【症例】1歳男児、11kg。両停留精巣で固定術。2hrs予定。出生発達に問題なし、合併症なし。

【麻酔の実際】caudal、LMAを予定。
マスクにバニラを塗っておいたものの入室時に泣いていたのでGOS=5:5:5で導入。
入眠後自発を消さないように3:3:3に下げてルート確保。
フェンタニル10μg+ロクロニウム5mgivした後LMA挿入、
Classic#2がフィットせずProseal#2でとりあえずOK。
いつでも挿管できる準備をしつつ側臥位になりcaudal、1%XyEなし8mlを使用。
仰臥位になりレミフェンタニル1ml/hr≒0.15γ開始。
手術開始後痛がらず、caudal効いているよう。
維持はAOS=1.5:1:2.5で。
1時間後にPIP↑となり換気量がやや減ったのでロクロニウム3mg追加、
1.5時間後HRとPIPがやや上がったのでアルチバ0.3γにup、
バイタルはそれ以上変動なく徐々に下げていき、
閉創開始時にフェンタニル5μg iv。(術中フェンタニル追加なし)
手術終了2-3分前にレミフェンタニルoff、純酸素としてSevoも徐々に下げていき
手術終了と同時にSevo off、後アセトアミノフェン坐薬100mg挿肛、
手術終了8分後には十分な自発呼吸出現しLMA抜去、呼吸問題なく少しとろんとした状態で退室。
術中体温の上昇もなかった。

【調べもの】
臨床小児麻酔ハンドブック
(精巣固定術)
・鼠径ヘルニアの麻酔に準じる。
・麻酔導入後アセトアミノフェン坐薬20mg/kg、腸骨鼠径神経ブロックあるいは仙骨硬膜外麻酔、0.2%ロピバカイン1ml/kg(max20ml)で行う
・腹腔鏡手術の場合、N2Oは消化管膨満し視野が妨げられるので使用しない
(鼠径ヘルニア)
・3カ月以上等の条件がそろえばマスクorLMAのみでの気道確保、GOSのみの麻酔維持可能
・手術開始時、腹膜の牽引、精索の操作時には麻酔を十分深くし、喉頭痙攣、バッキング、体動、徐脈を防ぐ。特にGOSマスクのみによる維持では、Sevo4%以上必要。
・手術開始前にアセトアミノフェン坐薬20mg/kg挿肛し腸骨鼠径神経ブロックを行う

【考えごと】
こどものLMAはフィットが難しい。Classicで合わなかったらProseal、ダメならすぐ挿管できるように準備してから導入。予定2hrsでLMAで乗り切るにはやや長めではあったけど術野が下の方なのでいざとなったらすぐ挿管できるからLMAを選んだ。最後の方吸気圧が徐々にあがってきたがなんとかしのいだという感じ。
子供はSevoが抜けるのが早い(なんでかな?)ので、etSEV 2.5くらいで維持していてもoffしたらあっというまに0.4くらいまで下がってしっかり自発が出てくる。LMAだと完全に醒めるちょっと前に抜いちゃっても。
フェンタニルも、これくらいの侵襲の手術なら、こんな感じの使い方でちょうどよかったよう。
長くない手術なら開始前1μg/kgだけで全然OK。
尿道下裂の形成術とかだともっと痛いんだろうけど。
仙骨硬膜外の量は鼠径部・下腹部(T10)は1ml/kgって書いてあるけど、うちは0.8ml/kgって決まってる。効いている感じはするけど、持続時間は短いか?

