「R」物語 第三話 | Revにおまかせ!!

Revにおまかせ!!

Rev.from DVLの大ファンです。彼女達の認知度を上げる為、日々応援しています。
不定期更新のRev4コマを中心にアップしていきます。下手な絵ですが、Revの雰囲気が伝われば幸いです。彼女達のブログにアクセスしてもらえると、もっと嬉しいです♪

2014年5月6日
ファーストシングル特典イベント
TRC東京流通センター握手会
ウタ娘プレミアムライブ



橋本幸奈はホテルの一室に監禁されていた。

何故今、こんな状況になっているのか?
どこで選択肢を間違えてしまったのか?
答えは分かりきっているのだが、それでも自問自答を繰り返していた。

時をさかのぼること、一時間前。

5月5日のライブ翌日。ファーストシングル特典イベントの握手会と、うた娘プレミアムというライブの為、朝一の飛行機で東京に来ているRev.from DVLのメンバー達。
会場のTRC東京流通センターの入りは11時、いったん荷物を預ける為にホテルにチェックインしていた。
今日は二人ペアでの部屋割り。
ゆっきーは麗依菜とペアで、部屋に荷物を置いた後時間があるので、麗依菜とホテル探検していた。

「ゆっきーちゃん。握手会どんな感じでいきます?」
「ノープラン」
ゆっきーが即答する。
「ですよねー。早希とかめっちゃ悩んでましたよ」
「考えたってねぇ~。ひらめきよ閃き!」
「名前とか覚えれます?」
「無理!」
これまた即答。ちょっと位考えて欲しい所だが。
「ですよねー。なっちはメモにとって覚えるらしいですよ」
「まじで?えらいなー。麗依菜も見習わんと」
「えっ?ゆっきーちゃんは?」
「無理!」
「ですよねー」
と、無駄な会話を重ねながら廊下を歩く。
特に目的もなくぷらぷらと歩いていたので、売店覗いて部屋に戻ろうかと考えていると、麗依菜が呟いた。

「今日のウタ娘ライブって、対バンじゃないですか?目立たないとダメですよね?」
「そやねー。盛り上げたいね」
「やっぱりシャーッと行って、ドカーンってならんとダメっすよね」
「日本語しゃべれ!笑
そやね。Rev.を覚えてもらわんと」
「ゆっきーちゃん、グイグイいけます?」
「あ、当たり前やん!いけるわ!」
「例えば、ここで叫んでも平気な位のハートは必要ですよね?」
急に何を言ってるの?とあからさまに表情に出ていたが、麗依菜は気にもしない。
「やっぱり無理ですよね。ゆっきーちゃんならいけるかなーって・・・」
「で、出来るに決まってるでしょ!」
言ってしまった。
ここで叫ぶ?何故?麗依菜あほなの?
「やったー!さすがです、ゆっきー先輩!」
麗依菜がはしゃぐ。じゃああんたがやりなよ!
と心の中で毒をはくが、取り敢えず周りに人はいないから今ならイケるともう一人の自分が冷静に判断していた。
ゆっきーは時々、自分とは別の何かが自分を動かすことがあるのを自覚している。
それは「先輩としてのプライド」なのだが

「しゃーない。先輩の凄さみせてあげる」

この時点でのゆっきーの判断は間違っていなかった。
ただ一点、世界は動いているということを除いては・・・







冷静に先ほどの出来事を思い出す。
間違いなく麗依菜と二人きりだと思い、高らかに声をあげた。

「皆さーん!!聞いて下さーい!!
私は、2014年4月にメジャーデビューを果たした、Rev.from DVLのー………!?」

段々気持ち良くなってきたゆっきーの視界。左からホテルの従業員さんが何事かと駆けてくる。
と、ほぼ同タイミングで右から鬼のような形相のリーダーが駆けてくる。

捕獲されるまでの時間。ゆっきーには永遠に感じられた。

「・・・・っきー!」
「・・・ゆっきー!!聞いてるの!?」

現実に引き戻される。

リーダーの目をまともに見れない。

「っとに、飲み物買いに行ったら、奥から声が聞こえて
「春だし、都会だから色んな人がいるよね。って思ったら聞きなれた声」
「ゆっきー。ほんっっとうに、何やってるの!」

その時ゆっきーの横から手が挙がる。

「裁判長!状況は判りましたが、何故あたしは呼ばれたのですか?」

ゆっきーは驚きを隠せないでいた。
あの騒動の時、確かに麗依菜もいたはずなのに、どんな手段を使ったのか、部屋に帰っていたらしい。

「誰が裁判長よ!ゆっきーが麗依菜も居たって言い張るから・・・」
「えー?ゆっきーちゃんひどーい」
「ちょっ!麗依菜がしようって振ってきたやん!」
「勇気を試すって、そんなチャレンジャーなこと振れませんよ」

「!?」
「裁判長!私が大声出した理由は当事者しか知らないはず。今の発言が証拠です!」
「だから、誰が裁判長よ!」
「はあ~。もう疲れたわ。もうすぐ握手会会場に移動だから準備しなさい」
「いい!くれぐれもRev.from DVLの一員として、恥ずかしくない行動をとって!頼むから」

当然、部屋に戻ってからひと悶着あったが割愛。




握手会会場のTRC東京流通センターは流通系集配所が居並ぶ一角にあり、外観はおしゃれなオフィスビルだ。
握手会会場は吹き抜けのエスカレーターを登って2階になる。

今回は、4部制で環奈だけが全ての部に参加し、3人~4人の複数メンバーと握手出来る。
環奈はどの部でも最後尾のポジションだ。

今日はこれから長丁場である。
控え室は大きめの部屋2つ用意されていて、間もなく始まるメンバーは各々待機。
それ以外のメンバーは勉強だったり、自撮りだったり自由に過ごしていた。

