SONYのZV-1は、VLOGCAMシリーズの1号機として2020年5月に発売された動画重視のコンパクトデジタルカメラである.3年後の2023年5月にはズームレンズをより広角域に振ったZV-1M2にモデルチェンジしてVLOGCAMとしての役割は終わったが、2026年になっても流通在庫が断続的に価格.comにリストされて黒と白のバリエーションのうち白なら買える状態が続いている.
実はZV-1にはもう一つ裏の顔がある.1型の高級コンデジCybershot DSC-RX100M5Aのエッセンスである24-70mm F1.8~2.8の明るいズームレンズと積層型Exmor RSセンサーを受け継ぎながら、10万円を切る価格で買える高コストパフォーマンス静止画機という顔である.RXシリーズの最新型であるRX100M7は200ミリまでの望遠を手に入れたのと引き換えにF2.8~4.5とレンズが暗くなってしまったので、RX100M5Aは初代RX100以来のコンセプトを受け継ぐ最後の機種といっていい.その廉価版なら静止画派からも注目されるのは当然といえよう.
ただ、ZV-1の仕様には一か所不思議な点がある.同じ24~70mm相当のズームレンズでありながら、実焦点距離はM5Aの 8.8~25.7mm に対して、ZV-1は9.4~25.7mmと広角端が長くなっている.もしM5Aのレンズが正しく24~70mm相当ならば、ZV-1は26~70mm相当のはずだ.なぜか.Microsoftが提供する生成AIのCopilotに訊くとZV-1のレンズは動画撮影時の画質を重視して歪曲収差が低減されているという.ではレンズが再設計されたのか?仕様を見るとどちらも9群10枚で、AAレンズ3枚を含む非球面レンズが9枚と構成は同じ.設計に手が入っていたとしても微調整のみだ.もしかして広角端を制限したことが歪曲収差対策の実態なのかもしれない.
ZV-1のレンズ歪曲収差はどの程度のものなのか?JPG画像だけでなく背面の液晶モニターで見ても、ソニー提供のRAW画像現像ソフトで見ても自動補正されてしまい、歪みを意識することはないのだが、RAW画像をWindows付属の”フォト”アプリケーションで開くと、補正前の画像が見える.次の画像は補正前と補正後の比較である.
写真1、2.左は広角端24mmでのRAW画像、右は補正後のjpg画像.
写真3、4. 左は中間38mmでのRAW画像、右は補正後のjpg画像.
写真5、6.左は望遠端70mmでのRAW画像、右は補正後のjpg画像.
以上の写真より:
1.広角端24mm相当のときの歪曲収差は強い樽型で目の子で1割くらいあるが、ズームするにつれて小さくなり望遠端
70mmではほぼゼロになる.
2.jpg画像では、水平線はほぼ完ぺきに補正されているが、広角側では垂直線にひずみが残っている.
3.広角側では、特に最も補正を必要とする画面左右がトリミングされているが、ズームするにつれてトリミングの度合い
は減る.
ということが読み取れる.樽型の補正では、周辺を引き延ばすため有効画素数が減る.センサーが1型と小さいことも併せて、2千万画素の実力はないといっていい.α7CM2の画素ピッチが5.1μmなのに対してZV-1は半分以下の2.4μmである.5百万画素モードにすれば4.8μm相当となるからそういう使い方をしたらどうか.











