geezenstacの森

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音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

ラザール・ベルマン

ピアノ・リサイタル1977 in 札幌

1.バッハ=ブゾーニ:シャコンヌ ニ短調  15:17
2.スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第3番 嬰ヘ短調 OP.23  16:33
3.スクリャービン:練習曲 第12番 嬰ニ短調 Op.8 2:15

4.ラフマニノフ:前奏曲 Op.32ー5番 ト長調  3:36
5.ベートーヴェン=ルービンシュタイン:トルコ行進曲 3:11

 

ピアノ/ラザール・ベルマン

 
録音/1977/09/29  札幌厚生年金ホール、北海道

P:東条 碩夫
ビクター音楽産業/MELODIYA VIC2097

 

 

 ベルマンの演奏は先にカラヤンとのチャイコフスキー超絶技巧のアルバムを取り上げています。もともと録音はあまり多くない人で、華となる協奏曲の録音は上のチャイコフスキーとジュリーニとのリスト、アバドとのラフマニノフの第3番、ラインスドルフとのブラームスの1番、ロジェストヴィンスキーとのガーシュインの作品があるくらいで、ベートーヴェンやモーツァルトは残していません。こういうところにも忘れ去られていく原因があるのでしょう。

 

    不思議ですが、この音源はCD化されていません。1972年に札幌市民会館で行われたリサイタルのライブ録音で、彼のキャリアの中でも特に重要な記録なんですけどねぇ。このリサイタルは北海道の札幌で行われた演奏会の模様がTOKYO FMでTDKオリジナルコンサートとしてFM放送されたものが、ベルマンの強い意向により、その音源はビクターより『サッポロ・リサイタル』として発売されたものです。小生がその昔、最初に購入したラザール・ベルマンのレコードです。

 

  ベルマンはテンポ・ルバートを多用する演奏家ではなく、イン・テンポで表現するピアニストだと思います。ここでいうインテンポは、メトロノームでリズムを刻むような物理的にテンポが一定であることではありません。自然な流れで曲の抒情感を表現し、レガート奏法によって創り出されるピアニシモの響きには荘厳さが漂います。ベルマンの超人的技巧を駆使した演奏は、まさに剛の鍵(拳)のごとくです。大きな大きな手で奏でられる音は一つひとつの鍵が明確で、重くズッシリとしたフォルティシモの打鍵はPresto(プレスト)の局面においても揺らぐことはありません。凄まじさ、力強さ、荘厳さ、そして時折儚(はかな)さを感じる、そんなベルマンならではの音楽世界に感銘を受けた方も多いのではないでしょうか。

 

 ギレリスが「リヒテルと私が四手でかかってもベルマンには敵わない」と語ったというのは有名な話ですが、本当にとても1人で弾いているとは思えないような分厚い音です。そして、繊細な音もまた魅力。この時は、スクリャービンのエチュードに度肝を抜かれたけれど、今聴いていてもやはりそうです。ただ、ラフマニノフのプレリュードの良さは、この頃は分からなかったのだと思う。これが凄く心地良い演奏です。何故、札幌公演がレコード化されたのか謎ですが、ジャケットの帯には「これは私が最も満足したコンサートの記録だ。」 ラザール・ベルマン と書かれています。

 

 TDKのオリジナルコンサートの音源はかなりCD化されていますが、なぜに見送られているんでしょうかねぇ。これらの一連の録音は今は評論活動をしている東条碩夫さんの一連の録音で、音の粒立ちはいいし、ベルマンの演奏の特徴であるタッチの力強さとクリアな響きが余すところなくとらえられています。最後のアンコールで演奏されたであろうベートーヴェンの「トルコ行進曲」も絶品です。通常は大体2分前後で演奏されるものですが、何とここでは3分以上かけて演奏しています。子供でも演奏できる編曲ですが、ベルマンの手にかかるとずっしりとした名曲に聴こえてします。

 

