エンジン:VG30DE型
水冷V型6気筒DOHC
排気量:2,960cc
吸気方式:ターボチャージャー2基
圧縮比:8.5:1
最高出力:280PS/6,400rpm
最大トルク:39.6mkg/3,600rpm
燃料タンク:72L
トランスミッション:5MT/4AT
F独立マルチリンク
R独立マルチリンク
ブレーキ:前後ディスク
タイヤサイズ:225/50R16
3ドアハッチバッククーペ
ボディサイズ:L4,310×W1,790×H1,250
ホイールベース:2,450mm
トレッド:F1,945/R1,535mm
車重:1,420~1450kg
誕生背景
日産フェアレディZ 300ZX は、1989年に登場し、スポーツカーマーケットに新たな風を吹き込んだ。このモデルは、日産Zシリーズの第四世代として設計され、前モデルである280ZXの豪華さとパフォーマンスを引き継ぎつつ、より進化した技術とデザインで市場の要求に応えることを目指した。特にアメリカ市場を意識した開発が行われ、グローバルな競争力を持つスポーツカーを創出することが求められた。
時代背景
1980年代後半から1990年代初頭にかけての自動車業界は、テクノロジーの飛躍的な進化と市場のグローバル化が進む中で、消費者の要求が高度化していた。経済的な繁栄を背景に、よりパワフルで、かつ環境意識に配慮した車への需要が高まっていた。日産はこの時代の流れを捉え、先進技術を駆使したモデルを市場に送り出すことで、ブランドイメージの向上と市場シェアの拡大を図った。
開発について
300ZX TTの開発は、先端技術の導入と既存モデルの改良に重点を置いて行われた。特に注目すべきは、エンジンとエアロダイナミクスの設計である。VG30DETT型V6 3.0リットルツインターボエンジンは、300馬力という高出力を実現し、高速走行時でも優れた性能を発揮するように設計された。また、当時使用され始めたばかりのCADを用いた設計による車体の形状は風洞実験を重ね、空気抵抗を最小限に抑えることで燃費効率と性能の向上を両立させた。
車両の性能
日産フェアレディZ 300ZX TT 2seaterは、その性能面で特に注目されるべきいくつかの特徴を持っている。核心部分であるエンジンは、VG30DETT型V6 3.0リットルツインターボを搭載しており、その最大出力は300馬力、最大トルクは37.5kgmという驚異的な数値を誇る。このエンジンにより、0から100km/hへの加速はわずか5.5秒で完了し、最高速度は約250km/hに到達する。
トランスミッションは、5速マニュアルと4速オートマチックのオプションがあり、どちらも車のパフォーマンスを最大限に引き出すための設計がされている。ハンドリング面では、スーパーHICAS（ハイキャパシティアクティブリー・コントロールド・ステアリング）システムが採用され、これは車の安定性と操作性を高めるために四輪を動的に操舵する技術である。また、ブレーキシステムにはABSが標準装備され、安全性を一層強化している。
サスペンションは、前後ともに独立懸架で、特に前輪にはマルチリンク式が採用されており、精密なコーナリングと優れた乗り心地を提供する。このような機構の組み合わせにより、300ZX TTはサーキットでも日常のドライビングでも、その真価を発揮する設計となっている。
日産フェアレディZ 300ZX TTは、単なる高性能スポーツカー以上の価値を持っている。その開発過程で注ぎ込まれた技術的な努力と創造的なデザインは、自動車業界において顕著な影響を与え、他の自動車メーカーにも大きな挑戦を投げかけた。この車は、その時代のテクノロジカルな限界を押し広げ、新たなスタンダードを設定する存在となった。
更に、300ZXは日産Zシリーズの歴史の中でも、特に象徴的なモデルの一つとして記憶されている。そのスタイリッシュな外観と圧倒的な性能は今日に至るまで多くのファンを魅了し続けており、収集家や愛好家の間で高い評価を受けている。日産フェアレディZ 300ZX は、自動車の可能性を追求し続けるすべての人々にとって、永遠のインスピレーションの源である。
このように、日産フェアレディZ 300ZXは、そのパフォーマンス、革新性、そして美学が融合したモデルとして、今なお称賛される理由が十分にある。それは単なる交通手段を超えた、走る芸術品とも評される存在である。
