映画横丁758番地

映画横丁758番地

生きているうちに一度は(何度でも)観ておきたい映画について、変幻自在・巧拙緻雑・玉石混淆で書いています。

アンティークな映画が多くて恐縮至極でございます


本作の主人公である「ココ・シャネル」について追ってみると、こんな案内に

なっていました。

~ココ・シャネル(Coco Chanel/1883-1971年)は、フランスの

 ファッション・デザイナー、企業家。

 彼女が創設したシャネルブランドは世界有数のファッションブランドとして

 現在も営業している~

 

「現代人の常識」とまでは言い切れませんが、ファッションに疎い筆者でも、

ある程度は承知していることです。

ではタイトルになっている『ココ・アヴァン・シャネル』(Coco avant Chanel)の

「アヴァン」(avant )って何?

 

いわゆるミドルネームにあたるものかとおもって、念のために調べてみると、

出生名はガブリエル・シャネル(Gabrielle Chasnel)または

ガブリエル・ボヌール・シャネル(Gabrielle Bonheur Chanel)となっており、

「アヴァン」(avant )はどこにもありません。

 

そこで、しつこく追跡すると、こんな説明に遭遇しました。

~「アヴァン」(avant)は、フランス語で「前に」や「以前に」という意味です。

 ですから、この映画タイトルは、シャネル(ココ・シャネル)がファッション界で

 有名になる前、つまり彼女がまだ無名であった時代の人生を描いていることを

 示しています。 また映画では、彼女が成功する前の生活やキャリアの初期段階が

 中心に描かれています~

 

なるほどと思いきや、今度はこんな疑問です。

~出生名(本名)は、ガブリエル(Gabrielle)とか、ガブリエル・ボヌール

 (Gabrielle Bonheur)だとされているのに、だったら「ココ」(Coco)って?~

 

この疑問に対してはこんな回答が。

~「ココ・シャネル」の「ココ」は本名ではありません。

 「ココ」という名前は彼女の愛称で、シャネルが若い頃にキャバレーで歌手を

 していた際に使われたニックネームです。

 この愛称にはいくつかの由来説がありますが、彼女が歌っていた歌の一つ

 「Qui qu'a vu Coco?」から来ているとも言われています~

 

そして、その「半生」にはこんな経歴も刻んでします。

~シャネルは、第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるフランス占領の間

 (1940-1944年)、ドイツの外交官かつ諜報員であった男爵と不倫し、

 ドイツ当局に協力的な姿勢を取っていた。

 ドイツの敗北後、「裏切者」たちが枢軸国に対する協力者として訴追される中、

 シャネルは愛人の男爵とともにスイスに亡命し処罰を免れたが、

 この対独協力行為と亡命は彼女の評価に影響を与えているだけでなく、

 しばしば批判の対象となっている~

 

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「ココ・アヴァン・シャネル」 2009年 監督:アンヌ・フォンテーヌ/  

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  オドレイ・トトゥ/

 

ココ・シャネルを演じるのは、

2001年『アメリ』(監督:ジャン=ピエール・ジュネ/)

の宣伝ポスターの風貌で強烈な印象を放ったオドレイ・トトゥ/

2006年『ダ・ヴィンチ・コード』(監督:ロン・ハワード/)

では、トム・ハンクス/イアン・マッケラン/ジャン・レノ/ら、名だたる

名男優と堂々たる共演を果たしています。

 

この他の出演者には、ブノワ・ポールヴードルサレサンドロ・ニヴォラ

マリー・ジランエマニュエル・ドゥヴォス/らの名が挙げられていますが、

筆者自身はよく承知していません。

 

監督は、ルクセンブルグ生まれの女性監督であるアンヌ・フォンテーヌ/が

務めましたが、筆者はこちらについても寡聞にして存じません。

 

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原題は「The Horse Whisperer」となっていて、単語を拾うなら

「Horse」(ホース)が馬で続く「Whisperer」(ウィスパラー)とは

こんな説明になっています。~動物と心が通じ合う人~

ですから、この場合は~馬と心が通じ合う人~くらいの意味合いに

なるのでしょう。

 

好きだった乗馬中に、思わぬ落馬事故を引き起こし、そのため片足を

切断した娘と、事故のショックで暴れ馬になってしまった娘の愛馬を

立ち直らせようと、母親は馬を癒す能力(ホース・ウィスパラー)を

備えたとあるカウボーイを訪ねます。

 

当初は断っていたカウボーイも、母親の必死な懇願を受けて、娘が

全面的に協力するならばという条件つきで、いわば「動物心療」というか、

心に傷を負った愛馬の治療を引き受けることに。

 

モンタナの大自然の中で、カウボーイは自然に逆らわない優しく誠実な

治療法により、愛馬を徐々に回復させていきます。

それに伴って娘も次第に笑顔を取り戻していき、さらには母親自身が

カウボーイに、またカウボーイも母親に対して心を惹かれ始めるのでした。

 

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「モンタナの風に抱かれて」 1998年 監督:ロバート・レッドフォード/  

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 ロバート・レッドフォード/スカーレット・ヨハンソン/

 

出演は、その「Horse Whisperer」のカウボーイに、

1976年『大統領の陰謀』(監督:アラン・J・パクラ/)

