Revにおまかせ!!

Revにおまかせ!!

Rev.from DVLの大ファンです。彼女達の認知度を上げる為、日々応援しています。
不定期更新のRev4コマを中心にアップしていきます。下手な絵ですが、Revの雰囲気が伝われば幸いです。彼女達のブログにアクセスしてもらえると、もっと嬉しいです♪

Amebaでブログを始めよう!
「ふぅ。参ったね」

男は報告書を机に放って、天を仰いだ。

「すみません。彼女の意思は固く、説得に至りませんでした。私の力不足です」
傍らの女性が頭を下げる。
「いやいや、君の責任ではないよ。彼女の意思を軽くみていた私の責任だ」

男は軽く首を振りながら、頭を垂れている秘書をフォローする。
若干所作が大げさなのは、この男の癖なのだろう。

「高校入学したばかりだからこそ、こっちの高校に編入した方が色々都合良かったのだが・・・」
呟きに近い言葉だったが、秘書が反応する。
「彼女が第一に考えているのはグループのことで、東京に住んだら活動に支障をきたすと考えているようです」

「売れたければ、答えはひとつしかない。田舎で仲良しごっこをやっても、名前なんて覚えてもらえないさ!」
ぼやき気味に言い放ったが、表情からは感情が読み取れない。

「再度説得を試みますか?」
「いや、必要ない。事を急いでいる訳ではない。上京は選択肢の一つに過ぎない」
「しかし、三年間売り込みのチャンスを失うのは事務所にとっても彼女にとっても得策ではないと思います」
「そこだよ。発想を変えよう!プロモートは吉本に任せているのだから売れれば良し。売れなければ彼女だけ引き抜けばいい。契約書にはグループより彼女の活動を優先すると記載してあるのだから!」
秘書には男の真意が読めず、困惑した表情になる。
「難しく考えなくていいんだよ。我々は彼女に仕事を持ってくる。もちろんこっちでの仕事だ。交通費等の経費は初期投資だと思えばいい。地元での仕事は受けない。東京のイメージを持たせる。地方色を消すことが、これからの彼女に必要になるのさ」
「勿論グループが売れるなら、そこからの展開も色々出来るさ。けどね、十何人を売り出すより、一人に力を入れる方が現実的だ」

男は徹底した現実主義者。曖昧なことが嫌いだ。
今までも大きな仕事は合理的な考えに基づいて処理してきた。
いつもなら即決の彼も、今回ばかりは慎重だ。
人の心程難しいものはない。
待つという今までにない戦略を男は意外と楽しんでいた。










2014年5月中旬

デビュー後とあって、Rev.は多忙を極めた。
握手会は毎週末土日に組まれていて、東京3回、福岡3回。大阪の追加もあった。
最初は衣装での握手だったが、途中から私服での握手会に代わり、ヘアスタイルとのコーディネイトはメンバーの頭を悩ませるところであった。

「ん?さき、どうしたと?」
レッスン帰り、メンバーは単独で帰ることは少ない。
夜中遅くまでレッスンがあった場合は駅までの短い時間だが、今日のように早めに終了した場合は寄り道して帰ることも多々ある。
この日早希はちかななと一緒にいつものラーメン店でこれからのイベントについて話していた。
成長期である彼女達にとって、おしゃれなカフェよりも消費したカロリーを満たしてくれるラーメンがチョイスされたのは福岡女子あるあるかもしれない。

「うん。あたしね今悩んどーと」
ちかなながラーメンすすりながら、早希の器を見てピンと気づく。
「大丈夫よ~!替え玉くらいで太らんって!」
「あたしもいくけん一緒に頼も?すみませーん!替え玉2つ。カタで!」
ちかななの行動に驚いたのは早希。
「えっ?えっ?違う~!!」
「えっ?ダイエットじゃなかと?」
「違うよ~!もう。ちかなな~」

古澤早希は2014年2月にRev.に加入した。
本人談によると、学校で加入話を聞かされたという。
小学5年生からアクティブハカタに所属し、レッスンを受けていた彼女にとって、アイドルという道を歩むことになる人生の転機だった。
ちかななは早希より一年ちょっとRev.では先輩にあたるが、同学年ということもありプライベートでは上下間系なしのフラットな間柄であった。

「来週末スカラで握手会あるでしょ。私服決まんなくて、髪もどうしようかめっちゃ悩んどーと!」
「あーね。水曜日空いてるでしょ?服見に行く?」
「えっ?行く行く!」

女の子にとって、服のショッピングはちょっとしたイベント。大体は親と行くことが多いのだが、自分とセンスがズレていることの方が多い。
同年代とのショッピングは忌憚なき意見を聞けるので実はありがたい。
ましてや同じアイドル目線のちかななは正直な意見を聞かせてくれる貴重な存在。
ゆっきー、麗依菜、なっちとはファッションの方向性が違うのはなんとなく理解していたから、この3人とはショッピングしたことはなかった。

「ヘアスタイルも悩んどっちゃん。ブログではツインテールの反応が良かったっちゃけど、ゆっきーちゃんと被るんよね」

メンバー同士の呼称は自由だ。さんずけは堅いということで禁止されている。基本は愛称をそのまま使っているが、後輩メンバーである早希には抵抗があるので、「ちゃん」付けで呼称している。