 ラザール・ベルマンは1930年レニングラードに生まれています。一家はユダヤ系で、母はペテルブルグ音楽院でピアノを学んだ知的な女性であり、父は労働階級の人でした。ベルマンは母からピアノの手ほどきをうけたのは2歳足らずの幼い頃だったといいます。母は3歳の息子を才能コンクールに参加させ、その結果、ベルマンはレニングラード音楽院傘下の神童グループに編入を許されました。当時のソビエトの音楽教育は徹底した早期英才教育でした。まもなく一家はモスクワに転住し、ベルマンは9歳で中央音楽学校に入学を許可され、アレクサンドル・ゴールデンヴァイザー教授の門下生となります。ベルマンの演奏スタイルに最大の影響力を与えた教授は根っからのロマン派ピアニストで、じつに20年の長きにわたってベルマンのよき指導者となったのです。

 

 1948年、ベルマンはモスクワ音楽院に入学し、大学院も含めて、8年間在学した。しかも、主なピアノ教師はずっとアレクサンドル・ゴールデンヴァイザー教授でした。モスクワ音楽院在学中、ベルマンが感化をうけたといわれるピアニストはスヴァトスラフ・リヒテルとウラディミール・ソフロニツキーだったといわれています。(ソフロニツキーも幻のピアニストといわれていたのですが、痛ましくも早逝しています。それゆえ、ベルマン以外に、ソヴィエトにはもう幻のピアニストはいないそうです)正確にいえば、1948年から1953年までベルマンはもモスクワ音楽院の学部学生として学び、次いで大学院学生となり、1957年まで在学しました。卒業と同時にベルマンはモスクワ・フィルハーモニー(オケではなく国営音楽マネジメント)に配属され、コンサート・キャリアが始まったのです。

 

 

 

2025記憶に残るコンサート

ベスト10

 

1..名古屋国際会議場サンクスコンサート

2.名フィル第94回名曲シリーズ

3.名フィル第95回名曲シリーズ

4.デンマーク国立フィル来日コンサート

5.愛知県立芸大・名フィルジョイントコンサート

6.東海学生連盟第44回定期演奏会

7.名古屋ブルックナー管弦楽団第30回演奏会

8.深圳交響楽団特別演奏会

9.能楽堂DEめいおんジャズ

10.愛・地球博20周年記念行事「逢祝」

次点 オーケストラ・ソリストたちの夕べ

   ブラス・エクスプレス名古屋第33回定期演奏会

   ミュージカル ザ・ショー・マスト・ゴー・オン

 

 

 

1.名古屋国際会議場サンクスコンサート

 

 いつもの年は前年の12月にクリスマスコンサートを開催しています。ただ、この会議場が2025年2月1日から2027年3月31日まで全館改装工事のため休館しています。その休館前に、会議場内にあるセンチュリーホールで名電高校吹奏楽部によるコンサートが行われました。全国屈指の吹奏楽団ですからその演奏はパフォーマンスとともに振り付けも見ものでした。ここは毎年、吹奏楽の全国大会が行われる聖地でもありました。なにせ、センチュリーホールは3000名以上を収容できる名古屋でも屈指の大ホールです。大きさでいったら愛知県芸術劇場の大ホールよりも500名以上多いのですから驚きです。ただ、普段は学術会議で使われることが多いので、コンサート会場樋使われることは稀なんですなぁ。

 

 

 

 

2.名フィル第94回名曲シリーズ

 

 指揮者はロベルト・フォレス・ベセス、ピアニストは田所光之マルセルで、地元菊里高校出身のという事でほぼ満席のコンサートでした。今年6月にはCDデビューもしている逸材にいち早く接する事が出来ました。父は日本人、母がフランス人という事でその日本人離れした風貌は国際的な活躍でも期待できます。

 

 

 

 

 3.名フィル第95回名曲シリーズ

 

 昨年度の名フィルの「和欧混交Ⅴ」シリーズはなかなか意欲的なプログラムでした。この回は外山雄三作曲の交響曲「名古屋」が久しぶりに演奏されました。外山雄三氏は1981-1987年まで名フィルの常任指揮者兼音楽総監督を勤めていました。この曲はその常任だった1984年に地元の中京テレビの委嘱作として作曲されています。4楽章からなる交響曲で第1楽章は「笙」や「篳篥」の響きなど熱田神宮をイメージさせ、第2楽章ではチャイコフスキーの「悲愴」交響曲を連想させるメランコリックな旋律ねはたまたは、第4楽章では木曽三川に由来する民謡を題材にしたモチーフを使って「ラプソディ」の間奏部分をイメージさせる作りになっていました。また、山本直純氏の「児童合唱と管弦楽のための組曲『えんそく』」という作品も演奏されました。そんなことで記憶に残っています。

