わない

著者 森 雅裕
発行 講談社 
 
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 子供の頃は「モーツァルトの子守唄」として親しんでいた「眠れよい子よー」で始まるこの曲の楽譜にまつわるミステリー小説。1985年に発表され第31回江戸川乱歩賞受賞作品でした。丁度この年ミロシュ・フォアマンの映画「アマデウス」が公開されサリエリによる毒殺説が盛り上がったのでそちらに喰われてしまった感がありました。元々は講談社からのしユッパンでしたが昨年復刊ドットコムの尽力で復刊されています。

 歴史上の著名な作曲家がぞろぞろて出てきていや楽しいこと楽しいこと。ベートーヴェンを筆頭にツェルニー、シューベルト、サリエリ、モーツァルト未亡人のコンスタンツェなどなど。サリエリによる毒殺説がベースになりながらも魔笛に隠された秘密から銀メッキによる中毒へと話が進んでいくに従ってちょっと音楽を聴きかじったものなら着想が面白くまた、文体がコミカルで知らないうちにストーリーにのめり込んでしまいます。ベートーヴェンの探偵約もさることながらチェルニーが意外な活躍で楽しめます。結構時代背景は史実に基づいているようでモーツァルトの墓の捜索など墓守も登場してさもありなんという解釈でその昔ウィーン旅行の際は共同墓地に足を運んだ小生としてはより身時かなて席ごととして興味がわきました。
 
 復刊も今年がモーツァルト・イヤーということを見越してのものだと思いますがもっと読まれてもいい作品なんでしょうねぇ。ちなみに講談社からのハードカバー版にはこの作品の選出理由が書かれてあって興味深い後書になっています。さあ。ブックオフへ行って探しましょう。

 蛇足ですが「モーツァルトの子守唄」は実際はフリースという作曲家の手になるものです。


という曲です。

写真1はハードカバー/講談社版
写真2は復刊の表紙、こちらの方がコミック・ミステリーとしての中身を的確に表現しています