日本の真珠湾奇襲で始まった太平洋戦争(1941-1945年)の
沖縄戦に衛生兵として従軍した人物の実体験に基づいて
描かれた作品です。
物語の大筋は以下の通り。
~ある日のこと、喧嘩で兄を死なせそうになる出来事が
あって、そのことに大きな自責の念を抱くようになった
主人公は、これ以後「汝、殺すことなかれ」とする神の
教えに沿って生きることを決意しました。
ところが、戦時(第二次世界大戦)を迎え、主人公も
陸軍に志願したのですが、敵兵を殺すことを最大の
任務とする兵士の立場と、「殺すなかれ」の信条は
まったくの「二律背反」です。
しかし、彼は、期待されている「敵将兵を殺すべく兵士」
としてではなく、「味方将兵の命を救う兵士(衛生兵)」
として従軍することで、自らの愛国心を貫こうとしました~
「良心的兵役拒否者(Conscientious objector)」という言葉を
本作品で初めて知りました。
戦争を否定する教理上の理由で「兵役拒否」をする信者
などがそれに該当するようで、第二次世界大戦では、
全米でその数1万2千人に及んだとされています。
では、「兵役拒否」すれば一件落着かと言えば、決して
そんなわけでもなく、その代わりの業務「市民公共
サービス /CPS」に従事し、政府に協力することで、国民の
義務を果たす仕組みになっていたようです。
その意味では、「良心的兵役拒否者が戦地に赴いた」
という事実は、とてつもなく異色の出来事存在だったのかも
しれません。
ちなみに、タイトルの「ハクソー・リッジ」(Hacksaw Ridge)とは、
150メートルもある絶壁の上に構えた日本軍陣地を、
米軍側が<弓鋸 (Hacksaw) のような崖地 (HaRidge)>と
呼んだことに由来しているとのことです。
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「ハクソー・リッジ」 2016年 監督:メル・ギブソン
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アンドリュー・ガーフィールド
「良心的兵役拒否者」の立場を貫く主人公である衛生兵を
2010年「ソーシャル・ネットワーク」(監督:デヴィッド・フィンチャー)
2016年「沈黙-サイレンス」(監督:マーティン・スコセッシ)
などのアンドリュー・ガーフィールド/が務めました。
その上官である軍曹を、
1997年「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」
(監督:スティヴン・スピルバーグ)
2007年「イントゥ・ザ・ワイルド」(監督:ショーン・ペン)
などのヴィンス・ヴォーン/
さらには、その上官である大尉を
2012年「崖っぷちの男」(監督:アスガー・レス)
などのサム・ワーシントン/
監督は、
1995年「ブレイブハート」(主演:メル・ギブソン)で
AW監督賞に輝いたメル・ギブソン/で、実は本作でも
アカデミー監督賞にノミネートされましたが、今回は
受賞を逃しています。
アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。
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