geezenstacの森

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音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

第99回市民会館名曲シリーズ 

〈ベートーヴェンPLUSⅣ〉



 

曲目
▊ リスト[北村朋幹編]:山の夕べ(エルンスト・クノップによる)-田園風夜想曲(「旅人のアルバム」 S.156/11より)
▊ ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調 作品36
▊ 作曲者不詳:アッペンツェル地方の牛追い唄*
▊ ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調 作品68『田園』


北村朋幹(指揮)
安土真弓(アルプホルン/名フィル首席奏者)*
小川響子(コンサートマスター/名フィル コンサートマスター)
 

 ピアニスト・編曲者・指揮者という3つの顔を持つ 北村朋幹さんが、今回は“指揮者”として名フィルに登場しました。今回のプログラム、ベートーヴェン像を多面的に照らし出すプログラムで、ピアニストとして作品の内側を深く知り、編曲者として音と構造を再創造してきた北村さんならではの視点が詰まっています。


 さて、開演前に恒例のロビーコンサートが開催されました。今回はチラシにもこの告知が載っていました。

 

[出演]

小玉裕美,川上裕司(ヴァイオリン)

池村明子,今村聡子(ヴィオラ)

幸田有哉(チェロ)

佐渡谷綾子(コントラバス)

[曲目]ケスラー:弦楽六重奏曲ヘ短調より第1楽章


ハンス・フォン・ケスラー(1853年1月1日 - 1926年5月23日)は、ドイツの作曲家、指揮者、音楽教師でした。26年間ハンガリーで活動し、ヤーノシュ・ケスラーとして知られていました。 略歴 マックス・レーガーの従兄弟であるケスラーは、フィヒテル山地のヴァルデック(現在はオーバープファルツ州ケムナートの一部)に生まれました。1874年から1877年までヨーゼフ・ラインベルガーにオルガンを師事し、ミュンヘンではフランツ・ヴュルナーに合唱のレッスンを受けました。その後すぐにドレスデンに移り、ドレスデン音楽学校で音楽理論と合唱の指導者兼教師に任命されました。1878年からはドレスデン・リーダーターフェル管弦楽団の指揮者も務めました。 1882年から1908年まで、ハンガリーのブダペスト国立音楽アカデミーでオルガンと合唱を教えた。後に作曲の教授も兼任し、貴族の称号も授与された。

 

 

 初めて耳にする作曲家でしたがブラームスと同世代ということで同じように中な中渋い作品を描いています。なを、このメンバーで11月16日栄にある宗次ホールでこのケスラーの作品とブラームスの弦楽六重奏曲第2番というプログラムの演奏会が開催されるそうです。

 

今回のステージ編成

 

 さて、本題のコンサートです。前半はリスト[北村朋幹編]:山の夕べ(エルンスト・クノップによる)-田園風夜想曲(「旅人のアルバム」 S.156より)からスタートします。こだわりの曲ですねぇ。今年10月5日、武蔵野市民文化会館 小ホールのリサイタルではこの曲のピアノ版を披露しています。ここではそのオーケストラ編曲版を披露しました。冒頭は北村さん自身の編曲によるリスト《山の夕べ》。リストのピアノ作品に込められた詩情がオーケストラで広がり色彩豊かな響きになっていました。

 

リハーサルでも指揮台を使わない演奏です

 

楽譜スタンドは使っていますから身振りはかなり上のポイントで振っています

 

紹介されていた北村朋幹氏のプロフィールです。

 

