ゲーム後進国日本 -12ページ目

暗雲立ち込めるダウンロード販売

近年ゲーム業界で新たな販売方法として拡大しているのが、インターネットを利用したダウンロード販売だ。流通コストや製品の製造コストを無くし、小売店を必要とせず、品切れや売れ残りなどの在庫管理に悩まされることもない。ユーザーもその恩恵にあやかって安く購入でき、家にいながら発売日にすぐ利用することができる。欠点もそれなりにあるが場合によっては利点が大きく上回るだろう。実際商売としてかなり旨みがあるようで、現行機ではこのシステムを搭載していないものは無いし、PSP goに至ってはダウンロードタイトル専用だ。企業と消費者のどちらにも喜ばれるこの手法は今後ますます成長していき、販売力の無い中小メーカーや金銭的余裕の無いユーザから大きな支持を得て、ゲーム業界も活気づいていくだろう。

と、いうのは海外の話。ここで終わらせられれば良かったのだがそうもいかない。日本におけるダウンロード販売というのはお先真っ暗だ。

日本と海外のダウンロード販売を比較するにあたってSteamの例を挙げよう。SteamとはPCゲームを取り扱うダウンロード販売サイトの最大手であり、日本を含める20言語を取り扱っている。PCゲームの価格が異常な日本のユーザーには嬉しい存在だ。だがそんな、日本のゲーム業界の支配から逃れるような行為が見逃されることは無かった。

スクウェア・エニックスから発売されたPC版ラストレムナントは国産タイトル初の試みとしてSteamでも発売されたが、価格は60ドルとダウンロード販売としては異例の高さだった。と、いうのは日本の話。なんと日本以外の全ての国では40ドルで発売されたのだ。日本のゲームなのに日本人が一番不利益を被るという悲惨な話だ。値段が高いだけならまだマシな方で、物によっては日本でだけ購入すらできないというものも存在する。だがその殆どは国産タイトルでもなければ、販売会社が日本企業というわけでもない、正真正銘の洋ゲーである。日本のダウンロード販売は国内外からイジメられているのだ。

何故このような現象が起こってしまうのか?メーカーから直接、日本と海外で何故このような差が現れるのか正式なコメントを頂きたい、というか海外ならアナウンスされて当然なのだが、残念ながらそのようなコメントは一切耳にしない。ということで個人的に(例によってはっきりと断定はできないが)、代表的と言える二つの理由を挙げてみた。

1、日本のユーザはバカだからわざわざ安く売るのは勿体無いと舐められてるから
2、日本の流通業や小売業の圧力に屈したから

どちらにしろ日本が悪いことに違いはない。印象論ではあるが、日本人はこのような新しい慣習を受け入れるという能力がまるで無い。既得権益にすがり・・・という話は他所で散々やっているので止めておこう。要は日本の深い部分が原因で、ダウンロード販売のような優れたシステムを導入できないのだ。

自分の国で面白いゲームを作れないことに問題は無い。そんなゲームは買わなければいいだけの話。だが面白いゲームが満足に遊べないというのはあまりにも酷だ。我々が一体何をしたというのか?日本に生まれたことが罪だとでもいうのだろうか?

これまでこのブログでは何度も日本のゲーム関連の駄目な点を指摘してきたが、この問題は他と違い数字として、事実として、はっきりと差別されている。ゲーム王国であった日本はいつの間にか世界で一番ゲームをするのに不自由な国に成り下がってしまった。

ゲームレビュー 「デモンズソウル」

デモンズソウル

開発 フロムソフトウェア 販売元 SCE

http://www.jp.playstation.com/scej/title/demons-souls/


デモンズソウルはまさに奇跡の産物である。これほど堕落しきった日本のゲーム界において、微かな希望を見せてくれたタイトルだ。まさに太平洋戦争時の日本軍における酸素魚雷といったところか。とにかくデモンズソウルはHD機で海外のゲームと比べても全く見劣りしない唯一の国産ゲームだ。このブログの趣旨と相反する、日本のゲームらしいダメな所が全く無い傑作だ。


