455「 ハクソー・リッジ」→殺すことなかれ | 映画横丁758番地

映画横丁758番地

生きているうちに一度は(何度でも)観ておきたい映画について、変幻自在・巧拙緻雑・玉石混淆で書いています。

日本の真珠湾奇襲で始まった太平洋戦争(1941-1945年)の

沖縄戦に衛生兵として従軍した人物の実体験に基づいて

描かれた作品です。

物語の大筋は以下の通り。

~ある日のこと、喧嘩で兄を死なせそうになる出来事が

  あって、そのことに大きな自責の念を抱くようになった

  主人公は、これ以後「汝、殺すことなかれ」とする神の

  教えに沿って生きることを決意しました。

  ところが、戦時(第二次世界大戦)を迎え、主人公も

  陸軍に志願したのですが、敵兵を殺すことを最大の

  任務とする兵士の立場と、「殺すなかれ」の信条は

  まったくの「二律背反」です。

  しかし、彼は、期待されている「敵将兵を殺すべく兵士」

  としてではなく、「味方将兵の命を救う兵士(衛生兵)」

  として従軍することで、自らの愛国心を貫こうとしました~

 

「良心的兵役拒否者(Conscientious objector)」という言葉を

本作品で初めて知りました。

戦争を否定する教理上の理由で「兵役拒否」をする信者

などがそれに該当するようで、第二次世界大戦では、

全米でその数1万2千人に及んだとされています。

では、「兵役拒否」すれば一件落着かと言えば、決して

そんなわけでもなく、その代わりの業務「市民公共

サービス /CPS」に従事し、政府に協力することで、国民の

義務を果たす仕組みになっていたようです。

 

その意味では、「良心的兵役拒否者が戦地に赴いた」

という事実は、とてつもなく異色の出来事存在だったのかも

しれません。

 

ちなみに、タイトルの「ハクソー・リッジ」(Hacksaw Ridge)とは、

150メートルもある絶壁の上に構えた日本軍陣地を、

米軍側が<弓鋸 (Hacksaw) のような崖地 (HaRidge)>

呼んだことに由来しているとのことです。

 

***************************************

「ハクソー・リッジ」 2016年 監督:メル・ギブソン  

***************************************

                   

   アンドリュー・ガーフィールド

 

「良心的兵役拒否者」の立場を貫く主人公である衛生兵を

2010年「ソーシャル・ネットワーク」(監督:デヴィッド・フィンチャー)

2016年「沈黙-サイレンス」(監督:マーティン・スコセッシ)

などのアンドリュー・ガーフィールド/が務めました。

 

その上官である軍曹を、

1997年「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」

     (監督:スティヴン・スピルバーグ)

2007年「イントゥ・ザ・ワイルド」(監督:ショーン・ペン)

などのヴィンス・ヴォーン/

 

さらには、その上官である大尉を

2012年「崖っぷちの男」(監督:アスガー・レス)

などのサム・ワーシントン/

 

監督は、

1995年「ブレイブハート」(主演:メル・ギブソン)で

AW監督賞に輝いたメル・ギブソン/で、実は本作でも

アカデミー監督賞にノミネートされましたが、今回は

受賞を逃しています。

 

 

アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。

お立ち寄り記念に→ にほんブログ村 映画ブログへ ←クリックもよろしく!

              にほんブログ村