黒い羽根 -35ページ目


「彼」は近くのビジネスホテルに泊まると言った


「私」はここに泊まればいいと言った


「彼」はそれは出来ないと言った


「私」はそんな勿体無いことするなと言った


そんなやりとりを繰り返した後


「彼」は仕方なさそうに 「お願いします」と言った



たくさん抵抗してくれて良かった


これで悪いのは「私」だけ






「彼」が「私」の部屋に来るのは2度目




1度目は一緒に働いている頃に




何人かで遊びに来たことがある




「彼」はその時の事を懐かしいと言った




「私」にとってはつい先日の事のよう






お酒は時間も忘れさせてくれる 便利な水




終電の時間を確認出来る程度に酔う「彼」に




時間を忘れさせてくれる




「私」も酔ったふりをしながら




白々しく




「・・・終電行っちゃったかも・・・」






学芸会よりひどい演技









「彼」はお酒が好き


飲む事はもちろんで


珍しいお酒と聞くとまずくても飲むくらい


たわいも無い事に思えるけれど


「私」にとってこれほどありがたいものはない


簡単に 「彼」を自分のテリトリーに連れてこれる


魔法の水


「珍しいお酒があるから 来ない?」


この一言でいいのだから