「3部位から、ウタ娘の流れも詰めましょう!リハの時間もとれないからね」

リーダーから指示が出る。

今回の握手会は1stのステージ衣装だ。次のイベントを踏まえての考えだろう。

祝日ではあるがお客はまばらだ。
橋本環奈の知名度は他のメンバーに比べると突出しているが、まだまだ低い。
東京でのイベントは経費もかかるので、グループの知名度を上げる為には1回1回が大切だ。
物販もあるが、Rev.は最後まで物販は弱かった。
写真のチョイスが共感できないものが多い。

「いやー。10秒って意外と短いね!話すのキビイキビイ」
「ほんと。緊張した。慣れるかなー?」
と、1部の、優菜とみぽりんが握手会を終えて戻ってきた。
環奈は、2部のひとみん、みっきー、なぎさと合流してスタンバイしている。

「ゆうなちゃん。どんな感じでした?」
早希にとっては全てが初めてのことで、とにかく緊張していた。
「早希どうした?緊張しとっと?」
「早希のこと知ってる人、ほとんどいないじゃないですかー!何て話せばいいか・・・」
「初めましてでいいんよ。あとはフィーリングよ!あっ!?目はちゃんと開けときな」
「いつも開けてますー!ひどーい!」

「ちかなな緊張せんと?」
と、参考書を片手に勉強中のちかななに帆南が声をかける。
「えー?緊張とけるわけでもないけん、勉強してごまかしとっとー。受験やし」
「早希と大違いやね」
「帆南ちゃん!」
早希がほっぺを膨らます。

そんなやりとりをしていると、昼食のお弁当が運ばれてきた。
がっつりしたものはなく、サンドイッチやサラダを中心とした軽食だ。
今からファンと接するのだからちゃんと考えられている。
2部も終わり、控え室に戻ってきたひとみん、みっきー、なぎさもさっそく食事の品定めをする。
3部のメンバーなっち、ちかなな、帆南は準備に入ったので終わってから頂くようだ。環奈はフル出場なので全てが終わってから移動中に食べると割り切ったようだ。真っ先に自分の分をキープして出て行った。

「じゃあ、食べ終わったらウタ娘の打ち合わせ入るよ!」
と、ハムスターのようにポテサラサンドイッチを頬張り、カフェラッテで流し込みながらリーダーの指示が飛ぶ。
「ひとみちゃん。相変わらずカフェラッテ好きね~!このほっぺたには幸せが詰まってるんでしょ?」
ビタレボコンビの片割れがひとみんのほっぺたをつんつんしながら問いかける。
「やめれ。これはあたしの燃料なの!」
「燃費良いよね~。ひとみちゃん売り出したら買うわ」
「車か!!」

メジャーデビューと共にスタートした、KBCのラジオ番組。『Rev.from DVLのビタミンレボリューション』そのパーソナリティーである今井瞳と西岡優菜はプライベートでも行動をともにすることが多く、二人の漫才のような掛け合いはグループにも良い影響を与えていた。

「あれ?美穂・・・まだ食べてるの?」
「えー?よく噛んで食べないと消化に悪いんだよ?」
「いやいや、サンドイッチだから。そんなに時間かけなくても・・・」
「昔から八十八回噛みなさいって言うでしょ?美紀ちゃんが早過ぎるんだよ~」
「いやいや、それ。ご飯の話だから!」

こちらも絶妙の掛け合いを交わしているのは、同じくメジャーデビューから始まった、RKBラジオハイタッチの日替りアイドルコーナー。『ガールズパンチRev.に逢いにきんしゃい』を担当するガルパンコンビ、鷲尾美紀と秋山美穂だ。
みっきーはRev.の中でもキャリアが一番で、その存在感をみぽりんの天然ボケが上手く笑いに変えてくれる。
Rev.にとって、ビタレボとガルパンは最後までお世話になる大切な番組だった。

ウタ娘の出演時間は20分。自己紹介をはさむと、ギリギリ3曲といったところ。
セトリは
1 LOVE -arigatou-
2 らりるれろLOVE
3 逢いにきんしゃい
ラブありと逢いきんはデフォルトだったが、間に何をはさむかは重要である。
wanna beの格好良さより、らりるれろLOVEのフレッシュ感をアピールしようということで落ち着いた。

「・・・と、進行はこんな感じね。最初のグループ紹介と自己紹介の流れは、私と優菜でします」
「トリ前のMCは環奈と・・・」
「はい!!!」
ゆっきーが身を乗り出しながら手を挙げる。
「あたし・・・行けます!!」
メンバーがざわつく。
「ゆっきー・・・信じていいの?」
「リーダー。いや、ひとみちゃん!信じて下さい!今のあたしなら熊でも笑わせます!」
皆の頭に熊?、と疑問符が浮かんだが、そんなこと関係なくゆっきーのやる気は体から溢れていた。
「あたしからもお願いします!ゆっきーちゃんならRev.の伝説を作ってくれるはずです!」
「麗依菜・・・」
ゆっきーが後輩の後押しにちょっと涙ぐむ。

リーダーが目を閉じ、暫し熟考する。
そして、ゆっくりと目を開き。

「良し!ゆっきーでいこう!任せたわよ!」

「ありがとうございます!!伝説作りましょう!!」
結局この日。ゆっきーがウケたのは、鉄板の『こう見えても高校1年生』と『環奈ちゃんと1文字違い』
だけであった。

続く