当店でカスタム・サスセッティングしたお客さま。
エンジンオイル交換で来店されました。
オイルは当店で扱っている「Verity BIKE FS HR Ver3」(三和化成工業)です。
VTR1000 SP2
10年ほど前、他店で購入。その時、すでにこのカラーリング(セブンスター)だったそうです。
そのショップさんが閉店し、ガレージ湘南に来られました。
VTR1000 SP2 出典:Wikipedia
スペック
型式:SC45
輸出車:RVT1000R
999cc
水冷4ストローク DOHC4バルブ 90度V型2気筒
最高出力:136PS/9,500rpm
最大トルク:10.7 kgf·m / 8,000 rpm
製造期間:2000年-2006年(VTR1000 SP-1/2)
当時、スーパーバイク世界選手権(WSBK)のレギュレーションは「2気筒 1000cc/4気筒 750cc」で2気筒が有利な状況。
そこでホンダは2000年、RVF750に代わってVTR1000 SPWを投入。2000年・2002年タイトルを獲得。2003年にレギュレーション改定され、気筒数を問わず排気量の上限が1000ccになり、CBR1000RRへとシフトしていきました。
カスタムポイントと長期間、乗車した感想
オイル交換作業(カウル脱着必須)待ちの間、オーナーさまから10年越し?!のレビューを頂きました。
カスタム直後や、ちょい乗りインプレッションは少なからず、ライダーにバイアス(思い込みや先入観による偏見)がかかっている事が多いものです。
しかし長い期間(距離)を経た上での感想というのは、そこから一歩引いて、冷静といいますか、俯瞰した物事のとらえ方になります。
そういった意味で、全国のVTR1000SP乗りの方の参考になるかと思います。
(ちなみに当店代表 日向はVTR1000SPでレースをしていました)
ご存じない方のために説明すると、VTR1000SPと兄弟車のVTR1000Fはサイドラジエーターです。
オーリンズリアサスペンション モディファイ
エキゾーストマフラーはHRC製。この取り回しに対応するため、オーリンズ製 リアサスペンションをモディファイ(仕様変更)しました。
モディファイって、具体的に何をするの?
今回の場合だと、既存の製品を用いて、この車両に合わせた形状に変更、「1点もの」のリアサスをつくるイメージです。
逆にいうと「同じものを作ってほしい」と言われても作れません。
あらたに車両を持ち込んで作ることになります。
モノサス(1本サス)はエンジンのすぐ後ろに配置されていることが多く、熱の影響を受けやすい環境にあります。
さらにレースでは、激しい走行による熱が加わり、ダンパーオイルが高温になります。
とくに鈴鹿8耐は顕著です。
代表 日向のレース用 GSX-R1000に装着していたオーリンズ製リアサス
モディファイして、できるだけエンジンから別体タンク(ダンパーオイルが入ってます)を遠ざけたり、走行風で冷えやすい位置に配置。加えて、走行中にセッティング変更可能な仕様にしました。
公道を走る場合
レースと違い、限界走行することはありませんが、車種やサスペンションの状態、ライダーによっては、ダンパーオイルの変化を敏感に感じとる方もいます。
(レーサーではなく、ごく一般の街乗りライダーです)
寒暖の差が激しい時季だと、気温差によってダンパーオイルの硬さが変化します。たとえば外気温10°以下だと、それほど気にならなくても、20℃近くまで上昇するとあきらかにダンパーの効きが弱くなる。
(路面の凹凸を通過した際、いつまでもスプリングが上下運動し続けようとする)
といった具合です。
どの程度、走行に影響が出るか、変化を感じとれるかどうかはその時々ですが、リアサス君の労働環境は、けっこうブラックだという事は知っておいたほうがいいかもしれません。
エキゾーストパイプも熱源のひとつです。
補足:
もともとガレージ湘南はオーリンズのプロショップをしていましたが、日本代理店ができた時に辞めました。
その後、今回のようにお客さまからご依頼があれば、(昔からのレース仲間がやっている)オーリンズプロショップを通じて、対応しています。
(仲間のショップとお客さまの奪い合いみたいな事はしたくないので)
現在、当店が主に扱っているメーカーはYSSです。共同で製品開発・販売をしています。
(リアサス交換はメーカー不問)
サイレンサーは、のちにオーナーさまご自身で交換したそうです。
車検対応のためサイレンサーを加工。たかが穴ですが、チタン製で硬く、空けるのに苦労しました。
ブレンボ製 鍛造 クラッチマスターシリンダー
純正はとてつもなくクラッチが重かったようで、オーナーさま自ら装着されました。
(バイクではないのですが、整備士さんでいらっしゃいます)
劇的に軽くなり、とても満足している様子でした。
ブレンボ製 鍛造 ラジアルブレーキマスターシリンダー
(これもオーナーさまが自ら装着)
ゲイルスピード製ホイール 前後交換、フローティング用ブラケットを使用して、Frando(フランド)キャリパー交換。
日向のGSX-R1000と同型のキャリパーです。
参考
フロントブレーキは、もともと性能面では大きな問題はなかった上に、公道走行のため、利き自体は大差ないとのこと。
しかし装着後は「操作性が向上した」とのことでした。
リヤブレーキは、キャリパーサポートワンオフ、フロント同様にFrandoキャリパーを装着。
近年になって、ようやく知られるようになったFrandoですが、当時はレース関係者以外、ほとんど知られていませんでした。
当店のお客さまの共通点として、「ほかの人と同じものは使いたくない」という方が多いように感じます。
ハイパフォーマンス製 ステアリングダンパーは購入時から着いていたそうです。
最初にガレージ湘南に持ち込まれたときは、硬さが最強の状態だったとか。
* * * * *
さて、当店でカスタムした時と現在では多少、変更点はあるものの、現在まで乗った感想をいただきました。
カスタム前とカスタム後の比較
前モデル VTR1000SP-1と比較して、SP-2は乗りやすく改良されているものの、セッティング前と後の変化は大きかった。
すごくよく曲がって、乗りやすくなった。
ツーリング仲間を試しに乗せると、あまりの乗りやすさに皆、驚きます。
・・・と、熱く語っておられました。
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このブログでも度々、お伝えしていますが、
バイク自体に問題がなく、ある程度、整備されている前提でいうと、「乗りにくい」「曲がりにくい」場合、サスセッティングが合っていない事がよくあります。
スーパースポーツや、輸入車の場合だと、出荷状態で硬すぎる傾向があります。
生産から10年、20年以上経過した車両の場合、フロントフォークオイルが全くといっていいほど交換されていなかったり、リアサスが抜けていて、柔らかすぎる傾向があります。
(フォークオイルは車検の検査項目ではありませんから、無交換は珍しくないのです)
ご自身でフォークオイル交換したり、リアサス交換されたバイクだと、とてつもなく硬く、ほとんど沈まない事があります。
中古車など、オーナーチェンジした場合、気がつかないことが多いです。
「もしかして・・・」
と思った方は、ぜひ、お近くのサスセッティングが得意なショップさんを訪れてはいかがでしょうか。
有限会社ガレージ湘南
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