【明日のために】
・子どものLMAは念入りな準備のもとに。
【症例】70代男性。BPHでTUR-P、1.5時間予定。
【合併症】HT、20年前にL5/Sのヘルニア摘出術の既往。
【麻酔の実際】アンダーマスク、Epi、Spinalを予定。
腰椎Xpでは棘間は全体的に狭いがL3/4だけはやけにあいているようにみえた。
左側臥位になってもらい型のごとくL3/4medianからロカール、しかし骨に当たる当たる。
潔く諦めてparaからロカール、なんとなくここかな、という方向がわかったところで
25Gスパイナル針を穿刺。しかし何度方向を変えても骨に当たる・・・
椎間を変える前に指導医の先生をコール。
手が替わるがなかなか入らず。椎間を変えて結局一個下の椎間からかなり頭側に振ってなんとかスパイナルは入った。ブピバカインを入れ、その後のEpiが入らない時のことを想定してフェンタニル15μgも追加。
Epiは椎間をいろいろ変えてトライしたがやはり入らず断念。
レベルはT6-S。いいところだ。
TUR-PといえばTURP症候群・・・と思っていたら、点滴棒にぶら下がっているのは生食。
うちの病院では、最近いいバイポーラー(?)が入ったらしく、電解質液でも通電しないためウロマチックではなく生食で、対極板も必要ないらしい。これが普及したらTURP症候群は過去のものになってしまうのかもしれない。
以前はウロマチック15パック30Lを越えたところでBGAをチェックしていたらしいが、生食なら採血要らないですね。むしろNaが少し上がるくらいか。術時間も長くなりHbも見たかったので静脈血ガスをとってみたらNa含めて電解質は全部正常だった。
手術はやや延びて2時間強、痛みはなかったが終了後には足も動いていた。
術中体温のモニタリングを忘れてしまい、(バルーンが入っていないと忘れがち)保温を怠りシバリングが起きてしまった。30分に1度でも体温測定するべきだったと反省。
あたためているといっても潅流液をたくさん使うから、どうしても体温は下がってしまうのだろう。
よく輸液をあっためて使っているけれど、せいぜい体温を「下げない」ということしかできないらしい。


【明日のために】
・特にバルーンが入らない、やや長めの手術では、体温測定を忘れない。
・TUR-Pは潅流液をたくさん使うのでシバリング要注意。
【症例】70代女性、顔面の皮膚腫瘍広範囲切除、左前腕皮弁術。8時間予定。
【合併症】高血圧で内服、180台。UCGでPAP=42mmHg、軽度の拡張障害あり。eGFR=40台。
【麻酔の実際】全身麻酔、AラインFrotraq、大腿からのCVを予定。
入室時の血圧は220、高いです。
すぐにフェンタニル50μgとロクロニウム2mgをiv、
プロポフォールTCI3μg/ml+レミフェンタニル0.2γ、Sev2%で導入します。
挿管後、久々に大腿からのCVです。
エコーでちら見すると、Aのすぐ下やや内側寄りにVがあり、Aのすぐ脇を刺すイメージで。
三活を二つずつつけたダブルを挿入。
(distalのメインはDOB、NAd、proximalの圧ラインはPGE1、hANPをつなげるように)
体位をとり覆い布をかけている隙にAラインをとり、手術開始。

手術開始までにフェンタニルtotal200μg、以後1時間毎に1μg/kgをone shot、最後の方は少し間隔を伸ばして。
アルチバは0.2γで開始し、手術操作の刺激に応じて0.1-0.4γで増減。
顔面の深いところの操作は頚部郭清の手術同様刺激が強く、0.4γくらい必要。
それ以外は0.2γ程度でOK。PropとSevoは変えず。
神経刺激をする間は筋弛緩は追加なし、マイクロに入る前に念のため10mg追加したのみ。
若い人ならもっとしっかり使ってもよかったかもしれない。

手術開始前からPGE1を0.005γで開始。
術開始前から尿の流出がほとんどみられない。
まず腎後性因子を否定、さてどうするか。
尿量を保つには、
①ボリューム入れる、②血圧上げる、②利尿薬を使う、のが基本。
ボリュームを入れたい衝動にかられますが、拡張障害がありSVVも保たれていたため、
まずhANP0.025γとDOB2γを開始します。
どっちも肺血管抵抗を下げるのでこの人にはちょうどいい感じ?
血圧を上げていくと、sABPが120-130mmHgほどでやっと管中に流出が見られることが判明。
(カフでは110mmHgくらい)
この血圧を目標にDOBを調節していきます。
DOBを3-5γまで上げても血圧が上がらなかったらNAdで締めるつもりだったものの結局使わず終了。
術野の出血はそれほど多くなく、血圧が高めでも問題なさそう。
SVVの低下に対してはHESをゆっくり落として対応。
むしろ皮弁採取や血管吻合、止血確認には、もともとの血圧も高いので、
術中も高めでキープした方がよさそうと判断。
結局手術6.5時間麻酔7.5時間、出血300で輸液2100、尿量700。
麻酔薬を切っていくと血圧が140台となりDOB漸減しOFF、ペルジピンを0.4mgずつ使いながら抜管。
ラストフェンタは閉創開始時に1μg/kg、抜管1時間前。ロピオン30mgを点滴に混注。
フェンタをちょっぴり残していたため抜管時もあまり苦しがらなかった。
高齢だし吐き気止め要らないかと思っていたがICU入室後嘔気あり、プリンペランで改善。
指先は術中術後を通して温かく、ボリュームは絞っていたもののシバリングなし。