 

 

4.デンマーク国立フィル来日コンサート

 

 著名なオーケストラは話題になりますが、このオーケストラの来日はあまり大きく取り上げられていませんでした。話題になったのは当時はテレビでコメンテーターを務めていた廣津留すみれさんが本業のヴァイオリンでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏するということでミーハーな妻が行きたいということで出かけたコンサートでした。この12月20日も瀬戸市でリサイタルがあり、出かけたかったのですが、あいにくと仕事の都合で出掛けられませんでした。残念です。

 

 

5.愛知県立芸大・名フィルジョイントコンサート

 

 名古屋フィルハーモニー交響楽団と愛知県立芸術大学のジョイント・コンサートが、3年ぶりに待望の開催となりました。今年はショスタコーヴィチ没後50年という節目にふさわしい交響曲第7番「レニングラード」が演奏されました。川瀬賢太郎は2016年、当時常任指揮者を務めていた神奈川フィルと、指揮者のポストを務めていた名古屋フィルとで、同曲の合同演奏を行なっていてこちらはCDになっています。今回は地元の若き芸大生とのコラボでこの曲が再演されました。

 

 

6.東海学生連盟第44回定期演奏会

 

 東海学生連盟のコンサートにはここ最近は毎年のように出掛けています。で、今年はマーラーの6番が演奏されました。今年聴いた麻辣の演奏の中ではピカイチの出来だったように思います。記事を書いた時点ではこの演奏はYouTubeにアップされていませんでしたが最近になって確認するとアップされていましたので貼り付けておきます。圧巻の演奏です。

 

 

 

7.名古屋ブルックナー管弦楽団第30回演奏会

 

 このオーケストラもブルックナーに特化して演奏会を行なっていますが、今年は愛知はオーケストラ会場が不足してあちこちの地方として定期が演奏されるようになりました。このオーケストラも今年は稲沢の文化会館での開催となりました。このホールは我が家からは近く、セントラル愛知交響楽団がリハーサルでよく使っているのでお馴染みのホールです。

最近は新田ユリ氏が指揮をしているということでブルックナーとシベリウスという組み合わせでプログラムが組まれています。

 

 

8.深圳交響楽団特別演奏会

 

 名古屋では一般のコンサートは開催されませんでしたからほとんど知られていませんが今年は中国のシリコンバレーと言われる深圳市からオーケストラが来日していました。タイミング的には高市発言(11月9日)の直後だったのでまだことは大きくなっていなかったのが幸いでした。中国では香港フィルに肩を並べるレベルにまで成長しているオーケストラです。演奏会場は名古屋音楽大学の成徳館ホールという小さなホールで、まるでサロンコンサートのような距離感でオーケストラの響きを楽しむことができました。

 

 

9.能楽堂DEめいおんジャズ

 

 今年は日曜日に開催されたということもあり、満席の盛況ぶりでした。能舞台という特殊な環境で聴くJAZZはまた格別です。こちらも距離感が近いし、花道を通って演奏者が登場する様まで確認することができます。圧倒的音量で響くビックバンドジャズとコンボで演奏されるボーカル付きの演奏はそれだけで痺れます。石井達也、森山良子、松平健、夏川りみ、緑黄色社会というバラエティのあるコンサートが展開されました。ここの飲食は現金ではなく全て電子マネー対応というのも話題になりました。

 

 

10.愛・地球博20周年記念行事「逢祝」

 

 全国的には今年は「大阪万博」だったのでしょうが、地元愛知では「愛・地球博20周年」ということで盛り上がっていました。なにせ、この記念イベントは今年名城公園にオープンした「IGアリーナ」で開催されたことも話題になりました。そこに愛・地球博を盛り上げた愛知の有名人が集結したのですから見逃せません。

 

 

 さて、次点も見逃せないコンサートでした。ということで記事にリンクだけ貼っておきます。

 

