【症例】70代男性。BPHでTUR-P、1.5時間予定。
【合併症】HT、20年前にL5/Sのヘルニア摘出術の既往。
【麻酔の実際】アンダーマスク、Epi、Spinalを予定。
腰椎Xpでは棘間は全体的に狭いがL3/4だけはやけにあいているようにみえた。
左側臥位になってもらい型のごとくL3/4medianからロカール、しかし骨に当たる当たる。
潔く諦めてparaからロカール、なんとなくここかな、という方向がわかったところで
25Gスパイナル針を穿刺。しかし何度方向を変えても骨に当たる・・・
椎間を変える前に指導医の先生をコール。
手が替わるがなかなか入らず。椎間を変えて結局一個下の椎間からかなり頭側に振ってなんとかスパイナルは入った。ブピバカインを入れ、その後のEpiが入らない時のことを想定してフェンタニル15μgも追加。
Epiは椎間をいろいろ変えてトライしたがやはり入らず断念。
レベルはT6-S。いいところだ。
TUR-PといえばTURP症候群・・・と思っていたら、点滴棒にぶら下がっているのは生食。
うちの病院では、最近いいバイポーラー(?)が入ったらしく、電解質液でも通電しないためウロマチックではなく生食で、対極板も必要ないらしい。これが普及したらTURP症候群は過去のものになってしまうのかもしれない。
以前はウロマチック15パック30Lを越えたところでBGAをチェックしていたらしいが、生食なら採血要らないですね。むしろNaが少し上がるくらいか。術時間も長くなりHbも見たかったので静脈血ガスをとってみたらNa含めて電解質は全部正常だった。
手術はやや延びて2時間強、痛みはなかったが終了後には足も動いていた。
術中体温のモニタリングを忘れてしまい、(バルーンが入っていないと忘れがち)保温を怠りシバリングが起きてしまった。30分に1度でも体温測定するべきだったと反省。
あたためているといっても潅流液をたくさん使うから、どうしても体温は下がってしまうのだろう。
よく輸液をあっためて使っているけれど、せいぜい体温を「下げない」ということしかできないらしい。


【明日のために】
・特にバルーンが入らない、やや長めの手術では、体温測定を忘れない。
・TUR-Pは潅流液をたくさん使うのでシバリング要注意。