「身の丈を知れば楽になる」
ガンになる前の自分を振り返ると
ずいぶん「背伸び」をしてきたなぁ~と思う。
自分の身の丈に合ったことをしていれば良かったのだが、一度背伸びをしてしまうともう同じ高さでは満足できずもっと背伸びして身の丈を高くしようと更に背伸びする。
どうしてそんなに背伸びしようとしたか?
根底に背が低いというコンプレックスがあったからだ。
そうでなければ、背伸びなんかする必要がないのだ。
実は私はガンになる前は、コンプレックスの塊だった。
しかし、それはひた隠しに隠していた。
どんなコンプレックスがあったのか?
心が弱い、気が小さい、極度の緊張症、性悪、学歴がない、パニック障害、数えだしたらきりがない。
そんなコンプレックスが生まれたのは、ほとんどが小学校低学年の頃だった。
当時の私は気が小さくて、人見知りで他人とにコミニケーションが苦手、父親からはバカだ戯けだといわれ、泣いてばかりいた。
しかし成長するにつれて自分は体力があることが解り中学に入る頃には格闘技に目覚めドンドンやんちゃな方に進んでいった。
でも、記憶の中には幼少の頃の自分が住んでいてたまに顔を出す。
一番のコンプレックスは「嘔吐反射がひどくて歯医者にいけない」ということで、年を重ねるゴトにひどくなりパニック障害までも引き起こした。
するとそれを隠すために、背伸びをしなければいけなかった。
先ほども書いたが、いったん背伸びをすると、ずっとし続けなければ背が低いのがバレてしまう。
そして、もう背伸びも限界に来てひっくり返った。
本当の自分と、背伸びした自分の乖離に心が着いていけなくなり、鬱病を発症したのだった。
そこで背伸びを止めれば良かったが、会社に復帰してからまだ背伸びをしようとして頑張ったが、そんな状態長く続くはずがない。
その時はもう足腰も踏ん張りが利かなくなっていたので、今度は転び方も悲惨でボロボロになった・・・・
癌だった。
なった当初は底辺まで落ちてしまったことを嘆き悔やみ、心も体もボロボロだった。
しかし、癌になり㈱三越を辞めたことで、これまで背伸びして築き上げてきた地位も身分も捨てることができたったおかげで、以前の弱くて小さな自分に戻ることができたのだ。
癌になり大きな手術をして普通の人より臓器も少なく、生きられる年数も解らず、体力もなく、三越という看板も無くなり弱くて何も持っていない織田英嗣という一人の人にもどったことで、もう背伸びはしなくて良い!と開き直ることが出来た。
不思議に心がとっても軽くなった。
そこからは、2度と背伸びはしないと決めて、身の丈を少しづつ伸ばしていこうと決めた。
無知だった分野で関心のあることを1から学び、抗ガン剤と手術でほぼ0に近いところまで落ちた体力を筋トレやランニング等で少しづつ付け、看板も地位もお金も何もなく、いつまで生きれるかさえ解らない織田英嗣という一人の癌患者というところから縁だけを頼りに人間関係を築いていった。
すると不思議なことに、これまでは低いのを高く見せようとあんなに頑張って背伸びをしてきたのに、周りの人が自分が思っている身の丈より高く評価してくれるという現象が起こった。
背伸びしてないからボロが出ることもないし、小ささや弱さを認めたことで他人の目も気にしなくても良くなり、今の自分がすべてでそれ以上でも以下でもないと思って生きていけるようになったのだ。
生きることが楽になり、楽しくなってきたのです。
だから歌も太鼓も身の丈から、始めれば良く、そこから練習をしていくことで、あれができた、これもできたという小さな成功体験を積み上げていくことで昨日と違う自分になっていくことが必要なのではないのでしょうか?
そして、そんな一歩一歩が自己評価を高め、自分のやっていることの効果を上げることに繋がるのです。
私はガンになってから19年、そうやってひとつずつ前に進んできたことで今があると思っています。
そんな経験を通して、本当の成長とは、身の丈を知ることから始まるのだと思うようになったのです。