次点 オーケストラ・ソリストたちの夕べ

   ブラス・エクスプレス名古屋第33回定期演奏会

   ミュージカル ザ・ショー・マスト・ゴー・オン

 

 今年も充実したコンサートに出会えた一年でした。

トスカニーニ/ニューヨーク時代の名演

トスカニーニ全集64

 

曲目/

ベートーヴェン 

交響曲 No.7 イ長調 Op.92 (1812) 

1. Poco sostenuto - Vivace    11:33

2. Allegretto    8:45

3. Presto - Assai mono presto - Presto    7:11

4. Allegro con brio    7:05

ハイドン 交響曲 No.101 ニ長調 「時計」(1794)*

5. Adagio - Presto    7:31

6. Andante    7:49

7. Menuet. Allegretto - Trio    7:12

8. Finale. Vivace    4:33

9.メンデルスゾーン 劇音楽「真夏の夜の夢」Op.61 (1843) - 4. Scherzo**    4:13

 

指揮/アルトゥーロ・トスカニーニ

演奏/ニューヨーク・フィルハーモニック

 

録音/1936/4/9,10

  1929/03/29.30*

  1929/03/30**    カーネギーホール

 

RCA 88697916312-64

 

 

 トスカニーニは1928年から七年間、ニューヨークフィルの常任指揮者を勤めました。したがってNYPを指揮したベートーヴェンの七番は決別直前のものとなります。オーケストラの各楽器のソロは名人芸ぞろいの上、アンサンブルもしっかりと整っていて、現在でも模範とするにたる名演になっています。

 

 トスカニーニの演奏については、ここ最近頻繁に取り上げているが、今日はその中からベートーヴェンの交響曲第7番を含んだアルバムを取り上げます。この曲自体は、日本では特に「のだめカンターヒレ」のTVドラマで使われたことで俄然碑がつきましたが、もともと名作で、SP、LP時代には、トスカニーニやフルトヴェングラーのレコードが時に奪い合いになるほどよく売れたという話です。名盤も多く、トスカニーニ(1936、1950年代盤)、フルトヴェングラー(1943、50年盤)、カルロス・クライバー(1976年、1983年)などと伝説の巨匠たちが、複数の演奏を残しており、聴き比べの面白さにも事欠かない作品でしょう。

 

 ここで取り上げるトスカニーニとニューヨーク・フィルの演奏は、トスカニーニ特有の気迫、情熱とともに、客観性、造形にも優れる、この曲の古典的名演と形容できる。トスカニーニには、1950年代のNBC響との「全集」からの録音もありますが、ニューヨーク・フィルの指揮者最後の年となったこちらの盤石な演奏のほうに軍配を上げるものです。

 

 第1楽章の序奏は、同時代のほかの巨匠と同様、ゆっくり、威厳をもって開始されます。一時期はやや遅いテンポで肥大化させた演奏が多かった時代がありますが、ここはテンポの設定・そのフォルムの構成において、理想的な第7交響曲の姿を実現しています。それでいて、リズムを弛緩させないがっしりとさせた構成で強靭なアタックでポコ・ソステヌートからヴィヴァーチェへと繋いでいます。こういう演奏を聴くとカラヤンがトスカニーニを模倣したというのが理解できます。とにかく第1楽章から風格のある演奏です。

 

 これに対する第2楽章は第1楽章とは打って変わってあっさりした表現に見えますが、それもこの第1楽章あってのことです。のちに不滅のアレグレットとして有名になるこの楽章をそれほど感傷的ではなく淡々とリズムを刻んでいきます。「のだめカンタービレ」で一般には第1楽章が有名になりますが、小生など第7番はこの第2楽章が肝だと思っています。それが証拠に初演の時のアンコールはこの第2楽章が再演されています。この時代のニューヨークフィルにはこのトスカニーニを始めフルトヴェングラー、メンゲルベルク、のちにはワルターなどが登場し黄金期を築いていた時代です。木棺もしっとりとしたいい演奏を披露しています。

 

