旧青山別邸を出て、小樽運河近くの色内地区にやって来ました。
この付近は大正~昭和初期にかけて北海道一の経済的繁栄を誇った歴史を持ち、かつては「北のウォール街」と呼ばれました。今でも当時の金融機関などの歴史的建造物が数多く残っています。しかし現在、観光業は盛んとはいえ、その他の産業の斜陽化が進み、人口は最盛期(約20万人以上)の半分ほどになってしまいました。
これでは由緒ある建物の維持管理も大変です。
そこで北海道発祥の企業「ニトリ」がこれら歴史的建造物のうち、隣接するいくつかを手中に収め、保存・管理と同社所有美術品の展示を目的に開設したのが「小樽芸術村」(小樽市色内1丁目)です。
館内の展示品はともかく、レトロ好きの梅之助がここを外す訳にはいきません。
こちらは「似鳥美術館」(小樽市色内1丁目3-1)。
内外の著名画家や彫刻家などの作品が収蔵されており、美術に疎い梅之助でも知っている横山大観や棟方志功、高村光雲らの作品を目にする事が出来ました。
また、地下はアールヌーヴォー・アールデコ グラスギャラリーとなっています。
建物は旧北海道拓殖銀行小樽支店。
1923(大正12)年建築で小樽市指定歴史的建造物になっています。銀行の店舗として使用されていたのは1969年までで、その後はホテルやペテルブルグ美術館などとして使用され、現在に至っているとの事。
とても優雅な正面入り口。ただし正面ホールは工事中で、この日は横の入口から入場です。館内は当然ですが、写真撮影禁止でした。
下の2枚は今回見る事の出来なかった1階吹き抜けホールと作品展示の様子。巨大な室内円柱が見ものです。是非、直接写真に収めたかったなぁ。
朝日新聞デジタル より
「小樽芸術村」HP より
芸術村施設の中庭をはさんで鎮座しているのが、「旧三井銀行小樽支店」(小樽市色内1丁目3-10)。
1927(昭和2)年の建築で、2002年まで銀行店舗として使用されました。こちらは小樽市指定有形文化財となっています。
道路に面した正面側からの全体撮影。関東大震災を教訓にした耐震技術が取り入れられており、重厚な雰囲気が伝わってきます。
(左)は側面側。芸術村中庭に面しています。(右)正面に回ったところ。
「さすが三井財閥」といった入口ですね。
中の様子。昔の大きな銀行店舗はとても味わい深いですね。
所有者となったニトリ側は当初ここを美術館にする予定だったものの、館内の趣を考慮して旧銀行店舗として暫くこのまま公開する事に判断したようです。
この日は特別企画展「小樽芸術村 浮世絵展」(4/21~9/17)が館内の奥の方で開催されていましたが、別途チケットが必要だったので取りあえずスルー。
(右)は貸金庫室。
続いて訪れたのが「ステンドグラス美術館」(小樽市色内1丁目2-17)。
建物は大豆を収める倉庫として1923(大正12)年に建てられた「旧高橋倉庫」で、小樽市指定歴史的建造物となっています。
背面からの全体像。
前面側は「小樽芸術村ミュージアムショップ」(「旧荒田商会」1935(昭和10)年建築:小樽市指定歴史的建造物)と連結されており、そちらの方から入場します。
(右)小樽芸術村ミュージアムショップ正面入口。
ステンドグラス美術館内部です。ここではフラッシュ撮影さえしなければ写真撮影可でした。
トラスト構造の倉庫骨組みとステンドグラスが面白い対比を成していますね。
ここで展示されているものは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて英国で製作され、実際に教会で使用されていたものだそうです。ゆえに殆どがキリスト教関連のものでした。
(上)これは大きな作品でした。「神とイギリスの栄光」という題名だそうです。
これはイエス・キリストの磔を描いたものですね。
「最後の晩餐」もありました。
さて、小樽芸術村3館共通入場券(1500円、特別企画展示は別途)を購入すると、芸術村敷地内のタイムス駐車場が2時間まで無料になります。まあ、お盆期間でもあり、数も16台分だったので正直、諦めていたのですが、何とか運よく駐車することが出来ました。
そこでこの後、余った時間を使って付近のレトロ建築の見物に足を伸ばしてみる事にしました。
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