【調べもの】
・バランス麻酔:最近の進歩より
フェンタニル1-2ng/mlという濃度は、MAC-awakeに対する相互作用は大きくない
(つまり、フェンタニルがあってもなくても0.3MACくらいまで覚醒しない⇒だったら多少フェンタニルが残っていた方が痛くないし挿管刺激も少ないしgood)
執刀前にはフェンタニルがどれだけ必要かを見積もることは困難⇒ある程度十分量を使用しておく
 ex) 初期投与・・・蓄積なし⇒執刀までに4-6μg/kg
   術中・・・1μg/kgずつ投与

・トラブルシューティング「術中尿量が異常に少ない」より
術中の乏尿と術後の腎機能は相関しないとする報告も多い(急性尿細管壊死⇒濃縮能↓⇒尿は出る)
しかし、尿量は臓器血流の間接的指標と考えられる
最初に腎後性を否定してから、次に原因として最も多い腎前性(脱水、出血、低血圧)を考える
腎髄質は腎血流の5%しか流れず自己調節能もない⇒虚血、急性尿細管壊死に陥りやすい⇒大部分は酸素化と十分な補液のみで改善
薬剤・・・フロセミド、マンニトール、ドパミン、CCB、ACEI、PGE1、hANP、ウリナスタチン
利尿薬の功罪
 ○・・・ヘモグロビンやミオグロビン等による尿細管の閉塞や腎毒性物質をwash out
 ×・・・脱水↑⇒腎機能悪化
腎前性でもダメなら腎性を疑う
 原因・・・造影剤、抗菌薬、NSAIDs、ミオグロビン、ヘモグロビン
 対応・・・血液浄化、hANP、フロセミド

・急性尿細管壊死(メルクマニュアル)
原因・・・①低血圧 ②腎毒素(アミノグリコシド,アムホテリシン,造影剤、ヘム)
糖尿病および脱水の存在または腎灌流不良の患者において,より発症しやすい
症状・・・なし。乏尿が認められる時点で急性腎不全を発症することあり
予後・・・健康な患者では,Cre値は1~3週間以内に正常化。不健康な患者では死亡率上昇
治療・・・腎毒素中止、正常血漿量の維持。利尿薬の有益性は不明
予防・・・重篤患者においては正常血漿量と腎灌流の維持,腎毒性薬物の回避,造影剤腎症の回避(NaHCO3 154mEq/L,3mL/kg/時間として造影剤投与1時間前に開始,撮影後に1mL/kg/時間を6時間継続)。予防に無効or有害なのは,フロセミド,DOA,hANP,CCB


【考えごと】
フェンタニルは結局9μg/kg使用、気持ち控え目に使ったつもりだったが
これだけ使うと吐き気の原因になったのかもしれない。
フェンタニルの使い方としては、最初にドカンと、
あとは、
①レミフェンタニルを0.2-0.3γ等で固定して、抑えきれない痛みにフェンタニルone shot
②1時間あたり1-2μg/kgずついって、2時間を越えたら徐々に間隔を延ばしていく
③鎮痛はレミフェンタニルメインで術中フェンタニルは使わず、閉創時に1μg/kg程度使う
というような入れ方が考えられる。
やはりシバリングを考えるとある程度の量は入れておきたい。
今回の手術は顔面の深部の剥離操作で刺激が強く、
前腕皮弁採取やマイクロでの血管吻合は侵襲が弱い、という感じで、
ある程度メリハリが効いている手術だったので、
レミフェンタニルを鎮痛の主役として、
②のように侵襲と無関係にフェンタニルを基本的に1μg/kg/hrでちょいちょい使う感じにした。
手術終了後Sevoを切ったらすぐにしっかりした自発呼吸も出現し、
創痛の訴えもなく、量としては悪くなかったと思う。
尿に関してはまず腎後性を否定する。
急性尿細管壊死では尿は流出するんだ。でもこれはどうやって判断するのか。
長時間手術なら電解質とか狂ってくるのかも、Na↓とか。
利尿薬による治療や予防はあまり期待できなそう。でも使うしかないような気もする・・・
術後Cre↑する人の中にはATNを発症した人もいたということなんだ。


