ベルリオーズ/幻想交響曲
メータ/ニューヨーク・フィルハーモニック
ユニバーサル/DECCA F35L-50136
録音:1979年10月 ニューヨーク、エイヴリー・フィッシャーホール
DECCAの看板アーティストとの一人だったメータはロス・フィル時代が一番輝いていたように思います。出すレコードは次から次にヒットしベストセラーになって話題に上lりました。「惑星」しかり、「ツァラトウストラはかく語りき」「春の祭典」しかりでした。しかし、ロスを離れブーレーズの後任として1978-91年のシーズンからニューヨーク・フィルの常任を務めました。この在任期間はバーンスタインよりも長いのですが、前任のバーンスタインがほとんどのめぼしいレパートリーをCBSに録音していたし、メータ自身もロス・フィルを中心にウィーン・フィル、イスラエル・フィルと組んでDECCAに大量の録音を済ませた後だったので、どうしてもメータ、ニューヨーク・フィルの録音は二番煎じになってしまった嫌いがあります。しかし、不思議なことにこのニューヨークフィル時代を含め単発の録音はありましたが、メータは今もってベートーヴェンの交響曲全集を録音していません。
そんな中で、この幻想はDECCAに録音されたニューヨーク・フィルの珍しい録音であるとともに、意外にもメータ初のディスクとなったものです。ニューヨークフィルの音楽監督になって間近の演奏で、デジタル録音になったばかりの頃の演奏でした。
このディスクの特徴は第二楽章で採用されたコルネットの奏でる華やかな演奏である。このコルネット版はコリン・デイヴィスが使う版だでしたが、コルネットがひときわ目立ち既存の譜面バージョンではない華やかさがあります。本場ウィーン仕込みのメータの奏でるワルツは優雅でひときわ輝いていて楽しめます。
第3楽章におけるイングリッシュホルンのソロ演奏もなかなかのものです。また第4楽章から第5楽章にかけてのフォルテシモにおける低音をきかせたバランスのよいサウンドはDECCAの素晴らしい録音に支えられさすがといえる出来映えになっています。メータは後にロンドン・フィルと再録していますが、ほとんど話題になっていないのも不思議なものです。
併録のマゼール/クリーヴランド管弦楽団の序曲「ローマの謝肉祭」は75年のアナログ録音です。