「うーん。大丈夫じゃない?ゆっきーのツインは別物・・・でしょ?ツインで良いと思う」

自分のことでは優柔不断なちかななだが、他のことに関しては即決だ。
特に無茶振りに対しては逃げない。Rev.を背負っているというグループ愛がちかななを支えているからだ。
デビュー前に、環奈、なっち、ちかななの3人で参加するイベントがあったのだが、2人が渋滞に巻き込まれて時間に間に合わないハプニングがあった。
この時ちかななは、1人で歌を披露しRev.メンバーの強さをアピールしている。

「・・・よし!決めた!ツインでいく。ちかななありがと!皆に古澤早希のこと、少しでも覚えてもらえるように頑張るけん!」
「そうよ。環奈ちゃんに置いてかれんようにせんとね!」

良いタイミングで運ばれてきた、替え玉カタを2人は一気にたいらげて、気持ちも新たに帰路についたのであった。

5月15日はRev.ミーティングの日だった。
基本ミーティングは月に二回。必要に応じて開かれることもある。
運営の決定事項、スケジュールをマネージャーからリーダーが受け取ってメンバーに落とす。
いわゆるトップダウン方式だ。
その中でも細部を話し合う必要があるものをミーティングで話し合って決める。
ルールは意見の批判はしない。上下間系は無し。
の二つだ。

「じゃあ今わかっているスケジュールを言うけん、メモ取ってね。ちかななボードに書き出して」
「はい!」
ひとみんの後ろにあるホワイトボードにちかなながマーカーを持って準備する。いわゆる書記だ。
麗依菜だと字が汚い。環奈、ゆっきー、なっち、きょんだと背が低い。なぎさや優菜、みぽりんだと雑。
ひとみんは意識したことはないが、ちかななと早希、帆南をフィーリングで決めている感じだ。

「前伝えた通り、17、18日は福岡握手会。8時集合の9時会場入り。両日同じね。今回も私服だから忘れないようにね。メイクさんもいるから失礼ないように」
『はい!』声が揃う。

メジャーデビューして変わったことは多々あるが、メイクが付くようになったのは大きいだろう。今までセルフでやっていたのがプロにしてもらえるのはメンバーにとっても嬉しいことだった。
特に学生組にとっては新たな自分を発見出来るので大変勉強になった。

「24日は5時集合で、7時の飛行機で東京。朝食は家か空港で済ませて。時間取れないから。前回と同じく、ホテルにチェックインしてから会場に移動よ。ゆっきー、今度は叫ばんでね」
「えっ?あっ?はい」
予想もしてない所で弄られたので面白い返しも出来ず、ゆっきーは顔を赤くした。
「あれは、麗依菜が悪いんですよ!」
「反省してまーす」
「んっ!この・・・」
笑いが起きる。
食い気味に麗依菜がかぶせてきたので思わず睨み付けたが、笑いが起きたので内心嬉しかった。
ゆっきーは自分の言動で笑いが起きたら、心底喜ぶ。多分芸人さんと同レベルの感性だろう。

「25日は握手会終了後、福岡に帰ります。そこからまた忙しくなるわよ!」
ひとみんがニコニコしながらメンバーを見渡す。
「おっ!?」
環奈が相づちをうつ。
「ジャジャーン!日テレの1番ソングSHOWの公開収録が決定しました!パチパチパチ~♪」
「ジャジャーンって・・・」
「優菜!そこつっこむ所違うよ!」
ひとみんの昭和風なリアクションに優菜が食いついたが返しも小気味良かった。
ちなみに環奈はリーダーより早く知っていた。
「えっ!全国放送?」
「やば!ホントですか?」
「テレビに映るの?」
「えっ?歌うの?」
みぽりんだけ若干おかしなリアクションだったが、部屋が歓喜でざわめいた。

「静まれ静まれーい!」
「黄門様か!」
ひとみんのセリフに的確なつっこみ。周りに流されない良い女。優菜
「喜んでもらったあとに悪いけど、残念なお知らせもあるの」
「えー?ひとみ何?」
みっきーが口を尖らせて尋ねる。オフィシャルでは見ない顔だ。
「曲の収録は当然全員なんだけど・・・スタジオ収録は四人なのよ」
「えー!はい!出ます出ます!」
「なっちも出たい!」
「待って、待って待って!もう決まってるんですか?」
にわかにざわつき始めた時に帆南から適切な質問がでる。
「帆南にしては鋭い!そうなんよ、決まってるんよ」
「そうそうあたしにしては。。。ってなんでですか!」
『おー』という、謎の感心した声があがる。
「はいはい。じゃあ発表するよ!」
一斉に静まる。
「一人目は・・・橋本環奈!」
「でしょうね!」
「そこは分かりきってるんで、省いていいと違います?」
ゆっきーと麗依菜が当然過ぎるつっこみを入れる。
「ひどーい!私だってドキドキする権利あると思います!」
「ないわ!」
「ないね」
「ないない」
「えー!?みほちゃんまで?いつからRev.ってこんなグループになったの?」
「はいはい、ひとみ。次ぎ次ぎ」
「よよよ」
環奈のわざとらしいリアクションを無視して次の発表に移る。
「では二人目・・・秋山美穂!」
「えっ?あたし?ホント?環奈、一緒だよ!」
「みほちゃんの先ほどの仕打ち忘れませんよ」
「はいはい、環奈。こちょこちょ~」
「ちょっ?やめて!くすぐり弱いから、あぁん!」
二人のじゃれつきを冷静に眺めるメンバー。
「裁判長!次の判決をお願いします!」
「麗依菜。それネタなの?ふぅ。じゃあ三人目よ。三人目は幸奈さん。あなたよ」
「よっしゃきた!ありがとうございます!Rev.を全世界に発信します!」
「まずは日本に発信して」
冷静に返すひとみん。
「えー?環奈、みほちゃんとビジュアルでいくならなっちかと思ったのに?」
「ちょっと、なぎさちゃん!どういう意味?」
「ゆっきーはバラエティ担当じゃん。あっ、だからか!じゃあ最後は優菜ちゃんかな?」
「はいはい、四人目言うよ。四人目は・・・」
皆の視線がリーダーに集まる。
「四宮なぎさ!アンタだよ!」
今度はなぎさに視線が集まる。
「あ、あたし!?いや、ちょっと待って?あたしーー!」
相当意外だったのか、予想もしていない指名にあわてふためくなぎさ。
「今回は向こうからの指名だって。今の四人はRev.の看板からっていくんだからね。わかってる?」
「大丈夫です!豪華客船に乗ったつもりでいて下さい!」
「めっさ不安なんだけど・・・」
「あたし何喋ればいいの?ムリムリ!」
「こっちも不安」
パニクっているなぎさを見ながらひとみんは頭を横に降った