愛知県生まれ。3歳よりピアノを始め、浜松国際ピアノ・コンクール第3位、シドニー国際ピアノ・コンクール第5位ならびに3つの特別賞、リーズ国際ピアノ・コンクール第5位、ボン・テレコム・ベートーヴェン国際ピアノ・コンクール第2位などを受賞。
第3回東京音楽コンクールにおいて第1位(2位なし)ならびに審査員大賞(全部門共通)受賞、以来日本国内をはじめヨーロッパ各地で、オーケストラとの共演、リサイタル、室内楽、そして古楽器による演奏活動を定期的に行っている。その演奏は「類稀なる時間の感覚。まるで素晴らしい指揮者によるオーケストラの演奏を聴いているよう(パヴェル・ギリロフ)」「卓抜な詩的感性、そして哲学的叡智を具えた芸術家(濱田滋郎)」などと評されている。
近年では特に、近現代作品の演奏への評価が高く、2022年10月、びわ湖ホール及び、滋賀県立美術館で行った「北村朋幹 20世紀のピアノ作品(ジョン・ケージと20世紀の邦人ピアノ作品)」が、第22回(2022年度)佐治敬三賞受賞。また、2024年にはアーヴィン・アルディッティからの指名を受け、アルディッティ弦楽四重奏団とともに、2曲のピアノ五重奏曲の世界初演に携わる。
録音はフォンテックから『遙かなる恋人に寄す―シューマン「幻想曲」からの展望―』(2011)、『夜の肖像』(2014)、『黄昏に― ブラームス/リスト/ベルク作品集』(2016)、『Bagatellen』(2019)がそれぞれ発売され、2021年録音の『ケージ プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード』は令和3年度(第76回)文化庁芸術祭賞 レコード部門 優秀賞を受賞するなど、レコード芸術誌をはじめとする主要な音楽メディアにおいて好評を得ている。2024年3月新譜『リスト 巡礼の年 全3年』をリリース。
東京藝術大学に入学、2011年よりベルリン芸術大学ピアノ科で学び最優秀の成績で卒業。またフランクフルト音楽・舞台芸術大学では歴史的奏法の研究に取り組んだ。
これまでに伊藤恵、エヴァ・ポブウォツカ、ライナー・ベッカー、イェスパー・クリステンセンの各氏に師事。ベルリン在住。

 

 前半の2曲目はベートーヴェンの今回のステージは対抗型の配置で第2ヴァイオリンが右手に、コントラバスは第1ヴァイオリンの後ろ、チェロ、ヴィオラという構成です。そんなことで、ホルンは右手奥に陣取っています。いわゆる対抗配置です。ピリオド・オーケストラのていばんはいちですが、小生はあまり好きではありません。高音部と低音部が混ざってしまい。せっかくのステレオ効果が損なわれるからです。オーケストラの近くで聞く分には分離がいいのかもしれませんが、ホールの中央後ろのいわゆるS席あたりで聴くとやはり団子状で、ステレオ感は半減です。また、今回も最近の傾向のメトロノーム準拠の店舗で演奏されました。全体にはアクセントの効いた演奏ながら旋律線の中央を持ち上げるという大胆な手法でティンパニの打ち込みの強打を和らげるような歌わせ方で全体のバランスをとっているような表現でした。なかなか面白いアプローチで4楽章、弛緩なく聴くことができました。それは演奏後の聴衆の反応にも現れていて、いつもは2度ほどのアンコールで前半は終わるのですが、今回は奏者のスタンディング・オベーションもあり、4回ほどアンコール登場がありました。

 

 後半のプログラムのメインは交響曲第6番「田園」です。びっくりしたのは演奏者と共に指揮者も一緒に登場し、チューニングが終わるとそのままライトがステージも暗くなったのです。スポットライトでも当たるのかなと思ったのですが、その暗いままにアルペンホルンが朗々と響き渡ります。このアルペンホルン、舞台裏で演奏されていたのです。首席ホルン奏者の安土真弓がアルプホルン独奏で奏でる《アッペルツェル地方の牛追い唄》でした。

 

 

こんな響きがホールに響きます。

 

 

 そして、アルペンホルンの演奏が終わると照明が明るくなり、そのまま「田園」が開始されます。まるでホルンの響きが曲の一部のような構成です。ただ、こちらの演奏も第2番と同様、ピリオド楽器のメトロノームに引っ張られた速いテンポの演奏で全体に田園のゆとりが感じられない演奏になってしまっていました。最近のベートーヴェンの演奏はテンポが画一的で楽しめるコンサートがほとんどありません。もう70*80年代の巨匠風の重厚長大のゆったりとしたベートーヴェンを効かせる指揮者は皆無なんでしょうかねぇ。曲の表情づけは第2番と同様に個性が感じられましたし、ティンパニのマレットは頭の小さいもので打音が許ぅ列で、これに呼応するかのように2本のホルンがオーケストラの右側から咆哮します。今回はやけに目立つ演奏になっていました。まあ、ステレオ感を演出するにはうってつけの演奏になっていました。

