GSX1100S カタナ

 

エンジンオーバーホールのご依頼です。

 

主な作業内容:ピストン交換(ワイセコ)、バルブガイド交換、バルブシート修正、シリンダーヘッド面研、バルブ摺り合わせその他

 

当店基本メニューのほか、電装系の手直しをおこないました。

 

 

当店でOHした後のエンジン音を撮影しました。

 

※再生すると音が出ますので、音量にご注意ください。

 

 

本記事のトピック

 

・2つの事実が発覚

 

・ヨシムラの創業者から教わった「鍛造ピストンを再利用してはいけない理由」

 

・1980年代に最高速290km/h以上を叩き出したカタナ

 

・ヨシムラの敏腕メカニック

 

エンジンオーバーホール

gsx1100s刀 ヨシムラ TMRキャブレター
 
gsx1100s刀 USヨシムラ マフラー
 

ヨシムラのパーツが、あちこちに使用されているカタナ。

gsx1100s カタナ エンジン

入庫時のエンジン

 

gsx1100s カタナ エンジン
オイル漏れしています。
 
まずはエンジンを分解して各部をチェックします。
 
gsx1100s カタナ ヨシムラ鋳造ピストン
 
gsx1100s刀 ヨシムラピストン
カーボンは排気量・走行距離を考えると、平均的。
 
さて、ここであらたな事実が2つ発覚しました。
 
古いバイクを購入した際、改造されている事を知らずに、オーナーさんが乗っていることがあります。
 
今回はまさにそのケースでした。
 
オーバーサイズのヨシムラ製ピストンが組まれていたのです。
 
問題なのは、部品が手に入らないこと。
 
カタナ用のヨシムラ製鋳造ピストンは、現在は生産されていません。ヨシムラにある鋳造ピストン用ピストンリングの在庫は1つだけ。
 
そこでワイセコ製の鍛造ピストンに交換することになりました。
 
GSX1100Sカタナ wisecoピストン
 
ワイセコピストン gsx1100s刀
 
少し余談になりますが、走行距離を重ねた鍛造ピストンは、再利用しないほうが無難です。
 
ヨシムラの創業者 ポップ吉村氏に、よく「一度、使った鍛造ピストンは再利用するな。割れるぞ」と注意されたのですが、現に、ヨシムラがレース用エンジンで鍛造ピストンを再利用したところ、割れていました。
 
見た目にはわからなくても、歪み(ひずみ)が発生しているんですね。
 
そういった経験から、当店では基本的に、鍛造ピストンの再利用はお勧めしません。
 
gsx1100s カタナ エンジンオーバーホール
バルブガイド交換、ガイドホールボーリング、シリンダーヘッド面研、バルブ摺り合わせ
 
赤っぽいのは光明丹の色です。
 
 
gsx1100s刀 シリンダーヘッド
上記の工程がおわったシリンダーヘッド
 
gsx1100s刀 ワイセコピストン
ワイセコピストン組み込み
 
gsx1100s刀 カムシャフト
カムシャフト
 
gsx1100s刀 エンジンオーバーホール

完成

 

くわしい工程は当店の公式サイトに掲載していますので、割愛しますが、試運転やテスト走行を経て、納車します。

 

最高速290km/h以上を叩き出したカタナ

​じつは当店代表の日向は、世界GPライダー石川 岩男選手が乗っていたヨシムラ製KATANAエンジンを搭載したGS1000SZRでレースに出場していました。

 

その速さは尋常ではなく、日向の走行を観ていた人に「まるで弾丸のようだ」といわれるほど。

 

富士スピードウェイで計測したところ、300km/hにせまる290km/h以上をマーク。シャーシダイナモのパワーチェックでは155馬力だったそうです。

 

2021年現在では、大したことない数字に思えるかもしれませんが、時代は1980年代。
 

zzr1100

1990年 カワサキ ZZR1100 147馬力 最高速290km/h前後

 

のちにCBR1100XXが発売されるまで、世界最速だったZZR1100と同等以上の速度が出ていました。レース用とはいえ、ヨシムラ製KATANAエンジンのすさまじさが、わかるかと思います。

 

ヨシムラの敏腕メカニック

エンジンを手がけたのは、ヨシムラでエンジンを担当していたメカニック 大矢幸二氏。

 

(当時のヨシムラではエンジン部門、車体部門に分かれていて、エンジン部門の責任者が大矢氏。

車体は、現アサカワスピード 代表の浅川邦夫氏が責任者を務めていました)

 

耐久仕様のGSXエンジンも、大矢氏が組んでくださいました。

 

GSX1000SZR 日向正篤

鈴鹿8耐で使用した耐久仕様のGSX1000SZR(乗っているのは日向本人)

 

長丁場のレースですが、大矢氏の宣言どおり、レース後半になっていくについれて、エンジンの調子が良くなるよう組まれていて、驚きと感動を覚えたものです。

 

GSX1000SZR

当店代表 日向はプライベーターとして鈴鹿8耐に15年連続で参戦していました。

 

話がおおきく脱線しましたが、今回オーバーホールしたカタナも、当時を彷彿とさせるレーシングサウンドです。

 

(推定140馬力はあるかと思います)

 

GSX1100S刀 エンジンオーバーホール

後日、マフラーの溶接加工をおこないました。

 

 

​有限会社ガレージ湘南

 

 

 

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