「今選ばれなかった人は収録でキメなさい。私達グループの個性はフォーメーションダンス。全国に見せましょう!」
『はい』
「あと、まだ確定ではないんだけど1日に名古屋でイベントが入る予定。その兼ね合いで30日、31日は東京に連泊になるみたい。何かすることがあるみたいなので、それは分かったら伝えます」
「学生組は試験も絡んできて、時間取りにくいから、申し訳ないけど握手会後にもレッスン入れるから。zeppの香盤表がもう少ししたら出来るから詰めてレッスン出来ると思う。新曲もあるよ!きょんも含めて十三人。きゃらふるも入るからね!」
「やばい。緊張してきた」
冗談ではなく、帆南は緊張していた。
『帆南~。早いって』
みんなのつっこみが気持ち悪い程揃い、爆笑が起きる。
「えー?なんでー?ほなみプレッシャーに弱いとよ?」
「自分で言っちゃダメでしょ?」環奈が笑いながらつっこむ。
「もう。なんでー??」
帆南の声が空しく響く

「このタイミングで言うことじゃないと思うやけど」
なっちがバッグをゴソゴソしている。
「ジャーン!環奈とみほちゃんのグラビアが載った雑誌ヤングちゃんぴょん」
チャンピオンの発音がラブリー過ぎるなっちが雑誌を取り出した。
「あっ!やー!恥ずかしいけん見らんでー」
全国発売の雑誌にたいして無茶なことを言うみぽりん。
「よいではないかよいではないか」
「環奈!なんであんたが食いつくの?」
「ほら!この姉妹コーデ!良くなーい?」


いつものように収集がつかない、5月中旬のRev.メンであった。


続く





























2014年5月6日
ファーストシングル特典イベント
TRC東京流通センター握手会
ウタ娘プレミアムライブ



橋本幸奈はホテルの一室に監禁されていた。

何故今、こんな状況になっているのか?
どこで選択肢を間違えてしまったのか?
答えは分かりきっているのだが、それでも自問自答を繰り返していた。

時をさかのぼること、一時間前。

5月5日のライブ翌日。ファーストシングル特典イベントの握手会と、うた娘プレミアムというライブの為、朝一の飛行機で東京に来ているRev.from DVLのメンバー達。
会場のTRC東京流通センターの入りは11時、いったん荷物を預ける為にホテルにチェックインしていた。
今日は二人ペアでの部屋割り。
ゆっきーは麗依菜とペアで、部屋に荷物を置いた後時間があるので、麗依菜とホテル探検していた。

「ゆっきーちゃん。握手会どんな感じでいきます?」
「ノープラン」
ゆっきーが即答する。
「ですよねー。早希とかめっちゃ悩んでましたよ」
「考えたってねぇ~。ひらめきよ閃き!」
「名前とか覚えれます?」
「無理!」
これまた即答。ちょっと位考えて欲しい所だが。
「ですよねー。なっちはメモにとって覚えるらしいですよ」
「まじで?えらいなー。麗依菜も見習わんと」
「えっ?ゆっきーちゃんは?」
「無理!」
「ですよねー」
と、無駄な会話を重ねながら廊下を歩く。
特に目的もなくぷらぷらと歩いていたので、売店覗いて部屋に戻ろうかと考えていると、麗依菜が呟いた。

「今日のウタ娘ライブって、対バンじゃないですか?目立たないとダメですよね?」
「そやねー。盛り上げたいね」
「やっぱりシャーッと行って、ドカーンってならんとダメっすよね」
「日本語しゃべれ!笑
そやね。Rev.を覚えてもらわんと」
「ゆっきーちゃん、グイグイいけます?」
「あ、当たり前やん!いけるわ!」
「例えば、ここで叫んでも平気な位のハートは必要ですよね?」
急に何を言ってるの?とあからさまに表情に出ていたが、麗依菜は気にもしない。
「やっぱり無理ですよね。ゆっきーちゃんならいけるかなーって・・・」
「で、出来るに決まってるでしょ!」
言ってしまった。
ここで叫ぶ?何故?麗依菜あほなの?
「やったー!さすがです、ゆっきー先輩!」
麗依菜がはしゃぐ。じゃああんたがやりなよ!
と心の中で毒をはくが、取り敢えず周りに人はいないから今ならイケるともう一人の自分が冷静に判断していた。
ゆっきーは時々、自分とは別の何かが自分を動かすことがあるのを自覚している。
それは「先輩としてのプライド」なのだが

