『生豆を繊維質の硬い塊と認識するか否かで、焙煎方法は全く違います』
▼『低温焙煎』を解説する!no,49
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低温焙煎は『1ハゼで完熟した浅煎豆を煎ることで、クリアで濁りのないコーヒー本来のフルーティな美味しさ』を作り出していますが、低温焙煎が多くの焙煎方法と一番大きく違うところは『生豆は繊維質の硬い塊である』という認識に基づき『焙煎の初期段階で生豆の繊維質をシッカリ解す』という焙煎工程を取り入れているところにあります。
焙煎時の熱量について少し踏み込んだお話ですが、手網焙煎のように直火で焙煎をする時の熱源は火力がほぼ100%ですが、鉄の塊である焙煎機の場合は『焙煎機本体に蓄熱された熱量と火力からの熱量のトータル』で焙煎をしている形になります。
『生豆の繊維質をシッカリ解す』には『焙煎機本体に蓄熱された熱量(蓄熱)』の調整(保有熱の調整)という事がとても重要になってくるのです。
低温焙煎は『熱の布団で包むようにして生豆を煎る焙煎方法』と説明していますが『焙煎機本体に蓄熱された熱量』が『熱の布団』の主体で低温焙煎においてはメインの熱源となり、バーナーの火力は『熱の布団が、過熱し過ぎたり・冷め過ぎたり』しないように調節する補助の熱源と捉えるのが低温焙煎の基本的な考え方になります。
『窯に蓄熱された熱量(蓄熱)』を上手く利用して焙煎された珈琲豆は、マイルドでソフトな味にも関わらず、豆の芯からシッカリ火が入り完熟した芳醇な味わいになるのが特徴です。
『遠赤効果』と言われるものがありますが『低温焙煎』も、少しそれに似ているように思います。
『蓄熱』で包むように煎ることで、豆の芯から優しくジックリと火が入っていくからです。
『火力の熱量』だけに大きく頼った焙煎方法では、どうしても豆の表面だけが煎られた焙煎となり『硬く水っぽい味わい』から抜け出すのが難しいのです。
低温焙煎には、いわゆる『ボトム温度(中点)』という考え方はありません。
焙煎をスタートする時の温度や焙煎窯の冷却温度というのは、焙煎方法によって人それぞれだと思いますが、低温焙煎では『160℃で生豆を投下・155℃でバーナーに点火して、133℃くらいで降下する温度を安定』させるように火力調整するのが基本動作になっています。
この温度帯より高すぎても低すぎても『生豆の繊維質』は、うまく解れてくれないのです。
『生豆の硬い繊維質をシッカリ解す』には、窯の適正な蓄熱で包み込むようにゆっくりと『生豆の繊維質を温めて柔らかく』することが重要なポイントになります。
そのために『焙煎機本体に蓄熱された熱量(蓄熱)』の調整(保有熱の調整)が、必ず必要なのです。
単に投下温度・火力・安定温度を設定しただけで『生豆の繊維質が簡単に解れる』というものではないのです。
『保有熱の調整とは、焙煎窯の過熱を抑えて適正な温もり』にピンポイントで微調整するという事なのですが、窯の過熱を抑えているので『ボトム温度(中点)という温度帯までスタート温度を落としては、熱量不足となるので133℃台安定が適正』な温度帯となってくるのです。
『生豆が繊維質の塊』と認識すると、焙煎の熱量配分がこのように根本的に変わってきます。
これが『ボトム温度(中点)』という考え方をとらない一番の理由であり、実際その温度帯では『生豆の繊維質』は、うまく解れることはないのです。
焙煎と言うのは、いまだによく理解できない事が多い不思議なものだと思います。
言葉で説明すればこれだけのことなのですが『保有熱の調整』と言うのは、四季の外気温の影響を直に受ける微妙な作業になります。
夏の酷暑の時期と真冬の寒い時期では、焙煎機の冷却時間にも大きな差異があるからです。
『保有熱の調整』が低温焙煎という焙煎方法の一番の肝なのですが、実際に『生豆の繊維質が解れる』焙煎過程を何度も実体験しなければ直ぐには理解されにくい工程だと言えます。
年間通じて何度も焙煎を繰り返し、その時の焙煎データ(温度・時間・火力)を観ながら微妙な焙煎の違いを熟知し微調整する為の技術(豆を観る目)を習得することが必要なのです。
『焙煎窯の熱量コントロール』が、しっかり理解できるようになってくると『目には見えない生豆内部の状態』も、ある程度推察できるようになってきます。
それが判ってくると〆たものです(笑)
さて、前置きが長くなりました。
それでは『焙煎機本体の保有熱の調整』は、具体的にどのようにしているのかについて解説していきたいと思います。
『低温焙煎』での焙煎窯の冷却方法は次のような手順になります。
① 一旦80℃まで焙煎機が冷めたら、バーナーに点火して「全開で3秒間」火をつけて83℃まで少し温度をあげます。
② 温度計が再び80℃まで下がってくるのを待ちます。
③ 81℃になった時点で80℃まで『1℃降下するのに何秒かかるか』をストップウォッチで、計測します。
1回目は『1℃降下するのに1分以上はかかります』
そこで『80℃』になったら再度①の作業を繰り返します。
④ この工程を数回繰り返すと『1℃降下するのにかかる時間が、次第に短くなってきます』
⑤ 冬の時期は『1℃降下するのに20秒以下』
夏の時期は『1℃降下するのに30秒くらい』になるまでに『窯の過熱が収まってくると保有熱の調整が一応完了』です。
『一応完了』としたのは、その時々の『外気温・湿度・室温・気象条件』などの外的要因に依って多少のブレが生じてくるからです。
その時々のブレは、実際に焙煎をした時の感触で『その後の焙煎を始める時の冷却時間で微調整』をします。
『どうですか? 以外とアナログな調整方法』に驚かれましたか?
『温度計だけでは計測できない窯に蓄熱された熱量』を調整する方法として、試行錯誤の末に、ようやくたどり着いた確かな方法なのです。
この手順を無視して、単純に80℃に下がっただけで焙煎をスタートすると、同じ火力でもそのあとの温度上昇と焙煎の進行は全く違う様相を呈してきます。
窯の冷却をせずに焙煎を続けると、同じ火力でも窯の温度上昇はどんどん早くなっていき、焙煎時間も次第に短くなります。
結果、豆がはじけても生豆内部の水分は抜け切れていないので、未熟さが残り更に焙煎を深く煎るという流れになるのです。
ここまでのお話を読まれてどのように思われましたか?
『何を馬鹿な事を言っているのか』という感想を持たれた方が、おそらく半数以上はおられるのではないでしょうか?
昔、この話を焙煎仲間にしたら『笑ってまともに聞いてくれなかった』という苦い思い出がありますが、ここが理解できないと低温焙煎という焙煎方法を理解することはできません。
私も『生豆が繊維質の塊』であるということに気づくまでの初期の焙煎は、もっと強い火力で短時間の焙煎をしていましたが、それでは浅煎りにすると『未熟で酸っぱい味わいの珈琲』になる失敗を、嫌と言うほど繰り返してきました。
そんな数えきれない失敗の経験から、少しずつ改善してようやくたどり着いたのが今の低温焙煎という焙煎方法になるのです。
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