約20人いる小学生から高校生のクローバーの子たち。
その中には、家庭に複雑な問題があり、
つらい幼少期を過ごしてきた子たちがいます。
今回は、
最近話題の「愛着障害」について考えてみます。
子どもは、
お母さんのお腹に入っているときから、
親の愛をもらって育っていきます。
「胎教のために」と、
癒しの音楽を聴いたり、
優しく話しかけたりするのは、
よくありますよね。
逆に、
乱暴な言動が当たり前の環境の中では、
お腹の中の赤ちゃんにも乱暴な言動が伝わってしまうし、
お母さんのストレスや悲しみも赤ちゃんに伝わってしまいます。
生まれてから3〜5歳までで、
人格が形成されます。
親や周りの大人から適切に育てられたかどうかは、
子どもの成長に大きく影響します。
暴力やネグレクト(子育て放棄)だけでなく、
厳しいしつけやバカにするような言葉かけでも、
子どもの心に大きな傷をつけてしまいます。
「しつけだから」と厳しくしている家庭の場合、
子どもは、常に親の顔色をうかがい、
親の大きな声を聞いて、
ビクッとなって萎縮します。
何でも我慢をしてしまい、
自分の気持ちを言えずにいたり、
逆に、
人のものを欲しがったりする子もいます。
小さい頃からチックが出る子もいます。
よかれと思って育てていても、
実は子どもにとって「心理的虐待」になっているというケースが意外によくあるのです。
愛着障害は、
「身体的虐待」だけでなく、
「心理的虐待」でも起こり得るということです。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240721/13/gakushuclover/d9/ce/j/o0640036015465619145.jpg?caw=800)
愛着障害には、2つのタイプがあります。
(参照DSM-5)
①反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)
「自分の存在価値」が分からなくなり、他人を信じられず頼れない、自分や他人を攻撃する、自分の評価が低い、感情を出せない。
②脱却制型愛着障害(脱却制性対人交流障害)
自分が示す愛着の範囲が分からず、知らない人まで広範囲に愛着を求める。
適切な養育を受けて育てられなかった子でも、
あとから愛着形成のやり直しはできます。
それでも、
愛着障害はなかなか難しい問題で、
愛着形成のやり直しができずにいると、
大人になってから精神疾患になってしまいます。
不登校になる子も多いです。
愛着障害と発達障害の関係について考えてみましょう。
『子ども虐待という第四の発達障害』(杉山登志郎著)ではこう述べられています。
虐待された子どもたちは心だけでなく、脳の発達にも障害が生じる。そして自閉症などと極めて似た症状や問題行動に苦しむ。
子どもに見られる行動が、
「愛着障害」が原因なのか
「発達障害」が原因なのか
この見極めはとても難しいですし、
対応が違ってきます。
「子どもの精神状態によって、
能力が上がったり下がったりする」
ということを以前ブログでお話しました。
心にダメージを受けた状態だと、
できることができなくなったり、
怒りっぽくなったり、
落ち込んだり…
子どもの行動にあらわれてきます。
「心」が与える影響は、
本当に大きいのです。
問題となっている行動の原因が
「愛着障害」だけ
「発達障害」だけ
ということはなく、
両方が関係していることがほとんどです。
だから、
「この子は愛着障害の対応をしなきゃ」
と一つの選択をせずに、
「これは発達障害による行動だな」
と思ったら、発達障害の対応をしています。
心の問題は幼少期だけではなく、
学校で受けた心の傷も影響してきます。
![しょんぼり](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/076.png)
![ぐすん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/061.png)
など、いろいろな場合が考えられます。
大人の社会でもそうですよね?
叱られてばかりの職場は、やる気が起きません。
人のことをねたみ、さげすみ、
攻撃的な言動が増えていきます。
失敗して叱られることをおそれて、
チャレンジしなくなります。
気持ちが暗くなって、鬱っぽくなっていきます。
一方、
あたたかい職場は楽しく仕事ができます。
認められたりほめられたりして、
やる気もアップして、
効率よく仕事ができます。
子どもも同じで、
育つ環境が大きく影響するのです。
子ども健やかに成長するには、
「自分らしく」「生き生き」と過ごせる環境が
大切になってきます。
そして、
「愛着障害」
「発達障害」
言葉だけにこだわリすぎるとよくありません。
今、目の前にいる「子ども」をよく見て、
その子に何が必要なのかを考えていけばよいのです。
適切な関わりができたかどうか、
子どもの反応を見れば分かります。
子どもに対しても、
大人に対しても、
結局は同じです。
心にゆとりをもち、
穏やかに、優しく、思いやりをもって
人と関わること。
それが1番大切です