「しゃーない。先輩の凄さみせてあげる」

この時点でのゆっきーの判断は間違っていなかった。
ただ一点、世界は動いているということを除いては・・・







冷静に先ほどの出来事を思い出す。
間違いなく麗依菜と二人きりだと思い、高らかに声をあげた。

「皆さーん!!聞いて下さーい!!
私は、2014年4月にメジャーデビューを果たした、Rev.from DVLのー………!?」

段々気持ち良くなってきたゆっきーの視界。左からホテルの従業員さんが何事かと駆けてくる。
と、ほぼ同タイミングで右から鬼のような形相のリーダーが駆けてくる。

捕獲されるまでの時間。ゆっきーには永遠に感じられた。

「・・・・っきー!」
「・・・ゆっきー!!聞いてるの!?」

現実に引き戻される。

リーダーの目をまともに見れない。

「っとに、飲み物買いに行ったら、奥から声が聞こえて
「春だし、都会だから色んな人がいるよね。って思ったら聞きなれた声」
「ゆっきー。ほんっっとうに、何やってるの!」

その時ゆっきーの横から手が挙がる。

「裁判長!状況は判りましたが、何故あたしは呼ばれたのですか?」

ゆっきーは驚きを隠せないでいた。
あの騒動の時、確かに麗依菜もいたはずなのに、どんな手段を使ったのか、部屋に帰っていたらしい。

「誰が裁判長よ!ゆっきーが麗依菜も居たって言い張るから・・・」
「えー?ゆっきーちゃんひどーい」
「ちょっ!麗依菜がしようって振ってきたやん!」
「勇気を試すって、そんなチャレンジャーなこと振れませんよ」

「!?」
「裁判長!私が大声出した理由は当事者しか知らないはず。今の発言が証拠です!」
「だから、誰が裁判長よ!」
「はあ~。もう疲れたわ。もうすぐ握手会会場に移動だから準備しなさい」
「いい!くれぐれもRev.from DVLの一員として、恥ずかしくない行動をとって!頼むから」

当然、部屋に戻ってからひと悶着あったが割愛。




握手会会場のTRC東京流通センターは流通系集配所が居並ぶ一角にあり、外観はおしゃれなオフィスビルだ。
握手会会場は吹き抜けのエスカレーターを登って2階になる。

今回は、4部制で環奈だけが全ての部に参加し、3人~4人の複数メンバーと握手出来る。
環奈はどの部でも最後尾のポジションだ。

今日はこれから長丁場である。
控え室は大きめの部屋2つ用意されていて、間もなく始まるメンバーは各々待機。
それ以外のメンバーは勉強だったり、自撮りだったり自由に過ごしていた。

「3部位から、ウタ娘の流れも詰めましょう!リハの時間もとれないからね」

リーダーから指示が出る。

今回の握手会は1stのステージ衣装だ。次のイベントを踏まえての考えだろう。

祝日ではあるがお客はまばらだ。
橋本環奈の知名度は他のメンバーに比べると突出しているが、まだまだ低い。
東京でのイベントは経費もかかるので、グループの知名度を上げる為には1回1回が大切だ。
物販もあるが、Rev.は最後まで物販は弱かった。
写真のチョイスが共感できないものが多い。

「いやー。10秒って意外と短いね!話すのキビイキビイ」
「ほんと。緊張した。慣れるかなー?」
と、1部の、優菜とみぽりんが握手会を終えて戻ってきた。
環奈は、2部のひとみん、みっきー、なぎさと合流してスタンバイしている。

「ゆうなちゃん。どんな感じでした?」
早希にとっては全てが初めてのことで、とにかく緊張していた。
「早希どうした?緊張しとっと?」
「早希のこと知ってる人、ほとんどいないじゃないですかー!何て話せばいいか・・・」
「初めましてでいいんよ。あとはフィーリングよ!あっ!?目はちゃんと開けときな」
「いつも開けてますー!ひどーい!」

「ちかなな緊張せんと?」
と、参考書を片手に勉強中のちかななに帆南が声をかける。
「えー?緊張とけるわけでもないけん、勉強してごまかしとっとー。受験やし」
「早希と大違いやね」
「帆南ちゃん!」
早希がほっぺを膨らます。

そんなやりとりをしていると、昼食のお弁当が運ばれてきた。
がっつりしたものはなく、サンドイッチやサラダを中心とした軽食だ。
今からファンと接するのだからちゃんと考えられている。
2部も終わり、控え室に戻ってきたひとみん、みっきー、なぎさもさっそく食事の品定めをする。
3部のメンバーなっち、ちかなな、帆南は準備に入ったので終わってから頂くようだ。環奈はフル出場なので全てが終わってから移動中に食べると割り切ったようだ。真っ先に自分の分をキープして出て行った。

「じゃあ、食べ終わったらウタ娘の打ち合わせ入るよ!」
と、ハムスターのようにポテサラサンドイッチを頬張り、カフェラッテで流し込みながらリーダーの指示が飛ぶ。
「ひとみちゃん。相変わらずカフェラッテ好きね~!このほっぺたには幸せが詰まってるんでしょ?」
ビタレボコンビの片割れがひとみんのほっぺたをつんつんしながら問いかける。
「やめれ。これはあたしの燃料なの!」
「燃費良いよね~。ひとみちゃん売り出したら買うわ」
「車か!!」