 そして第3楽章。主部のプレストでは、トスカニーニのもとで鍛え上げられたニューヨーク・フィルのアンサンブルの妙を聴くことができます。弦楽器はユダヤ系のメンバーが多かったこともあり緻密なアンサンブルを披露しています。トリオは、トスカニーニ流の猛スピードで駆け抜けますが、推進力があります。ニューヨーク・フィルの水準の高さにも驚嘆させられます。

 

 第4楽章も、安定感のある音楽運びで、爆演に走ることなく、かなり早いテンポを取っているのに・まるで激することなく冷静にオケを統率して一糸の乱れさえ見せません。この第4楽章、同一リズムが執拗に反復され、アウフタクトである2拍目にアクセントが置かれています。これは現代のロックやポップスにおけるドラムスの拍子のとり方と同じです。このためリズムに推進力が生まれ、この楽章はこの調子でスピード感のある熱狂的な雰囲気が延々と続きクライマックスを形作っていきます。このトスカニーニの解釈はまったく古さを感じさせません。

感動的なフィナーレです。


 

 続くハイドンの「時計」は1929年とさらに古い録音になります。第1楽章の序奏は極めいゆっくり演奏されていて、本当にトスカニーニの演奏なのと思いますが、手部に入ると明らかにインテンポでトスカニーニらしいプレスとで突進していきます。

 

 第2楽章は一転して機械のようなインテンポで時計のテンポが刻まれていきます。これがまた気持ちいい推進力となっています。子のテンポ現代のピリオド楽器による演奏と相通じるものがあり、ある意味トスカニーニの作る音楽は時代の先端を行っていたようにも思われます。そういう視点でトスカニーニを聴くとフルトヴェングラーよりも新鮮に感じます。

 

 

 最後に収録されている真夏の夜の夢からのスケルツォは後のNBC交響楽団の演奏よりもさらに早い演奏です。しかし、子のテンポに慣れてしまうとこれもありかな、という気がしてしまいます。この曲の幻想的な雰囲気がよく出しています。ニューヨーク・フィルの弦は低重心の響きですが、身体が重い感じはまったくありません。この弦の動きにフルートが蝶の方が軽やかに舞う。オケの軽やかな動きがハッとするほど 濃厚なロマンティッシズムを感じさせ、短い曲だけに一瞬の夢のように鮮烈に脳裏に残ります。ところで、この録音ネットでは1926/04/02という表記もあります。ただ、調べてみるとトスカニーニは1927年からニューヨークに着任していて、このジャケツと表記の1929/03/30には他にモーツァルトのハフナー交響曲も録音していますから、こちらの方が正しいのではないでしょうか。

 

 

 

名古屋商科大学吹奏楽部シンフォニックアンサンブル 

第39回定期演奏会 〜Christmas Concert

 

 


曲目 

 

 このクリスマスシーズンは2日続けて、吹奏楽のコンサートがありました。こちらは昨日は名古屋芸術創造センターと言うところで、今回はアートピアホールで行われたコンサートでした。

 

 さすがこちらは名古屋境のど真ん中ということで、アートピアホールのある名古屋デザインセンターは、エントランスからクリスマスのイルミネーションがバッチリ決まっていました。

 

コンサート会場のあるナディア・パーク

 

 名古屋商科大学吹奏楽部シンフォニックアンサンブルは8月5日に開催された愛知県吹奏楽コンクールでは金賞を受賞して3年ぶりの東海大会へ出場を果たし、9月2日に三重県文化会館で行なわれた東海吹奏楽コンクールでは見事、念願であった金賞を受賞しています。全国大会出場は叶いませんでしたが、東海吹奏楽コンクールでの金賞受賞は18年ぶりの好成績となり、昨年よりは格段の進歩がうかがえるコンサートになりました。

 

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 この日のコンサートも、今回は1階席で鑑賞することにしました。昨年の名古屋市民会館でのコンサートはそれほどお客さんの意味は良くなかったのでたかをくくっていましたが、今回はほぼ満席になるほどの盛況でした。やっぱり場所がいいんでしょうか?