 

川端龍子展
 

 碧南市藤井達吉現代美術館にて、「川端龍子展 日本画壇に挑戦し続けた革命児」が2025年9月13日(土)より11月3日(月・祝)まで開催されていました。その最終日に夫婦揃って出かけてきました。明治・大正・昭和という激動の時代を生き、圧倒的なスケールで超大作を生み出した日本画家・川端龍子(かわばたりゅうし)。横山大観や川合玉堂とともに、近代日本画3巨匠の一人に数えられます。龍子は、自ら主宰した在野の日本画団体・青龍社で「会場芸術」を提唱します。時代性を感じさせるテーマを描いた大作は、人々を驚かせ、それまでの「床の間芸術」とは異なる新しい日本画のスタイルを確立させました。本展では、生誕140年を迎える龍子の画業を回顧し、その魅力に迫ります。

 

 

碧南市藤井達吉現代美術館ロビーから九重味醂本社を望む

 

会場入り口のプロローグ

 

 龍子は和歌山県に生まれ、上京して洋画家としてその画業を始めます。後に渡米し、ボストン美術館で見た日本の古美術に感銘を受け、1914(大正3)年に日本画に転向。その後、再興日本美術院展を舞台に、洋画の手法を取り入れつつ、次第に作品の巨大化を試みます。日本画の枠にとらわれない個性豊かな作品は、院展で異彩を放ちましたが、1928(昭和3)年に同院を脱退。翌年に、在野の日本画団体「青龍社(せいりゅうしゃ)」を自ら主宰し、そこから30年以上にわたって画壇をリードしていきます。龍子は、青龍社で「会場芸術」を掲げ、時代性を意識したテーマを圧倒的なスケールで描き出し、人々をあっと驚かせ、それまでの「床の間芸術」とは異なる新しい日本画のスタイルを確立させました。

 

 展示構成は3部に分かれていました。

 

第1章 昇太郎、龍になる!

第2章 新風を巻き起こす、龍!

第3章 舞上がる、龍!

 

「軍艦」と「女神」

 

日本少年や少女の友の表紙画

 

少女の友の付録『花鳥双六』

 

 

白日夢

 

竜安泉石

 

第2章 新風を巻き起こす、龍!

 

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山葡萄

 

龍巻

 

草の実

 

爆弾散華

 

花鳥諷詠

 

第3章 舞上がる、龍!

 

 

 

倣赤不動

 

百子図

 

影富士

 

ドライブウェイ

 

十国峠

 

 

 

 

 

水巴

 

水中梅

 

河童青春 井守

 

河童青春 水芭蕉

 

ミスカッパ

 

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涼露品

 

 

阿修羅の流れ(奥入瀬)

 

龍子垣

 

ホトトギスの表紙絵

 

 

 

 

名古屋市民会館の閉館と

名フィル名曲コンサート

 

 

市民会館で演奏する名フィル

 

 10月30日、名フィルが2026-2027シーズンラインナップを発表しました。その名フィルの名曲コンサートは金山にある名古屋市民会館で開催されています。現在はネーミングライツで「Niterra日本特殊陶業市民会館」が正式な名称です。その市民会館は2028年3月末に閉館し、新たな劇場に建て替える予定です。そんなことで名フィルは閉館までの2シーズンで交響曲でカウントダウンするという冗談みたいな一風変わった画企画をラインナップしています。

 

 タイトルも「カウントダウンシンフォニー」で2026-2027シーズンは5月にショスタコ10で始めて、8月にブル9、9月にドヴォ8、12月にシベ7、27年3月にチャイコ6というスケジュールです。まあ、作曲家がダブらないように、しかも定期との兼ね合いがありますからこういうラインナップなんでしょうが、なかなか絶妙な選曲です。第10番には苦肉の策でモーツァルトとショスタコーヴィチの10番を揃えるというなかなかありそうもない組み合わせです。古典は以前の交響曲の選択は難しいものがありますから、モーツァルトの交響曲第10番なんてプログラムに登るのも稀有ではないでしょうか。以下が決定文の中身です。