メジャーデビューと共にスタートした、KBCのラジオ番組。『Rev.from DVLのビタミンレボリューション』そのパーソナリティーである今井瞳と西岡優菜はプライベートでも行動をともにすることが多く、二人の漫才のような掛け合いはグループにも良い影響を与えていた。

「あれ?美穂・・・まだ食べてるの?」
「えー?よく噛んで食べないと消化に悪いんだよ?」
「いやいや、サンドイッチだから。そんなに時間かけなくても・・・」
「昔から八十八回噛みなさいって言うでしょ?美紀ちゃんが早過ぎるんだよ~」
「いやいや、それ。ご飯の話だから!」

こちらも絶妙の掛け合いを交わしているのは、同じくメジャーデビューから始まった、RKBラジオハイタッチの日替りアイドルコーナー。『ガールズパンチRev.に逢いにきんしゃい』を担当するガルパンコンビ、鷲尾美紀と秋山美穂だ。
みっきーはRev.の中でもキャリアが一番で、その存在感をみぽりんの天然ボケが上手く笑いに変えてくれる。
Rev.にとって、ビタレボとガルパンは最後までお世話になる大切な番組だった。

ウタ娘の出演時間は20分。自己紹介をはさむと、ギリギリ3曲といったところ。
セトリは
1 LOVE -arigatou-
2 らりるれろLOVE
3 逢いにきんしゃい
ラブありと逢いきんはデフォルトだったが、間に何をはさむかは重要である。
wanna beの格好良さより、らりるれろLOVEのフレッシュ感をアピールしようということで落ち着いた。

「・・・と、進行はこんな感じね。最初のグループ紹介と自己紹介の流れは、私と優菜でします」
「トリ前のMCは環奈と・・・」
「はい!!!」
ゆっきーが身を乗り出しながら手を挙げる。
「あたし・・・行けます!!」
メンバーがざわつく。
「ゆっきー・・・信じていいの?」
「リーダー。いや、ひとみちゃん!信じて下さい!今のあたしなら熊でも笑わせます!」
皆の頭に熊?、と疑問符が浮かんだが、そんなこと関係なくゆっきーのやる気は体から溢れていた。
「あたしからもお願いします!ゆっきーちゃんならRev.の伝説を作ってくれるはずです!」
「麗依菜・・・」
ゆっきーが後輩の後押しにちょっと涙ぐむ。

リーダーが目を閉じ、暫し熟考する。
そして、ゆっくりと目を開き。

「良し!ゆっきーでいこう!任せたわよ!」

「ありがとうございます!!伝説作りましょう!!」
結局この日。ゆっきーがウケたのは、鉄板の『こう見えても高校1年生』と『環奈ちゃんと1文字違い』
だけであった。

続く



















2014年5月5日 
Rev.from DVLどんたく祭りwithきゃら♥ふる



はっ。はっ。はっ。

上川端の表通りから二つ程裏に入った通り。
今全力で駆ける少女にとっては、何度も通った通い慣れた道だ。
しかし、今日はいつもより遠く感じる。

「やばい、やばい、やばい!」

ツインテールがトレードマークの少女だが、余程慌てたのかぼさぼさのストレートに申し訳程度のキャップをかぶった、いかにもやらかした感が溢れていた。

見慣れた建物が近づいてくる。
入口をくぐると、受け付けには誰もいない。
集合は11時だった。
現在は11時30分
思ったより遅れてないじゃないか。
30分位なら大丈夫!
心にそう言い聞かせながら、事務所へのドアノブを捻ろうとするが、なかなか体が言うことを聞いてくれない。
長く感じた心の葛藤だったが、実際は10秒も満たしていない。
不意に扉が開く。

「み、美紀ちゃん!!」

扉の中では壁と見間違える位の、屈強な少女が眼前を睨んでいた。

「ゆっきー!遅い!何時だと思ってるの!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!
目覚ましが誰もいなくて、家族が気づかなくて!」
「ゆっきー。何言っとるか分からんって」
苦笑いを浮かべながら、奥にいた少女がみっきーの肩をたたく。
みっきーも軽くため息をついて下がった。
「ほら。もうすぐ事務所出るから、必要なもの準備して」
「瞳ちゃんごめんなさい!みんなもごめんね!」
「緊張感が足りないよ、ゆっきー!」
「・・・環奈もギリギリだったじゃない」
「美穂ちゃん!バラさない!」
慌てて環奈が口に指をあてる。
「あたしはちゃんと、ベル5個目で起きました!」

2014年5月5日 快晴。
ライブスタートは17:30~。
入りは13時。
リハーサルと通しで1回やる予定。
いつものリバレインホールと違って、座席で350と規模がちがう。
香盤もいつもと違いチャレンジ的。
新メンバーの早希も当然足りない所は多いと、課題たっぷりだ。

「おはようございます。宜しくお願いします」
各々スタッフさんに挨拶しながら控室に通される。
「では、13時30からステージディレクター達との面通しと、打ち合わせがあります。そのあとリハと通しですね。今日は宜しくお願いします」

