相変わらずの蒸し暑さは続いていますが、
夜中に雨が降ったお陰で昨日よりは多少涼しく感じますね
今日は前回のブログの続きでクロコダイルの特性と
モノづくりに与える影響についてご説明させて頂きます。
クロコダイルの特徴は何と言っても「谷」と呼ばれる
窪みがあって
谷の存在によって凸凹した状態が
モノづくりに強い制約を加えます。
それは職人さんが「漉き」にこだわり、
細心の注意を払っていることからもわかるかと思います。
この谷の深さは革や部位によってもそれぞれ違い、
クロコダイルを薄く加工することは本当に難しい
それでもクロコダイル革の風合いは活かしながら、
できるだけ薄く、軽く仕上げようと
職人さんは常に努力しているのです。
谷の存在による制約はいたるところに現れます。
・ヘリ返しやコバ部分の見た目
・ステッチラインの歪み
・ロゴ押しの不鮮明さ など
但しこれらはひとえに見る方の感性と言うか、
どのくらい気にするか、気になるか によります。
実は最近こんなことがありました。
とあるお客さんのご注文でヘリ返しのお財布を製作したところ
ヘリ返し部分が雑に見えて気になって仕方ないと
改めて確認したところ申し訳ないのですが、あくまで標準な状態
本店サロンに並んでいるアイテムも見ているはずなのに
唯一言えることはヘリ返し部分に
薄い色の牛革を使用しているために
クロコのヘリ返し部分の見栄えが強調され
必要以上にそこに目がいく
谷によって生じた数ミリ以下の凸凹が
どうしても気になるとのことで
私たち以外、他の方々に見て頂いたところ
見た人ほとんどが「気にならない」「どこが？」とか
今ここでそのお客さんの悪口を言いたいわけではなく
今後の教訓をして人の感覚はわからないことを前提に
もっとももっと説明を尽くすべき、
希望を叶えてあげようと牛革を薄い色にしたことが
仇となってしまうなら、強く同系色を薦めるべきだったなと
ステッチに配色を求められる場合でも同じこと
クロコダイルにミシンで縫製すると
硬いうえ、凸凹していることで、
どうしてもミシンがはねて、まっすぐ縫うことが難しく、
数ミリのズレは生じてしまいます。
ミシン糸の色を変えると
目立ってしまうため
お客さんには必ずご説明するようにしていますが、
それでもとお受けすることが多く
職人さんももちろん丁寧にやってくれますが、
やってみないとわからないということもあって
まるでまな板の上の鯉
仕上がるまでヒヤヒヤすることが多いのです。
クロコダイル革の特性は一般革と比べてかなり異質であること
また特にオーダーメイドの場合は高齢化が著しい職人さんが
量産品と違い一発勝負で製作にあたること
比べられる対象が牛革など一般革の製品がほとんど
今回の件をいい教訓として、どこかで聞いた言葉ですが、
説明責任を心がけていきたいと思います。
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