 

第101回 カウントダウン・シンフォニー10〈モーツァルト&ショスタコーヴィチ〉

5月29日(金)18:45

出演

下野竜也(指揮)
山崎伸子(チェロ)*

プログラム

▊ モーツァルト:交響曲第10番ト長調 K.74
▊ チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 作品33*
▊ ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 作品93

第102回 カウントダウン・シンフォニー9〈ブルックナー〉

8月26日(水)18:45

出演

ゲオルク・フリッチュ(指揮)
天野薫(ピアノ)*

プログラム

▊ モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番変ホ長調 K.271『ジュノーム』*
▊ ブルックナー:交響曲第9番ニ短調

第103回 カウントダウン・シンフォニー8〈ドヴォルザーク〉

9月24日(木)18:45

出演

川瀬賢太郎(指揮/名フィル音楽監督)
鳥羽咲音(チェロ)*

プログラム

▊ ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 作品104, B.191*
▊ ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 作品88, B.163

第104回 カウントダウン・シンフォニー7〈シベリウス〉

12月1日(火)18:45

出演

尾高忠明(指揮)
前田妃奈(ヴァイオリン)*

プログラム

▊ シベリウス:交響詩『フィンランディア』 作品26
▊ シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品47*
▊ シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ
▊ シベリウス:交響曲第7番ハ長調 作品105

第105回 カウントダウン・シンフォニー6〈チャイコフスキー〉

2027年3月17日(水)18:45

出演

アドリアン・ペルション(指揮)
中原梨衣紗(ヴァイオリン)*

プログラム

▊ チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35*
▊ チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74『悲愴』

 

 

 そして2027-2028シーズンは5番からカウントダウンですな。そこで、2027-8シーズンの曲目を予想してみました。定期演奏会は「ドラマ」という切り口で組まれていますが、当然定期にも交響曲は登場するのでそれとダブってもいけません。となるとこんなものでしょうかねぇ。古今の名曲の中から作曲家がダブらないような選択となると、

 

第5番 マーラー/交響曲第5番

 

第4番 メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」

     シューマン/交響曲第4番

 

第3番 ベートーヴェン交響曲第3番

     サンサーンス/交響曲第3番

 

第2番 ポロディン/交響曲第2番

 

第1番 ブラームス/交響曲第1番

    プロコフィエフ/交響曲第1番

 

 なんてところが妥当なところでしょうか。交響曲の2本立てはなかなかヘビィですが、たまにはこういう組み合わせのプログラムも面白いのではないでしょうかねぇ。想像するだけでワクワクします。

 

 全体はこんなスケジュールです。

 

 

 名フィルの名曲シリーズはここ数年シーズン券を購入していますから、あと2年は続けようと考えています。

Mr.SPOCK presents

 MUSIC FROM OUTER SPACE

 

曲目/

Side One
1. Theme From 'Star Trek'
2. Alien
3. Where Is Love
4. Music To Watch Space Girls By
5. Beyond Antares
6. Twinkle, Twinkle Little Earth

 

Side Two
7. Mission Impossible
8. Lost In The Stars
9. Where No Man Has Gone Before
10. You Are Not Alone
11. A Visit To A Sad Planet

 

歌、朗読/レナード・ニモイ

 

録音 1967
Producer: Charles R. Grean
Arranger: Charles R. Grean
Engineer: Bob Liftin
Liner Notes: Ron Edwards
Graphics: Stephen Hill Design Services

 

英Rediffusion R.I.M. ZS-156 (原盤Dot)

 