控室はそこまで広くない。12人もいるときつめだ。
「はい!みんな準備に入って!」
『はーい!』
「この始まる前が苦手っちゃん」
「ちかななは弱いよねー。でも本番に強いやん?」
「そうかなー?帆南ちゃんはトーク大丈夫?今日あるけど」
「やばいっちゃん。よくかむんよねー⤵」
「あっ!そうそう。ブログの更新増やしてね。マネージャーが少ないってぼやいてた」
「そうだよ。こうゆうイベントの時がネタのチャンスだからね」
「いや。優菜。あんたのことだよ!」
「ひ・と・み・ん

今回のライブの見せ場として、タップシーンがある。しかも音無し2分ちょっとのいってこいパフォーマンス。
その為、ステージはタップ用の板が敷かれている。滑りやすくもあるので十分注意しないといけない。

リハと最終確認の通しが終わりあとは本番を待つだけ。

チビッ子組が集まっている。
「タップやばいっすね」
「奇遇やね、あたしもタップやばい」
「なっちもなっちも♪」
「ゆっきー達はまだましよ。あたし達5人はフリーのソロがあるから大変よ!」
なぎさが水分補給しながら話に加わる。
「でもタップって、みんなで揃ったら楽しくない?一体感凄い!」
と、若干ピンぼけした意見を帆南が述べる。
「まあ、大丈夫よ。タップはずっとやってきてるから。練習は結果を裏切らないでしょ?」
「おおー!流石リーダー。まとめる~♪」
「環奈ー!みんな特技にタップって書いてるから、出来ないと詐欺よ」
一同笑
「じゃあ、準備いける人はメイクと着付けに入って」
『はーい!』


16時30分頃から、入場の整列が始まっていた。先行販売のA列と一般販売のB列。
長い列ができている。
この頃は荷物検査もなく入場でモタつくこともなかった。

入場も終わり、開演を待つのみとなった。

「はい。はい。わかりました」
ひとみんがディレクターとの最後の打ち合わせを終えて戻ってきた。
「大体300人位だって。お客さん」
「多い!」
ゆっきーが驚く。
この頃のRev.はリバレインがメインで、しかも埋まる程ではなかったので、メジャーデビューしたとはいえ、地下アイドルと大きな違いはなかった。メンバーにとっては未知の数だ。

「見に来てくれた人達を満足させること。それが今日の目標よ!」
「なんか緊張してきた。ひとみちゃんアレやって!」
みぽりんが背中を向けてきた。
「あたしも!」「お願いします!」
麗依菜と早希も同じ行動をとる。
バシーン!💥
昔から緊張した時は背中を叩いてもらう。
Rev.の慣例だ。
「本番1分前です」
スタッフさんから指示が入る。

「いくよ!」
拳がつながっていく。
「Rev.from~」
「DVL!!」


場内の照明が落ち、カラフルなスポットライトがステージを照す。
スポットライトがふっと消え、メンバーがポジションにつく。
みぽりんの掛け声からスタート
「まずはこの曲ー!!」
『逢いにきんしゃい!』
白と青の定番の衣装の上に、祭りらしいハッピを着ている。
最初に【逢いにきんしゃい】がきたのは、おそらくこの時だけ。今ではラストを盛り上げる曲を最初で演じるのは大胆なセトリ。

自己紹介のあと、優菜ソロの【花遊び】が入る。
【愛しい剣】【君だけのストーリー】と続き優菜とみぽりんのデュエット曲
【真夜中の日記】が切々と歌われる。二人の歌唱力がダイレクトに伝わってくる曲だ。
舞台演出も、中央に椅子を置いただけで座りと立ちのコントラストが印象的。
【外環状線】でふわっとした気持ちにさせたあと、【永遠パズル】【wanna be】と一気に引き込み、ここで妹組の【らりるれろLOVE】で場を盛り上げていく。

そしていよいよ見せ場。

みっきーセンターでなぎさ、みぽりんが並ぶ。
音が止まり静寂の中タップの音だけが響く。
ひとみん、帆南、優菜が加わる。
人が増えても音は乱れることなく、刻まれていく。
観客も声一つたてず見入る。
そして全員が揃い、タップもミュージカルばりにその美しさを見せつけフィニッシュ!
からの、【Angel voice】のスタート。
この流れは素晴らしかった。この黙っている時間が至福の喜びだった。

【宝物】【JUMP&STOMP】で終了。

アンコールで新曲が発表された。
「ここで皆さんに新曲【Do my best! !】を聞いて頂きたいと思います!」
ひとみんが新曲を紹介する。
「この曲はどんな時でも全力で前に進めば、きっと結果につながるという、応援ソングになっています。」

初披露の時はアクションも少ない、まだ未完の曲だった。サプライズとしてねじ込んだのだろう。

そして最後の挨拶の時、環奈が話し終わるとスタッフから白い封筒を渡される。
「えーっ!?何?怖い怖い!」
恐る恐る開けると・・・そこには、zepp福岡でのライブが決定したことを告げる紙であった。
喜びで泣き崩れるメンバーもいた。
感動のままラストは【LOVE -arigatou-】で終了。
最後は全員とのハイタッチサービス付きだった。

