私は今、ポスト・コロニアリズムの一つのスタンダードと考えられるThe Empire Writes Backを拾い読みしている。

The Empire Writes Back: Theory and Practice in Post-Colonial Literatures (New Accents) Bill Ashcroft、Gareth Griffiths、 Helen Tiffin (ペーパーバック - 2002/7)

まだ、全部を読んでいないので、また、余裕がないので、まとまった考察はできないが、感想を一言いうと、納得する考察がきわめて多いということである。
 ファンタジーでさえ、単なる空想の産物ではなく、社会、歴史、政治等と関わっているのが確認されるのであるから、本書で説かれる、文学作品における帝国主義や植民地主義の力学は当然であると言えよう。
 私が興味をもっているのは、父権制と帝国主義の関係力学、そして、ポスト・コロニアリズムとフェミニズム(又はジェンダー論)の関係である。
 文章は言い回しが少し複雑で分かりにくい傾向がある。もっとも、意味は鮮明であるが。
 また、私は現代日本はほとんど米国の植民地に近いと思っているので、このポスト・コロニアリズムの視点を単に、文化だけではなく、社会に適用可能であると感じている。
 思うに、ポスト・コロニアルな視点とは決して、奇抜なものではなく、考える人ならば、常識的にもつものだと思う。言い換えると、現実を見つめる人は、自然にポスト・コロニアルな思考をもつだろう。
 今はここで留める。

参考:

ポストコロニアル理論

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ポストコロニアル理論 : Postcolonialismポストコロニアリズムポストコロニアル批評ともよばれる)は、狭義には文芸批評 の理論である。植民地主義帝国主義 に関わる文化歴史 などを広範囲に取り扱い、批評 、評論していくが、多岐にわたる方法論問題意識 の集合体であり、一つの運動ではない。略称はポスコロ

概要

20世紀 後半、第二次世界大戦 後、世界が脱植民地化 時代に突入すると、それまで植民地 だった地域は次々に独立を果たしたが、こうした旧植民地に残る様々な課題を把握するために始まった文化研究 がポストコロニアリズムである。ポストコロニアリズムの旗手エドワード・サイード が著した『オリエンタリズム 』(1978年)の視点がポストコロニアル理論を確立した。

例えば、ヨーロッパで書かれた小説に、アジア・アフリカなど植民地の国々がどのように描かれているか[1] 、あるいは旧植民地の国々の文学ではどのように旧宗主国 が描かれているか、旧植民地の文化がいかに抑圧されてきたかといった視点で研究する。一般に、旧植民地と旧宗主国またはその他の国との関係性に着目し、西欧 中心史観への疑問を投げかけ、旧植民地文化の再評価のみならず、西欧の文化を問い直す視座を提供する。日本 の場合、ヨーロッパとの関係、アジアの植民地との関係においても考察の対象になる。

 今日では、西欧世界の他者理解を批判するためのみならず、自国の他者理解にも通じる視点をもった、文学および思想の分析、メディアに対する分析、さらにフェミニズムからの分析などが行われている[2] [3] [4]

関連人物

脚注

  1. ^ 例えばジョゼフ・コンラッド の『闇の奥 』(1899年 )は啓蒙 の仮面をかぶった帝国主義 を批判しながらも文明野蛮 の二分法を引きずっており文化相対主義 とは隔たりがある。
  2. ^ 菊地夏野 『ポストコロニアリズムとジェンダー』 青弓社 、2010年4月。ISBN 978-4-7872-3313-4
  3. ^ サンドラ・ハーディング 『科学と社会的不平等 フェミニズム、ポストコロニアリズムからの科学批判』 森永康子 訳、北大路書房 、2009年5月。ISBN 978-4-7628-2678-8
  4. ^ トリン・T・ミンハ女性・ネイティヴ・他者 ポストコロニアリズムとフェミニズム竹村和子 訳、岩波書店 、1995年8月25日。ISBN 4-00-002950-9

参考文献

関連項目


ポストコロニアリズム【ぽすところにありずむ】

     
http://kotobank.jp/word/%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0

ポスト・コロニアリズム


  • 文字どおりには「植民地主義の後続形態」という意味。
  • 現在においては経済力や軍事力による露骨な植民地支配は影を潜めているが,文化という面での支配は依然として続いている。
    • ポストコロニアリズムは、この現状を重視し、文化による帝国主義的支配の戦略をあばきだして克服しようとする。
    • 近代の帝国主義は,「国民国家 」の理念を掲げてきたために,宗主国は植民地の異民族や異文化にも自分たちの言語や文化を押しつけ,それに同化させようとする文化支配の傾向を持っている。
  • ポスト・コロニアリズムが提唱する抵抗の戦略は,「多文化主義」
    • ポスト・コロニアリズムは,社会や文化を単一な民族と共通の言語に基づく一元的なものとみなす従来の見方を批判して,多様性と重層性を強調する。
    • 社会や文化は「混血=雑種(ハイブリッド)化」によってこそダイナミックに変化していく。
    • その好例が「クレオール 」現象である。
  • 「クレオール」
    • 土着民が枯民地などの外来の移住民とコミュニケーションする必要から生まれる「急場しのぎの混成語」だが,これも時間がたつうちに,語彙が豊富になり,普通の「自然言語」と変わらなくなる。
    • この事実は,国民国家 を支えるとされる言語のアイデンティティーが,長い時間の尺度でみれば相対的なものにすぎず,複数の言語の相互作用から生じてくることを示している。
  • 社会の「混血=雑種性」を問題にしようとすれば,一つの社会における人種やエスニシティジェンダー の差別も問題にせざるをえない。ポスト・コロニアリズムの形成に重要な貢献をしたイギリスのカルチュラル・スタディーズ は,アルチュセールグラムシ の影響のもとにフェミニズム やサブカルチャー研究に関心を示すようになっていたが,これが多民族国家のアメリカやオーストラリアに移入され,エスニシティやジェンダーヘの関心が高まった。
  • スピヴァクは,インドの「寡婦殉死 」をめぐる西洋の男性とインドの男性の議論において,当の女性たちが沈黙を強いられていたことに注目し,女性や黒人といった植民地の最下層にいる言語を奪われてきた人びと(サバルタン )の存在を強調した。
  • 「グローバリゼーション」によって,世界の文化が均質化し,従来の国民国家の理念が破綻している現在,多文化主義に基づく共同体の可能性を模索するポスト・コロニアリズムの試みは,重要な意味をもっている。






http://note.masm.jp/%A5%DD%A5%B9%A5%C8%A1%A6%A5%B3%A5%ED%A5%CB%A5%A2%A5%EA%A5%BA%A5%E0/

ポストコロニアリズム
本橋哲也著
(新赤版928)

 
 

   
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn0501/sin_k212.html

ポストコロニアリズムのアイデンティティ概念の拡大