今日の一本 03/10 映画「Z」 | geezenstacの森

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「Z」/監督コスタ・ガブラス 主演イブ・モンタン、ジャック・ペラン


1969年、フランス,アルジェリア合作
音楽/ミキス・テオドラス

発売元: 東北新社
品番: TCD-1044
 2002年に発売されたがもう廃盤になっている。1969年のアカデミーで外国映画賞を、カンヌでは主演男優賞をジャン・ルイ・トランティニアンが受賞している。非常に政治色の強い映画で実際にギリシャで起こった事件をベースに描いているので当時軍事政権下にあったギリシャでは上映禁止になった作品である。制作スタッフはフランス人が主体だが監督はギリシャ生まれのコスタ・ガブラス、そして音楽はこちらもギリシャ音楽界の重鎮ミキス・テオドラスが担当していた。「その男ゾルバ」「魚がでてきた日」「死んでもいい」などとともに「告白」「戒厳令」などのコスタ・ガフララスとの名コンビの作品が知られている。さて、作品の背景をちょいとシネマ・オンラインから引用すると

 1963年5月22日ギリシャで起きた, 右翼王党派による左派平和主義者グリゴリス・ランブラキス(Grigoris Lambrakis)暗殺事件を題材に,国家権力による犯罪を強烈に糾弾する硬派な作品。作品の事件も5月22日に設定されている。硬派ではあるが,事件の真相が究明される点で社会派映画としての娯楽性が保たれている。
 こんなに硬派な作品が支持を得たと言うのは,当時のフランス民衆の政治意識の高まりが背景にあるだろう。前年の1968年にはフランスの学生運動によって「五月革命」が起きている。ちなみに1968年は世界が激動した年で,チェコスロバキアのプラハの春とソ連の軍事侵攻による弾圧,アメリカでは公民権運動の象徴キング牧師の暗殺と大統領候補ロバート・ケネディの暗殺が起きている。
 さて,ギリシャの歴史を簡単に振り返ると,1829年にオスマン・トルコ帝国から独立し立憲君主制となる。1919~22年のギリシャ・トルコ戦争(ビザンチン帝国vsイスラム帝国=キリスト教vsイスラム教の再燃)を経て一時的に共和制(1924~35)となる。第二次大戦ではイタリア軍とドイツ軍が侵攻し,レジスタンス活動の中心として共産党が台頭する。1946年に王政復古するが,王党派と共産党の対立による内乱状態となる。1967年に軍事クーデターにより軍事政権が樹立し,1973年に王制が廃止される。1974年学生運動の激化により軍事政権は崩壊し共和制に復帰している。その後は順調に発展し1994年には「アテネ・オリンピック」が開催されたのは記憶に新しいところだ。
 ところで、タイトルの「Z」は何を意味しているかというとギリシャの古語「ZE!」に基づいたもので、その意味は「彼は生きている」というものだ。こんな意味あいがあったためにギリシャでは政治運動に発展するのを恐れて上映禁止になった経緯がある。
 この「Z」という作品では「愛のテーマ」がヒットし記憶に残っている人もいるだろう。メイン・タイトルでは民族楽器のブズーキが使われており独特のリズムが刻んでこの物語の開始に相応しい音楽に仕上がっている。ほかにもこの映画には「カフェ・ロック」なる曲があり以前テレビで放送されたときはこの曲だけ懐かしの大阪万博のフランス館で使われていたテーマ曲が挿入されていてびっくりした記憶がある。その後ビデオ化された作品ではオリジナルの曲になっていたのでテレビ版だけ差替えが行われていたとしか思えない。今となっては確認が出来ないのが残念。それにしても、万博のフランス館で流れていた曲を覚えている人なんていないだろうなあ。
ブズーキに興味のある人は
http://www.musiqageet.com/profile/prof-page/prof-buzuki.htm
写真1枚目は「Z」の映画パンフレット
写真2枚目は「Z」のサントラLP、イギリス旅行のおりに購入したもので右上に「OUR PRICE」のステッカーが張ってある。日本盤とはデザインが違っています。サントラには映画には関係のないテオドラキスの歌が2曲収録されているという珍しいものです。収録時間も短いからCD化はされないだろうなあ。
写真3はDVDのパッケージ