「やったー!!zeppやん!」
感情を押さえることもなくゆっきーが叫ぶ。
控室は明るい笑顔で満ちていた。
ライブが成功した安堵からか、涙する者も。
「いや。驚いたね!何も聞いとらんちゃもん」とセリフとは裏腹にニコニコしながらひとみんが話す。
「zeppって、何人位のハコなんですか?」
早希が不安そうに尋ねる。
「一万人位かな?」
「えええーーっ!!」
「優菜!適当なこと言わないの!確か二千くらいよ?スタンディングかどうかで変わるけど」
ひとみんが皆を安心させる。
「一族みんな呼ばんとね」
みぽりんが本気とも冗談ともつかないトーンで呟く。
「一族呼んでも関係者席じゃあ・・?」
「どうします?お客さんより関係者席の方が多かったら?」
珍しく帆南がつっこんだところに、麗依菜が悪ノリする。
「・・・とかですね?」
場の雰囲気を察知したのか、すぐ折れた。
「麗依菜。危なかったわね。美紀ちゃんからヤられるところだったよ」
環奈がみっきーを指さす。
「なんでよ!」
「気をつけます!」
いつものわちゃわちゃした感じになってきたのを読み取りひとみんが締める。
「ライブについては後日ミーティングします。Do my best!!も発売に合わせて、MV撮影や振り付けも詰めていくから、忙しくなるわよ。あと、学生組は試験も近いだろうから、ちゃんと計画立ててね。分からないところは遠慮せずに聞いて。優菜以外にね!」
「ひとみちゃん?」
優菜を落とし所にもってくるのは流石だ。

「さあ、明日は東京よ!
もうすぐ、車がくるから急いで撤収しましょう。明日遅刻せんようにね!」
『はい!』




「・・・・・」
「?なっち。どうかした?」
「あっ、なぎさちゃん。いや!なんでもないよ!」
「そう?じゃあ早く着替えないと、なっち時間かかるから」
「はーい❤」


続く













「見つけた!」

会議室であろうか、椅子と机が整然と並ぶ部屋に入るなり、男は声を荒らげた。

「社長?どうされました?」
秘書風の女性が少し驚きながら、興奮している男性に声をかける。

「この娘はヤバい!」
社長と呼ばれた男が、興奮さめやらぬ様子で一枚の紙を机においた。



「うわっ!?可愛い、いやキレイな娘です ね!」
机におかれた紙を見て驚く女性。

おそらく、画像をプリントアウトしたもの。
画像は若干荒いが、そこに映っている少女はそんなこと気にしていない位に輝きを放っていた。

「今ネットで話題になっている、千年に一人 の美少女、橋本環奈だ」
「えっ?そうなんですか?」
どうやらこの女性は知らないらしい。
「・・情報は武器だぞ。アンテナは常に広げておきなさい」
男はちょっと呆れたように女性を嗜めた。

「この娘が今の状況をチャンスと見て、吉本と組んでメジャーデビューする」
「役者ですか?」
「いや。この娘はアイドルグループに所属しているんだ。レブ・・なんだったかな?福岡のロコドルだ」
「そして吉本はうちと提携して共同でプロデュースしたいと言ってきたんだ。うちのネット配信を利用したいのだろう」
女性はようやく色々なことがつながって理解できたようだ。
「でも売れるんですか?そのグループ」
荒れていた息も整い、イスに腰を落としながら男は含んだ笑みを浮かべた。
「売れる必要はないさ。欲しいのはこの娘だけなんだから。今のアイドルは特定のグ  ループしか旨味がない」
「さて。忙しくなるぞ!
急いで資料を作ってくれ!
会議のセッティングも頼む。」

女性があわて気味に部屋を出ていき、部屋に静けさが訪れる。
机に置かれた写真に視線を落とし聞き取れないほど小さな声で呟いた。

「必ず獲る!











2014年5月3日
はかたどんたく港祭り 
天神ソラリア演舞台終了

「いや~!緊張した!」
足早に移動する少女達。一際小さく小学生のような女の子が、意外と大きな声で呟いた。
「あたしも緊張した~!お客さん近いし」
と、対称的に背が高い女の子が同調の声をあげる。
「ざーんねーん!ゆっきーやほなみちゃんよりあたしの方が緊張しました!」
美少女と一言で片付けるにはもったいない、ハスキーがかった声も目立つ女の子が会話に割り込む。
「いやいや、環奈ちゃん!
絶対あたしの方が100倍は緊張したっ  て!」
「甘いね!
あ・た・しの方が1000倍は緊張した  ね!」
「あっ!千年とかけてるんっすか?うまいなー」
あらたな会話者が加わり、収集つかなくなりそうなタイミングで。
「ソラリアは吹き抜けで、上からも見られたからね。ステージも小さいからフォーメーションもぎりぎりだったね」
このメンバーの中では落ち着いた、博多美人を感じさせる女の子が全員に向けたように話した。
「ほら!反省は全て終わってから!
次のステージが本舞台なんだから、お客さんもっと多いよ!」
「はーい。リーダー」
3人の声がムダにハモる。


Rev.from DVL
全員福岡出身のメンバーで構成された、福岡を活動拠点とした地方アイドル。ロコドルだ

Revとはタヒチ語で「夢」を表し
Revolution「革命」とかけた造語
DVLとは、ダンス・ボーカル・ラブの略で
歌と躍りで世界に平和を届けるというのがコンセプト。

メンバー構成は
今井 瞳(ひとみん):リーダー



鷲尾美紀(みっきー):スキルリーダー



西岡優菜(ゆうな) :サブリーダー



秋山美穂(みぽりん):サブリーダー



四宮なぎさ(なぎさ):衣装担当



神谷帆南(ほなみ) :なし



橋本環奈(かんな) :なし



橋本幸奈(ゆっきー):なし



高橋菜々美(なっち):なし




力石奈波(ちかなな):なし



藤本麗依菜(れいな):なし



古澤早希(さき)  :なし



この12人プラス、学業を優先に休止中の
本野杏香(きょん) :なし



Rev.の売りは個人個人のダンススキルの高さと、それを生かしたフォーメーションダンス。
またコーラスラインもしっかりしており、そのパフォーマンスは見た人を魅了する。
楽曲も独特のものが多く、RizRieさんの曲はとくにファンが盛り上がるものが多い。

