エンジン:RB26DETT型 直列6気筒DOHC24バルブICツインターボ
最高出力:280ps(206kW)/6,800rpm
最大トルク:36mkg/4,400rpm
排気量:2,568cc
ボア×ストローク86×73.7mm
圧縮比:8.5対1
吸気方式:ターボ
燃料供給装置:ニッサンEGI（ECCS）電子制御燃料噴射装置
サスペンション形式
・F独立懸架マルチリンク式
・R独立懸架マルチリンク式
ブレーキ形式
・Fベンチレーテッドディスク
・Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ
・F245/45ZR17
・R245/45ZR17
ボディサイズ:L4,545×W1,755×H1,355mm
車重:1,500kg
トランスミッション:５MT
変速比
第1速:3.214
第2速:1.925
第3速:1.302
第4速:1.000
第5速:0.752
最終減速比:4.111
1980年代後半、日産自動車は世界のモータースポーツ界での成功を目指していた。特に、国際的なレースにおいて日本車の実力を示すことが重要視されていた。日産は、この目標を達成するために、最先端の技術を駆使した高性能車を開発する必要があった。そこで登場したのが、R32 GT-Rである。
GT-Rの歴史は、1969年に発売された初代「スカイラインGT-R」まで遡る。このモデルは、2.0リットル直列6気筒エンジンを搭載し、当時の日本車としては異例の性能を誇った。しかし、その後のモデルチェンジやオイルショックの影響で、GT-Rの名は一時的に消滅した。
しかし、1980年代になると、日本の自動車市場は再び高性能車への需要が高まり、日産も再びGT-Rの復活を決意した。1989年、R32 GT-Rはその象徴として誕生し、モータースポーツ界に新たな旋風を巻き起こすこととなる。
1980年代から1990年代初頭にかけて、日本はバブル経済期を迎えていた。この時代、日本の経済は急速に成長し、消費者の購買力も大幅に向上した。高性能車やスポーツカーに対する需要も高まり、自動車メーカーはこぞって新しい技術を投入した車を市場に投入するようになった。
また、同時期に世界のモータースポーツ界も大きな変革を迎えていた。特に、グループA規定のツーリングカーレースは、各国の自動車メーカーが技術力を競う場となり、多くのメーカーがこのカテゴリーに参戦した。日産も、R32 GT-RをグループA規定に適合させ、レースでの成功を目指すこととなる。
このような背景の中で、R32 GT-Rは単なる市販車としてだけでなく、レースカーとしても開発されることになった。その結果、R32 GT-Rは多くのモータースポーツイベントで驚異的な成績を残し、「Godzilla」という異名を持つに至った。
R32 GT-Rの開発は、日産の社内で特別プロジェクトとして進められた。その中心となったのは、優れたエンジニアリングチームであり、彼らは最新の技術を駆使してこの車を完成させた。特に注目すべきは、以下の3つの技術である。
まず、RB26DETTエンジンである。このエンジンは、2.6リットルの直列6気筒ツインターボエンジンであり、280馬力を発揮する。エンジンの開発には、信頼性と耐久性が求められ、多くのテストが繰り返された。また、ツインターボの採用により、高回転域でも優れたパワーを発揮し、スポーツドライビングに適した特性を持っている。
次に、ATTESA E-TSという先進の四輪駆動システムである。このシステムは、走行状況に応じて前後のトルク配分をリアルタイムで制御することで、卓越したトラクションと安定性を実現する。これにより、ドライバーは常に最適なグリップを得ることができ、高速コーナリングや悪路走行でも安定した走行性能を発揮する。
最後に、スーパーHICAS（High Capacity Actively Controlled Steering）という四輪操舵システムである。このシステムは、後輪を操舵することで、高速走行時の安定性と低速走行時の機動性を両立させる。これにより、R32 GT-Rは優れたハンドリング性能を持ち、ドライバーの意図に忠実に応えることができる。
これらの技術の組み合わせにより、R32 GT-Rは他に類を見ない高性能車として誕生したのである。
R32 GT-R V-spec IIの性能について述べる前に、まず基本スペックを確認しておこう。このモデルは、RB26DETTエンジンを搭載し、2.6リットルの直列6気筒ツインターボエンジンで280馬力を発揮する。また、5速マニュアルトランスミッションを装備し、高いレスポンスとシフトフィールを提供する。
R32 GT-R V-spec IIは、その時代を超えて今なお輝きを放つ一台であり、未来の自動車開発においてもその影響力は色あせることがないであろう。この車は、単なる高性能車ではなく、自動車工学の進化を象徴する存在であり、後のGT-Rシリーズにもそのフィロソフィーが受け継がれている。