面白いといっても、中二病なストーリーとか、萌えキャラや美形キャラとか、自由度が無いとか、そういうのが無いから面白いという訳では無い。ゲームの基礎にある部分の出来が素晴らしいから面白いのだ。操作性やレベルデザイン、グラフィック、難易度、オンラインシステムなどが素晴らしいのだ。世界観やキャラクターが優れているのはあくまでオマケでしかない(それでも、このゲームが前述したJRPGのようなデザインだったら魅力半減だが)。


これほどの作品が作れたのは、何より日本の大多数のユーザに媚びないコンセプトであることが要因だろう。日本のユーザはこういう物を求めている、という既成概念を放棄したのだ。開発者が海外の売り上げで続編の制作を考える、とコメントしていることを考えると、日本のユーザをほぼ切り捨てたと思われる。その結果は大成功と言えるだろう。ネット上では誰もが名作と謳い、いくつものGOTYで受賞し、なんだかんだ言って切り捨てた国内での売り上げも20万本近く売れている。20万本というとバンダイナムコゲームスの作品だったら続編が5作目ぐらいまで作られるレベルだ。ドラクエ等と比べるとあまりにも寂しい数字だが、無名タイトルでヘビーゲーマーを意識した内容ならば御の字、というかこれが限界だろう。個人的にはライトゲーマーもヘビーゲーマーも楽しめるゲームに違いは無いと思っているが(どの程度の面白さで満足するかは別として)、購買意欲には大きな違いがある。デモンズソウルがいくら面白くても、ライトゲーマーの手は届かないのだ。


このゲームの成功は、日本でも外見がどうであれ面白いゲームならしっかりと評価されるという土壌を作り上げたようにも見える。しかし発売して一年以上経つが、デモンズソウルに追従しようとするゲームは未だ現れない。もちろんその判断は開発期間等を考えるとまだ時期尚早であるが、何か現れる気が全くしないのが今の日本のゲーム界である。何かあるとすれば、デモンズソウルの続編か。

ゲームレビュー 「HEAVY RAIN」

HEAVE RAIN

開発 Quantic Dream 販売元 SCEE

http://www.jp.playstation.com/scej/title/heavyrain/


個人的に期待作であったが、このゲームは正直言ってつまらなかった。ストーリーが全く変化しないゲーム構成、矛盾だらけのシナリオ、不便だらけのシステム、無数のバグとフリーズ。特にシナリオの変化が無いのには本当に参った。1週目をプレイしていた時はいくつもの分岐点があるように感じ、偶然にもベストエンディングに近い展開にたどり着いてしまったと思い込んでいたが、実際には分岐点など存在せず、数多く存在する選択肢はどれを選んでもストーリーに変化が全く現れないものだった。確かに1週目はとても楽しかったが、それは2週目3週目への期待をこめたものでもあった。


総評としては期待はずれ、佳作といったところだが、アドベンチャーゲーム(以下AVG)をリアルタイム3Dで行うという試みは素晴らしかったし、実際その試みは大成功だった。アクションシーンの演出やキャラクター達の感情の描写は素晴らしく、痛々しいシーンや極限の選択を迫られた時は、これまでにない臨場感をもたらす。この事はAVGにとって大きな革命と言えるだろう。これらの素晴らしい素材を使っているだけに、本当にこんな出来になってしまったのが惜しい。だが、まともなシナリオとある程度の分岐、相応のシステムを追加すれば傑作になるのだ。簡単に言ったがこの程度は日本の3流メーカーにも可能だ。もう殆どAVGで天下を取ったようなものである。


AVGは長らく日本の独擅場とされてきた。だがHEAVY RAINによってその牙城が崩れようとしている。このジャンルが多様化してきた時代においてHEAVY RAINをAVGとジャンル付けするのは間違ってはいるが、あくあまで方向性はAVGだ。今まで日本が静止画と文章だけで戦ってきた所にHEAVY RAINが現れたというのは、剣と弓で戦っていた所に第三の勢力が戦車で攻めてきたようなものだ(シナリオという主砲は積んでいなかったが)。いかなるジャンルであっても技術の高さを見せつけ、新たな境地を開拓する海外メーカーは本当に素晴らしい。こうなると日本の得意なジャンルというのは無いと言っても問題ないだろう。