2013年某月
曲を練習中の橋本環奈を写した一枚。
後に奇跡の一枚といわれる写真がネットで騒がれ始めた。

ロコドルとして福岡での活動も長かったRev.がその勢いに乗って2014年4月6日にメジャーデビューを果たした。

当時は48グループ全盛期で、アイドルも毎日のように生まれていたからそこから抜きでるには運的な要素も必要だった。
元々橋本環奈のポテンシャルは高く、注目されつつあったのだが、この一枚の写真は環奈の運命のみならず、メンバーの運命をも変えていくことになる・・・


「逢いにきんしゃい🎶」
いくばーい!!
本舞台もラストの『逢いにきんしゃい』ファンとの掛け合いに入っていた。

メジャーデビューシングルの2曲
『LOVE -arigatou-』『逢いにきんしゃい』は新曲ではない。
元々Rev.が今まで歌っていた曲の中で、特にキャッチーな曲としてシングルカットで再編された曲だ。
パフォーマンスに関しては以前のは知らないが、新しく振り付けられたのだと思う。
だからファンのコールが成立する。

「皆さん、今日はRev.from DVLの歌を聞いて頂き」
『ありがとうございました!』
キレイなハモりとともに12人全員が揃って深々と深礼する。
ゆっくり顔をあげて、告知が始まる。
この頃はMCは基本ひとみんの役目。サポートとして優菜がつく位。まだまだみんなひょっこなのだ。
「明後日の5月5日。福岡DRUM LOGOSにてライブを行います。当日券もあるようですので、お時間ある方はぜひ宜しくお願いします!」

その後本舞台横に設置された中継所で、いくつかインタビューをうけ、そのまま移動用ワゴンで事務所まで帰る。

アクティブハカタ
福岡を中心にタレントの育成を図る、地域密着型のタレント養成所。
博多リバレインというビルに、専用の劇場を持ち、児童劇団ポットポッケなど育成しやすい環境を整えている。
メンバーもポットポッケ出身者は多い。
だが養成所であるがため、福岡県内での斡旋力はあるが、プロデュース力は乏しい。

アクティブハカタは2階にレッスン場があり、メンバーはほぼ毎日ここでレッスンを重ねている。あのパフォーマンスをささえているのはこのレッスン場なのだ。
ファンにとっては聖地だろう。巡礼は出来ないが。

メンバー全員着替えも終わり、先程まであんなに格好良いパフォーマンスをしたとは思えないほどだらっとしていた。
「はい!みんないい!
今日はこれで解散。明日は立ち位置の最終確認本番前だから軽めに仕上げるよ!」
『はい!』
流石リーダー、しっかりしめる。
「Angel voice見せ場だからね!ミスしたら目立つよ!早希大丈夫?」
と、見た目とは裏腹な低音ボイスが響く。
「はあーん⤵美紀ちゃん、不安ですぅ!」
「お腹触らない、ああっ!そんな抱きつかない!」
一同笑い
「明日確認してあげるから。他不安な娘がいたらまとめてみるよ!」
すぐさま手が挙がる。
「えーっと、環奈と麗依菜・・・優菜。なんであんた挙げてんの?」
「だってぇ。不安なんですもん!」
「お腹触るな、抱きつくな!」
「優菜ちゃんひどーい!」
一同笑い
「はい、はい。
タップはあるし、新曲も披露するからプレッシャーはあると思うけど、私達らしくいきましょう!」
『はい!』
「んじゃ、いっときますか!」
と、環奈が拳をつきだす。
「・・・えっ?早くない?
明後日だよ?」
ひとみんが呆れ気味に切り返す。
「明後日は明後日で。減るもんじゃないし、ええでわないか!」
「環奈。おじさんみたい」
なっちが鋭いツッコミをしながら拳を合わせる。
次々とみんなの拳がつながっていき、輪になる。今となってはお馴染みのルーティーンだ

「ゆっきー宜しく👍」
「ええっ?環奈ちゃんじゃないの?
ええーっ?
分かりましたー。」
「いきます!
ライブの成功を祈ってーー
Rev.from!」
『DVL!!』

高く突き上げられた12のこぶしが博多の空に輝いていた。




                 続く



2017年3月31日
ファンに惜しまれつつ
アイドルグループ、Rev.from DVLが解散しました。
全力で応援してきただけに、当たり前の日常が当たり前じゃなくなる喪失感。

彼女達のデビューから一緒に歩んできた3年間。色々なことがありました。
遠征など、働いているとスケジュール調整が厳しかったですが本当に良い思い出です。

このブログは仕事が忙しくなり休止中でした。
解散とともに閉鎖も考えましたが、Revの活動を振り返るフィクション小説風に更新していこうかなと思います。

小説書いたことないので、稚拙な部分もでますがRev.の歴史と想像を加えて仕上げていきたいと思います。

実際に参加したイベントはリアルを交えつつ表現していこうと思います。
どんな感じになるのか、今のところさっぱりです。
細々と更新していきます。

フィクションですので、基本何でもありでいきます。