バルブのすり合わせ作業の一例を紹介します。
CB125Tのシリンダーヘッド
【作業内容】
バルブすり合わせ、バルブシート修正のみ
(ヘッド洗浄や、バルブ研磨はお客さま自身によるもの)
バルブ摺り合わせ+バルブシートカット前の状態
※エンジンを洗浄して、カーボンを取り除いた状態
光明丹(オレンジ色の液体)で、バルブの密着度合いを確認します。
密着していなければ、バルブシートを修正します。
※バルブガイドや、ガイドホールにガタがある場合、ガイド交換が必要です。
バルブシート修正後
専用コンパウンドを使ってバルブをすり合わせた後
バルブが密着するようになり、光明丹がムラなく付くようになりました。ただ、これはあくまで簡易的な確認方法です。
光明丹では問題がないように見えても、圧縮を測ると漏れていることがあるからです。
GPZ750Fのシリンダーヘッド
エンジンオイル(または灯油)を燃焼室に入れて、漏れないかどうか確認する方法もあります。
当店ではスイス製の測定器で、圧縮を確認しています。
バルブすり合わせ注意点
削りすぎると、圧縮比の低下や、バルブの損傷、バルブシートリング(シートカットで削る部分)の交換が必要になるため、注意が必要です。
バルブすり合わせに関しては、さまざまなやり方・意見があるようですが、当店ではポップ吉村氏(現ヨシムラ・ジャパン創業者) 直伝の方法で、すり合わせをおこなっています。
意外と知られていない?バルブの動作
バルブは黄色い矢印のとおり往復運動して、開閉しています。この時、わずかにバルブは回転しています。
つまり、エンジンが動いている時、バルブをすり合わせる時のような動作をしているという事です。
もし、まったく回転することなく、バルブを開閉していると、バルブとバルブシートの間にカーボンがはさまってしまいます。(カーボンを噛むと言います)
そのためバルブスプリングの伸び・縮みを利用して、バルブが摩耗しない程度にゆっくり回るように設計されています。
当店では主に1970年代から2000年代のバイクのエンジンオーバーホールをおこなっていますが、古い時代のバルブは骨太で重量があります。
2000年代のスーパースポーツ車になると、材質にチタンを使用したり、形状がスリムで軽量になっていたりと、変化の様子が見てとれます。
奥 CBR1000RR SC57/手前 CB750F RC04
よく見ると、ステムの太さがおおきく異なるのがわかると思います。
ZX-10R(2011年モデル)
チタン製など一部を除いて、当店標準メニューではバルブ研磨をおこなっています。
CBR1000RR バルブ研磨ビフォー/アフター
シリンダーヘッド含め、当店エンジンオーバーホールの基本工程は、ホームページ上に掲載しています。
有限会社ガレージ湘南
旧車ライフお役立ちコラム
https://garage-shonan.wixsite.com/info/column