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 今回もレコードの紹介です。知る人ぞ知るMr.スポックことレナード・ニモイのレコードです。オリジナルは1967年にアメリカのDotレコードから発売されました。このRediffusion盤はイギリスで1973念に再発されたものなのです。アメリカ盤とはタイトルもジャケットのデザインも違い、こちらはBBC提供の写真を使っていてイギリスの維持が感じられます。レナード・ニモイは「スパイ大作戦」の第3、第4シーズン(1969-1970)のパリス役でも出演していましたから、B面のトップにこの「スパイ大作戦」のテーマが含まれていてもおかしくはないのですが、アメリカでの初出時はまだ放映されていなかったわけで、どういう関係でこの曲が収録されたかは不明です。でも、この「スパイ大作戦」のサントラ盤はこのDotから発売されていましたからまんざら関係がないわけではありません。余談ですがこのRediffusionという会社はさまざまなジャンルのレコードを発売しており、このレーベルからチェコのスプラフォン盤が数々リリースされていました。

 

 

 

 さて、アメリカやイギリスでは「スタートレック」はカーク船長役のウィリアム・シャトナーよりも人気があったようで、このようなレコードが発売されました。記憶では日本では発売されていないと思います。隠れトリッキーを自称している小生はこのレコードをイギリスに旅行した時に手に入れました。現在はVarese Sarabande labelでCD化されているようです。CD盤では、
12. Highly Illogical
13. Difference Between Us, The
14. Once I Smiled
15. Spock Thoughts
16. By Myself
17. Follow Your Star
18. Amphibious Assault
という曲目が追加で収録されています。この追加部分はニモイがもう一枚Dotに録音していたアルバムからA面分の収録しています。このアルバムはオーケストラ演奏とニモイの朗読、そして歌で構成されています。演奏は1、4、5、6、8の5曲、レナード・ニモイのナレーション入りが2、6、11の3曲、ニモイの歌声が聞こえる曲が3、7、10の3曲となっています。

 

 アルバムのトップはやはり「宇宙大作戦」のテーマ曲です。軽いロックの乗りで電子楽器を多用したサウンドで近未来を案じさせています。オリジナルと同じように女性コーラスを配したなかなかのアレンジで洒落ています。今聴くとちょっとレトロな感じもしますが、当時は最新のサウンドだったんでしょうなぁ。なを、音源のジャケットがアメリカDotのオリジナルジャケットです。


 2曲目はレナード・ニモイのナレーションでエイリアンについて語られています。
 

 
 まあ、全体としてはジャケットでも解るように「宇宙大作戦」のイメージを残したアルバムということが出来ますが、3曲目の「WHERE IS LOVE」はれっきとしたミュージカル「オリバー」の中のナンバーです。

 

[OLIVER]

 

Where is love?
Does it fall from skies above?
Is it underneat the willow tree
That I've been dream of?
Where is she?
Who I close my eyes to see?
Will I ever know the sweet "hello"
That's only meant for me?
Who can say where she may hide?
Must I travel far and wide?
'Til I am bedside the someone who
I can mean somethin to ...
Where...?
Where is love?

 
 4曲目の原曲は「恋はリズムに乗せて」です。アンディ・ウィリアムズの歌でヒットしました。原曲は「 Music To Watch  Girls By」ですが、ここでは「  Space Girls 」としゃれています。
 

 
 5曲目の「Beyond Antares」という曲はウィルバー・ハッチとジーン・L・クーンによって書かれ、1967年にレナード・ニモイによって初めてリリースされました。ニシェル・ニコルズがカバーしています。
 

 
 ナレーションが聴けるナンバーの中では6曲目の「キラキラ星」のパロディの「Twinkle, Twinkle Little Earth」が面白いです。レナード・ニモイのウオームトーンの声質がいい味出してます。
 


 そして、これが「スパイ大作戦」のテーマです。ラロ・シフリンのオリジナルアレンジを意識したなかなかのサウンドです。
7. Mission Impossible
 

 
 8曲目はミュージカル化した舞台「ロスト・イン・ザ・スターズ」(1949)の一曲です。歌詞の内容がこのアルバムにふさわしいので採用されたのでしょう。作曲はクルト・ワイルで彼の最後の作品でもあります。
 

 
 9曲目は「スター・トレック」の冒頭に流れるスポックが宇宙歴を語るシーンのバックに流れる曲です。
 

 

