岩おじ | ロバ耳ブログ 

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 もうしんどいわ! 流石に床屋はきつい。かと言って、定職に就くと、一定の仕事量が確実に要求される。こっちの状態がどうであろうと。一度、障害とか抱えてしまうと、この社会では生きていくハードルが倍になりますね。岩を運んで、坂道を登るだけのゲームが流行ってるけど、あれくらいに理不尽だぞ。いやそれ以上。


 皆さんは知っていますかねえ。このゲーム。作者は外国人だと思うけど、人生を考えさせる、苦行をゲーム化したものになっています。これは隠れた秀作ですね。パンツ一枚の男を操作して、大きな丸い岩を、坂に向かって転がしていく。バランス良く行かないと、岩は坂を転がり落ちてしまう。途中、幾つも障害物があり、それを避けたり乗り越えたりしなければならない。
あまりの理不尽に、プレイヤーたちは自問自答し始める。中には諦める者もいる。


 これを作った人は、本当に凄いなあって思うのは、実は転がしている岩が、自分自身そのものなんですよ。それを懸命に運ぶ男を操作するのは、自分の意思です。自分で本当にコントロールできるのは、自分の意思だけって事です。しかしそれも、焦りや緊張、怯えや怒りで、上手く制御できない事がある。そうすると、岩が手から離れて落ちて行く。

転がり落ちる岩を、何処かに引っ掛かって止まってくれと祈りながら追いかける。苦労して、何時間も掛けて登って来た道を、岩は物理法則に従って、容赦なく転がり落ちて行く。運が悪ければ、最初の位置まで転がり落ちて行く。



 この子はVチューバーって動画屋の一人で、何となく、製作者の意図を掴んでいますね。グループの中でも、一番鈍臭い部類の人気者です。配信中なので、コメントを見ながらやっている。そうすると、直ぐに岩が転がり落ちる。煽られたり上手く行ったりして、直ぐに調子に乗って手を離す。ずっと周りに気を取られながらも、一定の集中力を保つ訓練は、ドライバーの採用試験にも向いているかも知れない。


 面白いのは、何人もこのゲームをクリアしている中、一番の落ちこぼれっぽいこの子が、最も制作者の意図する事を掴んでいる事。頂上に着くと、ゼウスが現れて、短い対話になる。その受け止め方が、この子が最も適当なんですよ。推理ゲームとかはね、鈍臭いから、皆んなに置いていかれがちです。しかし、こんな子に限って、大きな本質を捉える事に長けていたりする。
そういった能力って、今の学校の制度では埋もれてしまうんですよ。評価の方法が難しいのと、何より残念な事に、それが見える教師が居ない。居ても、その様な教師もまた、埋もれてしまう。



 今は政変が起きそうな雰囲気になって、多くの人がこれでは行けない。そう感じて選挙にも前向きです。保守を名乗る政党が幾つも出て来る。つばさの党でも、自分たちこそ本物の保守だと言っています。でも、何を守ろうとしているのか、何が守りたいのか、その本質を掴んでいる気配は小さいですね。

例えば車が好きで、このメーカーのこの車が好きで、ずっと乗っていたい。維持費も余裕で、金銭的には守る事が出来る。だけどメーカーが潰れて、修理が出来る人も居なくなったら、車として終わるのは時間の問題ですよね。単純に守る。日本を保守するって言っても、見えているもの、掴めるものだけを守ろうとしても、もっと大きな全体が捉えられていなければ、それらが失われるのは時間の問題なんですよ。


 時計。今はもう、手巻きの時計なんて普通には売っていません。逆に高級時計です。実は欲しくて金を貯めていました。この手巻き時計ですが、電池が要らないでしょう。それだけで、もう存在価値として、電池の時計より自己完結されているんですよ。完成度が高い。電池が必要な時計は、電池メーカーが消えたら終わりです。直すとかの問題じゃない。

私から見て、手巻き時計は格が上なんですよ。こう言った存在を目指すのが保守でしょう。これが合っているかでは無く、大局観とか世界観が大事。ポンコツでドジっ子に見られる子に限って、それが見えているとしたら、そりゃ、教育で排除されるんだから、日本全体の政治力も弱体化しますよ。


 今や平均年齢が50歳でしたっけ。二人に一人が50歳以上です。ここまで成熟して来たら、この様な、見えない能力を持った子も、社会は守り育てて行けるんじゃないかと。もうそれくらい、日本は成熟して来たのではないかと、そう思いたいですね。


 岩を慎重に慎重に押す姿。これって、昭和生まれの人なら記憶があるはず。近所の小さな子供が、真剣な顔でやっていたでしょう、ケンケンパ。あれが、このゲームの出発点。

子供がケンケンパをやれる社会。それを見守れる社会。それが保守が守ろうとしている日本の姿でしょう。株価と貿易黒字。これだけで社会は守れません。