60周年アニバーサリー1959 Les Paul 後編 ~ボリビアンローズウッドって何?~ | G'CLUB TOKYO ”茶水の散歩道"

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最後となる『後編』では、あまり語られていないながらも実は最大の変更点とも言える指板についてを書いていきたいと思います。

【前編】『ヒスコレ59』これまでの進化 はこちら

【中編】どこが違う!? 60周年記念モデル はこちら

 

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この60周年モデルには、従来のインディアン・ローズウッド指板の他に【ボリビアン・ローズウッド】を使用したモデルが登場しました。

日本のディーラーがあまり積極的に仕入れていないこのボリビアンローズウッドとは、一体どんな木材なのか? サウンドは? 見た目は?

について掘り下げていきたいと思います。

 

 

ボリビア(正式名称;ボリビア多民族国)は北と東をブラジル、南東をパラグアイ、南をアルゼンチン、南西をチリ、北西をペルーに囲まれた、南米6番目、日本の3.3倍の国土を持つ内陸国。

気候は地域、標高により大きく異なるようで、アンデス高原地帯、渓谷地帯の他、国土の5分の3を占める高温多湿の熱帯気候に属す平野部が有り、特にブラジルから連なる北部のアマゾン地域ではマホガニーを始めとする林業が盛んな様です。

 

ボリビアンローズウッドも、ハカランダと呼ばれるブラジリアンローズウッド同様の、肥沃な熱帯雨林が原産地のようです。

 

通称ボリビアン・ローズウッドとも呼ばれていますが、一般的には『パーフェロー』と呼ばれている材になります。

ヴィンテージ・ギターに使用されていたハカランダの代替材として、また現在のCITES規制から輸出入が難しくなっているインディアンローズの代替材として一番に名前が上がったのがこのパーフェローです。

 

熱帯雨林産らしく油分が多く、木質は重硬、木肌は緻密で仕上がりが美しいとされています。

硬質である為、楽器に使用するとアタックの速さと強さ、サスティーンの良さが発揮されそうです。

 

学術的にはマメ科マチュリアム属となります。

ワシントン条約附属書Iに属するハカランダ、附属書IIのインディアンローズ、マダガスカルローズ等現在輸出入の規制を受けているのは同じマメ科の中でもツルサイカチ属。

マチュリアム属のボリビアンローズウッドが今後いつまで、どの程度供給可能かどうかは分かりませんが、現在非常に注目されている理由もここにあります。

 

パーフェローに関しては、Fender社が90年代初頭からスティーヴィー・レイ・ヴォーン・ストラトキャスターに使用し始めた記憶がある人も多数いると思います。

このSRVモデル、92年に登場した当初にはハカランダ指板を使用していましたが、直後にワシントン条約附属書Iに指定され大規模な輸出規制が行われたことでパーフェローに変更されました。

同時期の他のモデルは全てインディアンローズウッドを使用していたにも関わらず敢えて別の材を使用した背景は不明ですが、90年8月に突然の死を遂げた新時代のギターヒーローに対するリスペクトから、『ハカランダに最も近いサウンド』と言われたパーフェローを選んだのかもしれません。

 

当時の記憶も有り、パーフェローと聞くと色味が薄く明るい茶褐色で縞の強い木目のイメージがある人も多いと思います。

ところが今回入荷した個体を見ると、目が詰まって色が濃く、油分も多い為、見た目には好印象です。

 

実際のサウンドの印象は・・・

非常に良いです。

勿論好みは分かれると思いますが、ピッキングの強弱に反応する素早い音の立ち上がり。ハイの伸びも素晴らしいですが、音にしっかりと芯が有るので中低音が太く、消化不良無くボディー全体が振動しているようです。

感触的には、確かに硬質ではありますが、物凄く弾力と言うかバネがある様な印象です。軽く弾いても強く弾いてもブレずにしっかりと鳴り、

生音がクリアで音量があります。

 

亜熱帯地域の多いインド産のローズウッドと、より湿潤な熱帯雨林であるアマゾン原産のボリビアンローズウッド。

どちらも元はと言えばハカランダの代替材として使用されているのは確かで、どちらが良いかはあなた次第、ということではないでしょうか?

 

来年以降、いずれは条約の変更によりインディアンローズウッドの規制が緩和される可能性も無きにしもあらずで、今後もボリビアンローズウッドを使用するかどうかは分かりませんが、今年一杯で終了となるには非常に勿体ない気がします。

 

ちょっと細かい話もありましたが、60周年59レスポールに興味を持った方は是非一度、お試し下さい。

 

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