 同タイトルの名曲は1995年のマイケル・ジャクソンの曲ですが、これはそれよりも30年も前の曲です。フルートの響きが美しい曲でまるでミュージカルの中の一曲のような美しいナンバーです。
 

 

 最後の曲はこの曲は、かつて偉大な文明を誇った惑星が、近年の現象、あるいはホロコーストによって滅亡したという遺跡を発見した探検家の物語を描いています。探検家の旅と、瓦礫の中から発見された人間の姿は、人類の最後の残党、そして貪欲と自己破壊の結末を象徴しています。この曲は、人間の置かれた状況、そして戦争と紛争の危険性について、鋭く問いかけています。スポック役のニモイのナレーションでこのアルバムは締めくくられます。

 

 

 
 本格的なアルバムは無いようですが、いろいろなオムニバスもので録音を残しているようです。調べてみると、ニモイはギターも演奏していて音楽活動もそこそこしているようです。故人にとっては懐かしいアルバムで、宝物のような一枚です。

 

 さて、スタートレックはさまざまなシリーズが放映されました。こんなにも長くシリーズとして続いているドラマは無いのでしょうか。それだけ宇宙にはロマンがあるということなんでしょうね。

 

 
 

 

 

 

久石譲 WORKS Ⅱ

Orchestra Nights

 

曲目/

交響組曲「もののけ姫」より
1. アシタカせっ記   5:33
2. もののけ姫    4:3325
3. TA・TA・RI・GAMI    6:49
4. アシタカとサン    4:
5. Nostalgia (サントリー山崎CF曲)   3:31
6. Cinema Nostalgia (日本テレビ系列「金曜ロードショー」オープニングテーマ)    5:35
7. la pioggia (映画「時雨の記」メインテーマ)    5:20
8. HANA-BI (映画「HANA-BI」メインテーマ)    3::27
9. Sonatine (映画「Sonatine」より)    7:56
10. Tango X.T.C (映画「はるか、ノスタルジィ」より)    4:56
11. Madness (映画「紅の豚」より)    4:33
12. Friends     4:00
13. Asian Dream Song (長野パラリンピック冬季競技大会テーマ曲)   7:25

ピアノ:久石譲
指揮:曽我大介
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団 
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団 
録音:1998年10月19日 東京芸術劇場
録音:1998年10月27日 ザ・シンフォニーホール

 

 

 久々に久石譲を取り上げます。世間的には映画音楽の作曲家というイメージが強いと思いますが、小生としてはクラシックのミニマル音楽の大家、あるいは指揮者というイメージの方が強く、そちらの方の記事の方が多くなっています。

 

過去記事

久石譲 音楽する日乗 | geezenstacの森

久石譲 『illusion』 | geezenstacの森

久石譲/ナガノ・チェンバーオーケストラの「英雄」 | geezenstacの森

フューチャー・オーケストラ・クラシックスのベートーヴェン交響曲全集 | geezenstacの森

今日の1本 04/13「ハウルの動く城」 | geezenstacの森

 

 さて、このアルバムは1997年にビッグ・セールスを記録した久石譲の人気盤『ワークス』に続く第二弾が満を期して登です。この『ワークス』とは、久石氏が手掛けた数々のテーマ曲を中心に、新アレンジ/新録音してリリースする映像音楽の集大成とも言えるソロ・アルバムのシリーズで、今回も抜群の選曲をしてくれています。サントリー「山崎」CMソングに起用されたあの名曲「ノスタルジア」、トヨタ「マジェスタ」CMソングなどから映画『もののけ姫』の初ライヴ・テイク・ヴァージョンや、北野武監督の話題作『HANA-BI』まで名ナンバーが惜しげもなく一挙に収録されています。ただ、wikiのページには記載がないという不思議なアルバムです。

 

 映画「もののけ姫」のエンドテロップで流れるこの曲。久石メロディーの壮大さと、日本人的な旋律がミックスされ見事にもののけ姫の世界をあらわしている一曲です。イントロはタタリ神をイメージした低音弦楽器の恐ろしげな演奏からはじまり、メインモチーフの演奏となります。その旋律は低音から高音へ一気に、伸びやかな感じで荘厳です。組曲的な構成も魅力的で、曲の中に一つの物語を感じます。コンサート録音ということもあり本人演奏のピアノが加わりサントラとは、また一つ違った演奏を聴くことができます。