 

 こちらは最初の曲は昨年のコンクールで演奏した「海のフォルティナ」という作品をぶつけてきました。吹奏楽のオリジナル作品は毎年新しい作品がどんどんと出てきます。この作品も初めて聞く作品でしたが、なかなか重厚でかっこいい曲になっています。これはコンクールを受けする作品だなぁということでもう何度も演奏しているということで、冒頭の金柑の方向から迫力ある演奏が繰り広げられました。

 

 

 1曲目が海の作品だったので、2曲目は山の作品できました。アメリカの作曲家の作品で山がカテドラル、つまり教会に見えるということで、こういう名前がついた作品です。

 

 

 3曲は本来は第二部で演奏されてもおかしくない作品なんですが、もう古典的名曲になってしまった「もののけ姫の楽曲のセレクション」が演奏されました。久石譲の原曲が重厚ということもあり、この演奏はまるでオリジナルの吹奏楽作品のような響きでとても充実した演奏になっていました。

 

 

 前半最後は吹奏楽ファンなら定番曲のようなアルフレッド・リードの「アルメニアン「・ダンスパート1」が演奏されました。この曲には大編成版と小編成版が存在しますが、今回は小編成版にの演奏となっていました。使われる楽器の数が違うだけで曲の響きは全く同じです。今回の演奏は小編成版とは言いながら迫力のあるサウンドでこの吹奏楽団がこの1年の間でコンクールに入賞する力をつけてきたと言うことを実感させてくれました。今まで聴いたアルメニアンダンスの演奏の中でもトップクラスの出来方と思われます。

 

 

 

 パイレーツ・オブ・カリビアン」もよく演奏される曲ですが、第1作と2作の楽曲がうまくミックスされています。曲は黄金のメダル、ジャック・スパロウ、デイヴィ・ジョーンズ、彼こそが海賊という4曲がメドレーになっています。

 

 

 「ジャパニーズ・グラフィティ」は1970年代のレコード大賞受賞曲のメドレーでした。昔はこういう演奏をバックに歌手たちが根殺傷していたのを思い出します。

 

 

  この曲はてっきりイギリスの第2の国家と思い込んでいましたが、この日の解説でアメリカの第2の国家という事を初めて知りました。バグパイプの定番曲ではないんですなぁ。

 

 

 名古屋の劇団四季は来年、熱田に移転しますが、その最初の演目がこの「ライオン・キング」だそうです。今までよりも広い舞台で思う存分部隊が使えるそうです。

 

 

 この時期は今年はルロイ・アンダーソンの「クリスマス・フェスティバルは大人気ですね。今回のコンサートは客演指揮者のコンコルディア・シカゴ大学のリチャード・フィッシャー氏と梶山宇一氏が交互に指揮していました。

 

 ラストは{JーBESTヒットメドレー」で閉められていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アンコールの最後は恒例の「ラデツキー行進曲」です。

 

 

 2日続けての吹奏楽コンサート、どちらもなかなか充実していました。

中日交響吹奏楽団

第56回定期演奏会

 

 

 

曲目

 

 今年の12月は吹奏楽の演奏会が目白押しで、この後にも2つ出かける予定にしています。その最初がこの中日公共吹奏楽団の演奏会でした。21日はあいにくの雨模様で客入りが危ぶまれましたが、何の事は無い。今年はクリスマスが平日とまた今の予報では雨と言うこともあって、この週末が1番賑わったようです。そういうこともあり、満席の状態でコンサートを迎えました。この中郷吹奏楽団は今年の春先にもコンサートに出かけています。今回も同じ会場でコンサートが開催されました。

 

 いつもは2階席で鑑賞するのですが、今回は逆に1回席にレジン取ってコンサート鑑賞することにしました。最初はヤン・バンデルローストの「マーキュリー」と言う作品でした。コンサートマーチと副題にあり、テンポが定められていますので、足取りに合わせた演奏になっていました。主題がわかりやすくすぐに馴染めるような曲です。愛されるわけがわかります。

 

 

 2曲目は日本の童謡をテーマにした変奏曲でした。このあんたたどこさと言うテーマは、外山雄三の「ラプソディー」という作品でも使われていますから親しみやすい旋律です。ただこちらではもっとにぎにぎしいアレンジになっていて、この吹奏楽コンクールの第19回の課題曲にもなっていた作品です。できるだけ派手に演奏した方が効果がある作品に仕上がっていました。 

 

 

