実在したアントリー歌手ジョニー・キャッシュ(1932-2003年)の
伝記映画ともいうべき作品です。
後にはそれこそ偉大な歌手として絶大な評価を受けることになる
このキャッシュも、若い頃にはそれなりの「寄り道」を味わっています。
1950年代後期に頭角を現したものの、飲酒癖や薬物中毒など、
あまり感心できない方向にも走り、友人などからも「変人扱い」を
されたこともあったようです。
もっとも本人は、その点に頓着する気持ちは希薄だったようで、後に
公開の席で「薬物は全部試してみたさ」と語ったそうですから、
ある意味でかなり「豪胆な人物」だったのかもしれません。
心を寄せた女性を「妻」にするまでに、なんと40回ものプロポーズを
繰り返したそうですから、これも並みではありません。
大方の者はプロポーズも大体39回も断られれば、さすがに諦める
ところですが、それを成し遂げたのですから、この点でも大人物
あるいはある種の奇人・変人と言えるのかもしれません。
その「妻」になる女性も、本作には登場しています。
登場どころか、演じた女優リース・ウィザースプーンはこの役で
アカデミー主演女優賞に輝きました。
キャッシュの全盛期のステージについては、あまりよく知りませんが、
その歌声・動く容姿はTVドラマの人気シリーズ「刑事コロンボ」でも
確認することができます。
1974年「白鳥の歌」がそれで、この回の犯人役は当然キャッシュが
演じています。
契約にがんじがらめにされ、そこから抜け出そうとするカントリー歌手の
役柄でした。
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「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」 2005年
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監督:ジェームズ・マンゴールド
(左)映画のジュニーキャッシュ(ホアキンフェニックス)と
妻:ジューン(リース・ウィザースプーン)
(右)ジョニーキャッシュ本人と妻のジューン本人
本作ではこのジョニー・キャッシュをホアキン・フェニックスが演じ、
妻のジューンを前出の通りリース・ウィザースプーンが演じました。
ジョニーの父親役を、1991年「ターミネーター2」で不死身のアンドロイド
「T-1000」役で強烈な印象を残したロバート・パトリックが演じています。
優秀な長男を可愛がっていたものの、悲惨な事故で亡くしたことで
ジョニーとの間には溝ができてしまった父親像でした。
ちなみに、パトリックは1959年生まれとのことですから、「T-1000」を
演じた頃は、バリバリの30歳代で、本作ではそれから20年経って、
立派な?中年に差し掛かっています。
蛇足ですが、後に人気TVシリーズの「Xファイル」にも加わり、
主役であったデヴィッド・ドゥカヴニー(モルダー捜査官役)降板後の
後継捜査官ジョン・ドゲット役を演じています。
アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。
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