初めて私が美容師の仕事に就いた頃は、まだまだ徒弟制度が色濃く残り先生たちと寝食を共にすることに何の抵抗も感じていなかった。私自身、小さな頃から従業員のお兄ちゃんや、お姉ちゃんのいる、大家族で育ってきたのだから美容師を目指す以上、住み込みはあたりまえ。
初めて他人の釜の飯を食う・・・覚悟はできていた。
自然に受け入れた環境に 戸惑う予定なんてこれっぽっちも
なかった。
習う?学ぶ?
次々に受けることになるにショックは、
その先生方の毎日の暮らしから始まった。
食事のときに使うお箸、お椀、皿、全てが華やいでいて、
料理が運ばれる以前に、すでにデザインがソンザイしていた。
「アート ドゥ ヴィヴル」 アートのある暮らし。
そんなフランス風が身についた恩師のライフスタイル。
このシーンが、私の中で眠っていた何かを目覚めさせた。
新しい感覚でないことは懐かしい記憶で感じ取れる。
(この懐かしい記憶の感覚が今世でないことも・・・)
ここで、吸い取るように、つぎつぎと美しいものに触れてゆくチャンスに巡り合ったのだ。
「高価なもんやさかい、気ぃつけてや」
やんわり京都弁で言われたその一言で、
現実に引き戻される。
まだ若くて幼く、お金の話をする品のない恩師にがっかりしたことを今でも覚えている。
愛でること。
そのものたちに思いを馳せること、
イメージの取り込み方を身に着ける為の毎日のレッスンであることに気がついたのはずいぶん後になってから。
それがひとつの授業であった事を理解した。
私のアンティ-クを購入する条件は使えること。
普段私が使っているコバルトブルーのプレストグラスをこの映画の中で見つけた。
朝ごはんのシーンでオレンジジュースが注がれていた。
同じように使っていたので、映画のおかしさも手伝ってなんだか楽しくなった。
タイトルは: 恋する人魚たち(字幕スーパー版)
1960年代の音楽と、ファッションや小さなディテールが60年代な所を見るとこのグラスも1960年生まれかな?
アンティークとはいえないかもしれないけれど水玉仕上げが好きな私のお気に入りの一品。