【明日のために】
・フェンタニルそれなりに使ったら吐き気止めを考慮しよう。
・やっぱりフェンタニルはえらい。
・術後腎機能悪化はATNの可能性を考えよう。
今日は咽も痛くなく、頭痛もありません。熱もなさそうです。

それでも、咽頭痛→鼻汁→下気道炎(咳、痰)に進行しないようにまだまだ気が抜けません。
下気道までいってしまうと、完全に治るのに数週間かかってしまいます。

補中益気湯は1回2包に減量、葛根湯、桔梗石膏、黄連解毒湯、銀翹散(ふうねつ→カネボウからのエキス製剤に変更)、サワシリンで継続します。
鼻詰まりがあったら104番辛夷清肺湯、痰がひどければ90番清肺湯を併用するところですが大丈夫そう。

コタローさんの黄連解毒湯カプセルは1回2capの分量なので
1capだと1回量の半分になります。これが、使いやすいのです。
まだそれほど炎症がひどくなければ、1capで足ります。
黄連解毒湯の量があまり多すぎると、胃が冷えます。
胃酸過多の人には、一貫堂で五積散加黄連山梔子を使うように、エキス剤で五積散合黄連解毒湯で代用します。
その時の黄連解毒湯は少量でよいのですが、エキス1袋だと若干多い。
その点、カプセルなら1capでちょうどいい感じです。
しかも黄連解毒湯は苦いので、カプセルだと都合がいいのです。
ホント、よくできた商品だと思います。

今日も風邪は悪化なくきました。
あと3日くらいです。
明け方、咽が痛くて目が覚めました。
昨日、寒かったから体が冷えたんでしょう。
すぐさま、東洋薬行の葛根湯とコタローの桔梗石膏を飲んで2度寝します。
これで治ることも、多いのですが・・

朝定時に起きても咽は痛く、足先が冷たい。
やはりこれは本物の風邪です。
自分の場合は咽からくることが多いので、慣れています。
熱も出そうな予感。

まず起きてすぐ葛根湯と桔梗石膏と、こういう時のために買っておいた銀翹散製剤「ふうねつ」、炎症がひどくなりそうだったのでコタローの黄連解毒湯カプセル1つを飲みます。
朝食後はサワシリン1capと、だるさもあったので補中益気湯3袋。

職場に着いてまずは葛根湯と桔梗石膏をひと袋ずつ。
午前中には体熱感があり、でも体を冷やさないように厚着します。
37.9℃まで体温が上がってやや頭がぼーっとしますが、
アイスノンを首に巻きつけてなんとかしのぎます。
頭痛と咽痛があるくらいで、寒気はありません。
昼ご飯前のひと時に、葛根湯、桔梗石膏、ふうねつ、黄連解毒湯。
昼ご飯は普通に食べて食後にサワシリンと補中益気湯3袋。
このあたりでやや汗がにじみます。

夕方幸運にも仕事が早く終わり、葛根湯、桔梗石膏、ふうねつ、黄連解毒湯。
夕食も肉を中心にしっかり食べてサワシリンと補中益気湯3袋。
風邪なのにしっかり食べられたのは補中益気湯の消化吸収増進作用のおかげだと思います。

寝る前には葛根湯と桔梗石膏、カネボウの銀翹散、黄連解毒湯、サワシリンを飲みます。

結局、1日で、
葛根湯と桔梗石膏を6袋ずつ、補中益気湯を9袋、銀翹散製剤を計4つ、黄連解毒湯カプセル、サワシリンをそれぞれ4つずつ。
いくらなんでも多すぎる、と思うかもしれませんが、
早く治すにはこれくらい飲まないと効かない、というのが実感です。

風邪は、病邪に対して立ち向かって戦うのではなく、
闘牛士が赤いマントでひらりと闘牛をかわすように、
病邪をさらっと通す、通してしまう、という感覚でいった方がいいと思っています。
今はもう熱も頭痛もなく、咽の腫れや痛みもありません。
あとはゆっくり寝れば、風邪を通すことができそうなところまで来ました。