 

 

 2曲目はご存知、「もののけ姫」のメインテーマのオーケストラバージョンです。交響組曲もののけ姫のバージョンで、こちらはサントラのインストバージョンとは大きく異なり、新たにアレンジされた部分が多くなっています。幻想的なイントロのあと、前半のメロディーはピアノを中心に展開していきます。ここではおおらかでありながら、情熱的な演奏を聴かせてくれます。1番と2番の間の間奏は新たなメロディーの書下ろしとなっています。これらの演奏は東京都大阪のコンサートから出来のいい方を採用されているようです。

 

 

 4曲からなる交響組曲「もののけ姫」の「TA・TA・RI・GAMI」からの演奏です。サントラに比べアレンジが進化していて、タタリ神を中心としてサントラの他の曲も少々織り交ぜたアレンジとなっています。元が映像の動きに合わせた音楽で迫力万点の演奏となっています。タタリ神の異様な感じを、そしてアシタカが襲われる緊張感を見事に表しているといえるでしょう。ホルンの力強い旋律が印象的です。弦楽器の無秩序な感じの駆け上がって、駆け下がる演奏は不気味な感じを上手く表しています。民謡的なアップテンポのリズムも特徴的です。

 

 

 もののけ姫の曲の中ではピアノが前面に出された曲がこの曲です。最後のシーンで使われているので、印象に残っている人も多いでしょう。ここではクラリネットなどの木管楽器がシンセの響きの代わりを努めています。ゆったりとしたリズムに会わせ、流れるような透明感のあるメロディーが奏でられます。サビの部分のピアノは力強く、壮大な盛りあがりを見せてくれます。

 

 この曲より4曲はPIANO STORIES Ⅲでもお馴染みの曲です。Nostalgiaはそのアルバムのタイトルになっている代表曲とも言うべき曲です。イントロのピアノによる堂々とした感じの分散和音は、かっこよく、これからどういう曲が始まるのかという期待を膨らませてくれます。その後につづく甘く、切なささえ感じる旋律はいうまでもなくこの曲のシンボルです。コード進行とメロディーの関係が巧妙で、m7やM7のコードを等を多用しているにもかかわらず見事に分かりやすく、すっきりしたメロディーとなっています。サビ前では4拍子から3拍子へと変化し、何とも心地よいリズム感を生み出しています。サビはさらに力強く、そしておおらかにすすんでいきます。

 

 

 金曜ロードショーですっかりお馴染みのこの曲、1997年4月から2009年3月まで使用されていました。クラシック的な要素が取り入れられた曲。言うならば「難しい曲」であるかも知れません。ベース音は次第に下り、主旋律は次第に上がっていく、そんな感じのメロディーで曲が始まります。イントロのフレーズの後の旋律では、木管楽器が久石色出しているといえるでしょう。その後は、ショパンのようなピアノ曲を思わせるフレーズ、なかなか面白い構成になっています。最後はピアノのトリルに合わせ、はじめの構成を繰り返して終わります。

 

 

 時雨の時のテーマであるこの曲は、ピアノの高音部のきらびやかなフレーズの後、あたたかい感動的な旋律で始まります。全体的にゆったりとして、落ち着いた曲となっています。コンサート録音ということで久石氏のピアノが前面に押し出されています。ピアノを中心に詩情豊かな旋律が繰り広げられていきます。その後、徐々に明るい雰囲気を取り戻し、始めの印象的な旋律となり、最後は静かに終わっていきます。

 

 

 北野武監督映画「HANA-BI」のメインテーマとなっているこの曲。映画の中の複雑でいろいろ感情が交えた感じのメロディーライン。アダルトでいながら神秘的で壮大な要素も兼ね備えた久石音楽、そんな感じがよく現れているのがこの曲でないでしょうか。

 

