カメラの話が続くが、いまフィルムカメラの決着をつけるため、いろいろな機材で試し撮りをしているのでお付き合いいただきたい.今回はコンパクトカメラRollei 35とニコンFマウント用の標準レンズ Zeiss Planar T* 1,4/50 ZF.2の試し撮りである.

 

Rollei 35の外観は前の記事に乗せたが、西ドイツのローライ社が1967年から製造したフルマニュアルのフィルムコンパクトカメラだ.レンズはツアイス設計の沈胴テッサー 40mm F3.5 (3群4枚)である.レンズは普段引っ込んでいて、撮影するときに手で引き延ばす.撮ったらシャッターチャージしないと引っ込まない.つまり仕舞っているときは常時シャッターがチャージされている.他にもパトローネを普通のカメラの逆向き(裏から見て右側)に装填して左に巻き取るのでネガの画像が天地逆だし、ストロボのホットシューは底面にある.軍艦部に外光式追針連動露出計が搭載されているので、まずこれを使って露出を決定したのち、ファインダーをのぞいて構図を決めるという、当時では普通の撮影手順だ.ピントは目測式.

 

1974年には マイナーチェンジで Rollei 35 S という明るいゾナー 40mm F2.8(4群5枚)のレンズを付けた上位機種が出て、テッサーを搭載したモデルは改めて Rollei 35 T と呼ばれるようになった.さらに1979年には露出計がファインダー内LEDになった Rollei 35 TE/SEにチェンジした. いったん終了したが、1991年にはRollei 35 Sの復刻版としてRollei 35 Classicが再発売された. 

 

試し撮りした Tessor の画像は写真1~3のとおり.コントラストが強く独特のシャープさがある.また、コンパクトカメラには珍しく周辺減光が気にならない.暗箱が広くとられているからだそうだ.

 

写真1.Rollei 35の作例1.

 

写真2.Rollei 35の作例2.

 

写真3.Rollei35の作例3.

 

Carl Zeiss の Planar はフィルムカメラ時代大口径標準レンズで良く使われた7群6枚のダブルガウス型レンズで、像の平面性が高いことからツアイスではプラナーという愛称で呼んだ.このレンズは2010年に発売されたコシナ製.Ai AF Nikkor 50mm 1:1.4Dより一回り大型で330gと重い.そのためか後玉の直径が大きく、こちらも開放での周辺減光が抑えられている.F1.4では極めてソフト、F4以上ではシャープに写るという味を楽しむレンズだそうだ.写真4~6を見てほしい.

 

写真4.Planar 1,4/50 ZF.2 の作例1.

 

写真5.Planar 1,4/50 ZF.2 の作例2.

 

写真5は開放で撮った.こういう写真が撮りたい人には向いている.写真6は普通に絞ったスナップ写真で、こういう写真ならわざわざこのレンズを持ち出すまでもない.参考のためにレンタルしたレンズだから明日には返却する.

 

写真6.Planar 1,4/50 ZF.2 の作例3.

 

 

4台のカメラの内蔵露出計と、iPhoneの”アナログ露出計”というアプリを比べた.

 

被写体は写真1に示したようなチャートとその周りの壁である.フレーミングは厳密ではないが、多少カメラを振ったり前後させてみても各カメラの露出計の指示値が変わらないことは確かめてある.レンズ交換式の3台、Sony α7CR、Nikon F3、Leica M6 は50mmレンズを使った.コンパクトカメラのRollei 35は40mmレンズである.感度をISO100に、シャッター速度を1/30秒に揃え、適正露出になる絞り値を読み取った.

 

詳しく言うと、α7CRでは絞り優先AEモードにして、シャッター速度が1/30秒になるよう絞りを調整した.F3とM6はマニュアル露出だが定点連動式露出計を内蔵しており、ファインダーをのぞいて、F3では + と - の両方の文字が、M6では▶と◀の両方のLEDが点灯するように絞りとシャッター速度を調整する.Rollei 35もマニュアルだが露出計は追針連動式であり、読み取り精度は他のカメラより劣る.本来の水銀電池H-Dの1.35Vより電圧の高い1.5V互換アルカリ電池を入れてあるので、針が良く振れるから高めのEV値を指示するはずである(信じると露出アンダーになる).

 

写真1.露出補正しないのでグレーに写る.

 

その結果は表1のとおり.Sony α7CR、Nikon F3、Rollei 35は±1/3EVの範囲に収まった.α7CRのAPO-LANTHAR 50mm F2は絞りのクリックが1/3段だが、M6のズミクロンM 50mmは半絞り刻み、F3のニッコール 50mm 1:1.8レンズは1絞り刻みなので、1/3段くらいのずれは避けられない.Rollei 35が適正露出を指示したのは、個体差や経年変化の混じった偶然だろう.

 

表1.各カメラの露出計が指示した絞り値.

 

Leica M6は2/3~1だけ低いEV値を指示した.信じると2/3~1段露出オーバーになるので、感度の設定をその分だけ上げる、つまりフィルムがISO100だったら160か200に設定すればよい.前の記事で4/3段オーバーとしたのは不正確であった.

 

内蔵露出計が故障したら単体露出計を使えば使えばよいのだが、スマートフォンの露出計アプリでよいそうだ.それでiPhoneの”アナログ露出計”という無料のアプリを試したのだが、5/3~2段もオーバーになる露出を指示した.使い方を間違えたのかも知れない.別のアプリを試そう.

 

 

露出計の指示通りに撮影すると露出オーバーになる件、感度を4/3段高く設定する、すなわちフィルムの感度が400ならM6背面の感度設定ダイヤルを1,000に合わせて撮影すれば適正露出になることを確かめた.写真1,2がその画像である.

 

写真1.GooPassから借りたニコンF3を返却する.

 

写真2.名前のわからない植物.

 

これは故障というよりは露出計の校正の範囲内であり、ライカカメラジャパンのサービスに持っていってもゲインを調整するだけだろうから、すぐ修理に出すのはやめにした.

 

また、ニコンF3にAi AF Nikkor 50mm 1:1.8 Dを付けて撮ったところ、写真3のように良好な画像が得られたので、F3に付属してきた Ai-S Nikkor 50mm 1:1.4 の色味が僕の好みに合わないのだろう.

 

写真3.この質感が好き.

 

また、H-D電池互換のアルカリ電池 GoldenPower製の625GH が届いたので、Rollei 35 (写真4)に入れたところ露出計の針は正常に振れた.電圧が水銀電池より高いのでこちらも露出計を校正しなければならないのだが、ニコンF3やソニーα7CRと比べたところ、無補正で1/3EV以内のばらつきに収まることがわかった.

 

写真4.Rollei 35 (Singapore)の外観.

 

つまり往時とまったく変わらず普通に使えるので、明日から試し撮りする予定.ちなみに写真4はデジタルのα7CRによる画像であり、写真1~3と比べると色が濃い.