介護保険料改定と介護サービス廃止へ |  みどり色の地球

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介護保険保険料の改定と、高齢福祉サービスの見直しが行われました。

 

第1号被保険者の介護保険料の改定

基準額(月)が 4,844円 → 5,100円に!(改定率105.28%)

現行料金と比べると、1,2段階は微増ですが、それ以降は段階と比例して負担も増します。今回、吉川市が新たに設けた12~13段階は国に準拠。12段階の方は67名で、増える負担額は年額30,317円、13段階は355人で36,437円増となります。(1~3段階はカッコ内が低減後の実際の保険料です。)

 

介護保険料、安いと嬉しいけれど…

吉川市の介護保険料は他市に比べると若干低めです。でも、介護保険料に関しては低いから良いとは限りません。基準額(5100円/月)は市内で必要な介護サービスの総費用を、23%は65歳以上の方の人数で割り、27%を40~64歳の方で割って算出していますから、分子になるサービスが適切にしっかりと提供されているかをチェックすることも重要です。

極端にいうと、介護サービスを受けにくくし、利用を制限したり、必要なサービスを提供しないで総費用を抑えれば、介護保険料は低くなります。

例えば、今は無料のケアプランの作成費用を利用者負担にする案が、毎度改定時に議論のテーブルにあがるそうですが、利用者負担を増やせば介護保険総費用が負担軽減になり、保険料を安くできるわけです。(令和6年度からの9期目の改定ではケアプランの作成費用の利用者負担は幸い見送られました。)

 

吉川市の介護保険料の算定根拠

今後、高齢化が進み、要介護者が増える→ 介護保険サービスの利用料も増えていく→ 介護職に携わる方々の賃金も増えていきます。ちなみに令和5年4月1日の段階で、要介護認定を受けている数は、65歳以上の17645人中、2633人(第1号 2544人、第2号 89人)です。

これまでは1年間の介護保険サービスの利用料は1~2億円増でしたが、今後は1年間で3億ずつ増えていくと見込んでいます。3年間で3+6+9で総額18億円分の増。そこに現在ある10億円の基金の内の6億円を充当し、約11億円の財源を見積もられています。そこから国や県の負担分などを差し引いて、介護保険料として年間約1億円、3年間で3億4千万円の財源の確保が必要になるという計算です。

基金を充てていることで、負担増がこの程度に留まっているとも言えます。

吉川市は国を準拠したサービスに留まっていますが、24時間訪問介護と看護が一体型になっているのがとても優れたところです。事業者の頑張りに依るのですけど。

 

働く人の環境は良くなるのか

介護職員不足の解消のために報酬をあげたいが、そうすると利用料が上がる→保険料も上がるという構図です。介護保険の利用者が減るようにフレイル予防に力は入れど、高齢者は増加の一方。今の制度が変わらない限り、介護保険は負担増にならざるを得ないのです。

処遇改善加算があがり、事業者負担は軽くなります。介護職員の処遇改善加算も3つあったものが1本化され、人数の少なく算定が複雑であきらめていたような事業所にとってはチャンスの時です。

今回の改定で、現場のケアマネさんは結構大変になるのではないでしょうか。ケアマネさんの受け持ち件数が40件から45件になります。予防プランもこれまでは包括からの委託だったものが直接担当するようになり、予防プランの報酬が0.5人から0.3人換算になります。これまでは2人で介護プラン1人分になっていたのが、3人で1人分弱に。今でさえケアマネ事業所は予防プランを受けたがらない傾向にあったのに、さらにその傾向が強くなるのでは…という声も。

どちらにせよ、小規模のところはなかなか厳しいです。今、問題にもなっていますが、多角的に施設をもっている法人だと、サ高住などの有料老人ホームなど、併設した事業所の入所者に過剰な訪問介護などのサービスを提供するなど、いわゆる「囲い込み」が行われたりしています。本来は必要な人にあてる介護なのに、必要ない者が受けてしまったら介護保険料は当たり前ですが上がってしまいます。ここは国の実態調査が求められるところです。
 

高齢福祉サービスの見直し

吉川市では、同時に以下の高齢福祉サービスが廃止されます。見直しの視点は社会情勢の変化、費用対効果、代替可能な類似サービスの存在、公平性の観点です。

①ふれあいデイサービス

②日常生活サポートサービス

③生活安心ヘルプサービス

④くらしアップデイサービス

⑤買い物支援事業

⑥寝具洗濯乾燥サービス(障がい福祉サービス利用者も含む)

 

これまで活用されていた方には残念な廃止の決断ですが、似たような既存のサービスがあり、それをご紹介するということです。しかし、⑥の代替案として「コインランドリーが活用できる」という答弁でしたが、ヘルパーさんではそこまでやれないのでは。ちなみに当サービス利用者は6人、年10回の5万円の事業でした(令和4年度)。

さらに令和7年には配食サービス(市の補助310円)に対し、日中独居の方が対象外になります。同居していても日中は仕事に出てしまい、一人残す高齢者の見守りになった配食サービスでしたが、日中独居の利用者数の把握もなしに廃止されることに対し、文教福祉委員会では疑問が投げかけられていました。
第9期 吉川市高齢者福祉計画・介護保険事業計画の53ページ~詳しく掲載

https://www.city.yoshikawa.saitama.jp/index.cfm/24,102904,c,html/102904/20240315-150629.pdf

 

 

パブリックコメントの実施について

本来ならば、このように市民に大きな影響があるものに関しては、パブコメをやる必要がありますが、国が示した時期が遅かったので、素案には給付額や保険料改定の内容などの試算は正式な数値をお示しできないことから掲載できなかったとのこと。その後1月に開催された介護福祉推進協議会にてご了解いただいたそうです。

 

今回の介護保険の改定を機に、高齢福祉施設の方にお話をお聞きしたり、先日の市の出前講座も経て、私もだいぶ介護保険の理解が深まりました。

【参考】

吉川市発行「みんなの安心」

https://www.city.yoshikawa.saitama.jp/index.cfm/24,326,c,html/326/0629yoshikawa_A4.pdf