 この曲も北野武監督の「Sonatine」のメインテーマです。この曲は繰り返しの音楽といえるでしょう。ミニマル色が多いに現れている曲です。イントロはピアノで始まるなどWORKSⅠのアレンジより、ピアノが前面に出ています。そのピアノと弦楽器の繰り返しのフレーズを中心に、クラリネット、オーボエ、フルート、ホルンとまるで輪唱のように次々と旋律に加わっていく様子は、編曲の巧妙さがうかがえます。

 

 

 この曲はコンサートや、他アルバムでも良く演奏されている曲です。My Lost Cityのものと比べるとややテンポが遅く、少しゆったり目のリズムで曲が進行します。イントロも、こちらは怪しげな雰囲気をかもし出していて、だいぶ様子が違います。久石さんの得意分野の一つである、哀愁漂うアダルトなメロディーの曲で、この曲独特のタンゴのリズムとなっています。後半はテンポが速くなりシャッフル系のリズムに合わせ、ドラムも加わりジャズの雰囲気もかもし出しています。

 

 

 この曲もコンサートや、他アルバムでも良く演奏されている曲です。Madness(狂気)という名の通り、パワフルに突きって行く曲です!それはまさに見事。大音響のオーケストラヒットとともに曲が始まります。小刻みな弦楽器の伴奏に合わせて、ピアノ、フルートの少し恐ろしげで不可解なメロディーがこだまします。その後は、まさに「狂気」の絶頂に向かってダッシュ!ピアノのバッキングをベースに「行くぞー!」という感じの演奏は必聴です。そして、その後のピアノの強打となります。最後はオーケストラ全奏で締めくくられます。

 

 

 この曲と次の曲はPIANO STORIES Ⅱからとなります。この「Friends」はアンサンブルなのですが、ここでは貴重なピアノソロアレンジとなっています。久石氏のピアノは力強いタッチで、強いところは、右手、左手構わないくらいに力強く、弱いとことは、とことん弱く、そんな感じの演奏はピアノソロの特徴であります。

 

 

 1998年冬季長野パラリンピックのテーマ曲としてつくられた曲です。曲想は日本人的、そしてアジア的な旋律を大切にしたもので、「もののけ姫」の音楽にも、よく似たものがあります。編曲はコンサートを録音したWORKSⅡ独特のもので、新たなメロディーがサビとして加わっています。トトロの音楽が聞こえてくるのも面白いところです。パラリンピックという事であまり認知度が無いのが残念ですが、フルオーケストラを使っての響きは聴きごたえがあります。最後は初めのメロディーをピアノ中心に繰り返しエンディング。その後は拍手にスタンディングオベーション!

 

 

 このCDには立川直樹氏の寄稿文が掲載されています。以下のように書かれています。

 

いい音楽には永遠の生命力がある。

時代とか流行、様式とか国籍…そうしたものすべてを超えて存在する音楽。「WORKS」と名づけられたシリーズは久石譲という稀有な才能を持った音楽家の”仕事”を数々の映画音楽の曲を中心にオーケストラとの共演という形で再構築していくものだが、新たに録音された曲を聞くと、改めてその音楽性の高さとオリジンルな魅力を実感することができる。一度聞いただけで記憶の奥底に刻みつけられてしまう美しいメロディと卓抜したアレンジ、それにピアニストとしての力量。今回の「WORKS II」は7年ぶりのオーケストラ・コンサートのライブ録音という形になっているが、ひとつひとつの音符の鳴り方、そこから紡ぎ出されたハーモニーの美しさは、驚くほどに完成度が高い。

だから、僕は出来ることなら可能な限りの音量でこのアルバムを聞いて欲しいと思う。収録された13曲は、インストゥルメンタルでありながら大量生産、大量遺棄されるヒット曲とは一線を画す本物の”唄”というのはどんなものかを教えてくれるし、ロマンティシズムとダイナミズムが完璧な形で同居し、輝ける結晶体になっていることがわかる。

そして、次にはそこに自分自身の記憶や思いを重ね合わせていくといい。映像は形になって残っているが、いい音楽というのはそこから離れて空間の中で旋回し始めるのである。「WORKS」はいい仕事の理屈抜きの証拠品である。

立川直樹

 

 まさにこのアルバムの本質をついています。