 3曲目もマーチで「プロヴァンスの風」と言う爽やかで希望に満ちたマーチです。こちらも全日本吹奏楽コンクール課題曲として多くのバンドが演奏し、またアニメ「輝けユーフォニアム」でも使われた名曲です。軽やかなリズムと明るい旋律が、まるで南仏のプロバンス地方を吹き抜ける風のようと言うことからタイトルされています。

 

 

 オリジナル作品4曲目は「シンフォニックバンドのためのパッサカリア」「という作品でした。これは1971年音楽の友社創立30周年記念して作曲された作品です。バロックの音楽形式であるパッサカリアを基本に12音による主題が18回にわたり変奏される音楽的構造がしっかりした作品です。低音から始まる主題が徐々に高揚し、終盤のグランディオーソでは、壮大な響きが会場を包んでいました。

 

 

 前半、最後は、海外でもよく演奏される空中都市「マチュピチュ」という作品でした。隠された太陽神殿の謎というタイトルを持つ作品です。2004年川口市のアンサンブル・リベルテ吹奏楽団の委嘱により作曲され、作者の八木沢教司による古代文明のシリーズの一作となっています。スケールがあるので、外国でも好まれる作品となっているのでしょう。

 

 

 後半はクリスマスが近いということで、クリスマスの作品が演奏されました。会場も第1部とはうって変わって、ステージ全体がクリスマス模様に装飾されていました。

 

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 最初はアンダーソンの作品でクリスマスフェスティバルという曲でした。これは1950年に作曲された作品で、ヘンデルの諸びてこぞりてから、柊を飾ろう、ジングルベル、きよしこの夜など、誰もが耳にしたことのあるクリスマスメロディー8曲が使われています。ただ残念なのはアンダーソン自身の「そりすべり」が、ここには使われていないことです。こちらは1948年の作品ですでに知られていたはずですが、ルロイ・アンダーソンは奥ゆかしい人だったんですねぇ。

 

 

 ポップス編の2曲目は竹内まりやが作詞作曲した「素敵なホリデイ」が演奏されました。この曲は今でもケンタッキーフライドチキンのコマーシャルソングとしてこの時期テレビで流れていますから、耳にした人は多いのではないでしょうか。この吹奏楽編曲では、原曲の雰囲気を大切にしつつ、木管の柔らかな響きや金環の華やかさが加わりより豊かな音の広がりを感じさせてくれました。

 

 

  ちょっと変わっていたのは、次の「くるみ割り人形」でした。組曲をお話とともに進行するという形で演奏されたのですが、普通の吹奏楽バージョンではなく、ちょとジャズ風のアレンジを用いた編曲で演奏されていたところが味噌でした。クラシックとまるで違う雰囲気で楽しい「くるみ割り人形」を鑑賞することができました。まぁ下のような演奏です。

 

 

 プログラムの最後は、つい先日テレビで再放送もされた「ホームアローン」の音楽が演奏されました。ただテーマ曲は映画の終わりにあまり知られていないのが本当のところではないでしょうか。映画自体は好評で続編も制作されました。今回はポールラベンダーによる吹奏楽編曲版でこのシーズンにはぴったりの奏会用作品として演奏されました。ただ最後飾るにはちょっと終わり方が地味で、ちょっと選挙の順番を誤ったかなぁというのが個人的な感想です。

 

 

アンコール

 これでプログラムは終了で、お決まりのようにアンコールが演奏されました。1曲目は多分ポップスの作品で今年流行った曲だと思うのですが、小生は未完成テレビの音楽番組を見ないので全くわかりませんでした。やや静かなバラード風の曲で良い曲だなぁと言う印象だけは残りました。ただこれだけではコンサートは終わりません。最後の最後に、こちらはまた賑やかなベートーベンの第九をアレンジした吹奏楽作が演奏されました。大工については我々の世代だとワルドデロスリオスの演奏した喜びの歌というのが定番なんですが、減額を書いた吹奏楽版ではそういう爽やかさはあまりなく、ただ賑やかな大工のテーマを何回も繰り返して演奏すると言う演出の曲になっていました。それでも華やかな終わり方で今年を締めくくれたかなぁという感想は持ちました。