著者:久保 平四郎
出版社: 新風舎 ; ISBN: 4797415444
今は昔、大学卒業記念にバックパックでヨーロッパを30日間旅行したので興味深く読みました。著者は還暦間近でハッピーリタイヤした男性で、親類の女子大生を連れての旅行だから厳密には一人旅ではありません。かく言う小生も基本は一人旅でしたが同じ大学、サークルの仲間との旅立ちであったので似ているといえば似ていました。しかし、還暦でバックパックで2ヶ月以上も旅を続けるというのは並大抵の体力では出来ないことで、その行動力に昔の記憶がよみがえり興味深く読ませていただいた次第です。
お金をかければどれだけでも贅沢な旅行は出来るのですが、旅費は節約し旅の中身に集中することはこの年の方では珍しいことです。
当世はインターネットで情報は溢れていますし、チケットにしても格安のものを探せばヨーロッパ往復10万円そこそこでいける時代です。著者もヨーロッパの移動はユーレイルパスを使って有意義に各地を回っておられるがそれこそ、ヨーロッパはこのパスとユースホステルの会員証さえあれば結構安上がりの旅行は出来るものです。小生はなるべく宿泊費も節約するために夜は夜行列車で移動しました。ユーレイルパスは1等がフリーで使えるし向こうの列車はコンパートメントが主体だったので個室をほぼ独占状態で寝台のように利用することができました。まあ、若者ならそこまで考えますがさすがに著者はそういう移動は考えなかったようです。でも、出来るだけ安い宿で効率的に移動している様はこれから旅行をする若者、いやハッピーリタイヤした人には凄く参考になるでしよう。
小生も言葉の問題は最初、凄い不安でした。でも、やはり基本は少々の英語力とボディランゲージです。挨拶言葉は現地に入ればいやが上でも覚えますし、本場の発音を覚えられます。窮すれば通ずで、なんとか無事にヨーロッパ10カ国を回りきりました。イギリスでは本場のミュージカルも見たし(どうやってチケットを入手したかは全く覚えていません)、日本の免許証だけでレンタカーを借りて「ストーンヘイジ」までドライブもしました。趣味で買いあさったレコードはお店に頼んで荷造り用の箱を分けてもらい郵便局から船便で送り返しました。ウィーンではオペラとコンサートのチケットを手に入れそれも楽しんできました。途中で靴がいかれたのでバルセロナでは靴屋に飛び込んで革靴を一足買いました。こんなことが走馬灯のようにこの本を読んでいると思い出されました。それほど生き生きとした文体で若者とかわらないバックパッカーとしての視線で書かれているので非常に楽しい旅行記になっています。
これから一人でヨーロッパに出かけようと思っている人は変な旅行書よりもこれ一冊読んだ方が遥かに役立つ内容がぎっしり詰まっていて参考になります。旅は一人でできます。相手は向こうで見つければいいのです。
青春よもう一度。時間と暇、そして少しばかりの資金さえあればいつでも旅行に出かけたいという気にさせられました。
お暇なら、小生の旅行記にも遊びにきてください。
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