などのロバート・レッドフォード

 

娘の立ち直りに力を注ぐ母親に、

1996年『イングリッシュ・ペイシェント』(監督:アンソニー・ミンゲラ/)

で、AW主演女優賞にノミネートされたクリスティン・スコット・トーマス

 

その夫役には、

1993年『ジュラシック・パーク』(監督:スティーヴン・スピルバーグ/)

でグラント博士を演じたサム・ニール/

 

カウボーイの弟夫妻を、

夫役=クリス・クーパー/妻役=ダイアン・ウィースト

 

そして、落馬事故を体験した少女役を、本作で国際的評価を得たばかりでなく、

本作の20年後の2018年と2019年には「世界で最も稼いだ女優」と言われた

スカーレット・ヨハンソン/が演じています。

筆者個人的にはフェルメールの絵画を題材にした

2003年『真珠の首飾りの少女』(監督:ピーター・ウェーバー/)

の「元絵にそっくり」ぶりが印象に残っています。

 

監督は、主演者でもあるロバート・レッドフォード/が務めました。

ちなみに監督業としては、

1980年『普通の人々』(出演:ドナルド・サザーランド/ほか)

でアカデミー監督賞を受賞しています。

 

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物語の中にハーマン・メルヴィル/なる人物が登場しています。

はて、どこかで耳にしたような気がする名前だが・・・

えぇ、名作『白鯨』を書き上げた小説家ハーマン・メルヴィル/です。

 

お話はこんな展開になっています。

~1850年、アメリカの新進作家ハーマン・メルヴィルはトーマスと

 いう男を訪ねた。

 トーマスはかつて歩厳選エセックス号に乗り組み、巨大な白い

 マッコウクジラと戦った人々の最後の生き残りだった~

 

ちなみに、そのハーマン・メルヴィルの生没年は1819年-1891年と

されていますから、1850年とはメルヴィルの30歳頃のこととなります。

また、獲物であるマッコウクジラのことは、こんな説明になっています。

~この鯨の「龍涎香」(腸内結石)が、抹香(焼香で使うお香)に似た香りを

 持っていることから、「抹香鯨」の名になり、現生鯨類全体でも

 ナガスクジラ科とセミクジラ科に次ぐ大きさを持つ。

 また歯のある動物では世界最大である~

 

横道に逸れましたが、

~語るのを渋るトーマスから当時の壮絶な実話を聞き出すメルヴィル~

そのトーマスの靴から語られたのは、

~1年以上の航海でもなかなか鯨油を集められない(当時の捕鯨は鯨油採取が目的)

 エセックス号は、噂を頼りに南米大陸から2000マイル(3700KM)以上

 離れた未知の海域に乗り出した~

そして、

~マッコウクジラの大群を見つけて色めき立つ船員たちだったが、群れを率いて

 いたのは巨大で凶暴な白鯨だった。

 船員たちは白鯨に銛を打ち込むも、逆襲され船は沈没シ、3艘のボートに

 分乗した船員たちは、僅かな水と食料で漂流を始めた~

 

船員たちは途中で無人島にたどり着くのですが、そこから先はとても語れない

凄まじい地獄絵のような現実が待っていたのです。

1年後にメルヴィルは、取材した実話ではなく、そこから膨らませアレンジした

フィクションとして小説『白鯨』を出版したのでした。

 

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「白鯨との戦い」 2015年 監督:ロン・ハワード/  

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出演は、オーストラリアの俳優、映画プロデューサーでもあり、

2009年『スター・トレック』(監督:J・J・エイブラムス/)

でカーク船長の父親を演じたクリス・ヘムズワース

 

捕鯨船エセックス号の乗組員の一人に、

2023年『オッペンハイマー』(監督:クリストファー・ノーラン/)

でAW主演男優賞に輝いたキリアン・マーフィー

 

同じくエセックス号の乗組員に、

2017年『エジソンズ・ゲーム』(監督:アルフォンソ・ゴメス・レホン/)

などのトム・ホランド/

 

後に小説『白鯨』を発表することになえう小説家ハーマン・メルヴィル役には、

2015年『007 スペクター』(監督:サム・メンデス/)

で、Qを演じたベン・ウィショー

 

そのメルヴィルに自分の体験を放し伝える老人、

2003年『コールド マウンテン』(監督:アンソニー・ミンゲラ/)

などの名脇役の一人であるブレンダン・グリーソン/

 

監督は、

2001年『ビューティフル・マインド』(出演:ラッセル・クロウ/ほか)で

アカデミー賞監督賞を受賞したロン・ハワード/が務めました。

 

 

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~あなたは風のごとく、私はライオンのごとし。

 あなたは嵐を巻き起こし、砂塵は私の眼を刺し、大地は渇き切っている。

 私はライオンのごとく己の場所に留まるしかないが、あなたは風のごとく

 己の場所に留まることを知らない~

 

これは、北アフリカを拠点として生活を営む部族の、実在した族長ライズリー

から、アメリカ合衆国第26代大統領セオドア・ルーズベルト(1858-1919年)に

宛てた手紙の一節であり、また本作タイトルもここからきています。

 

では、アメリカ大統領と遥か北アフリカに住む一族長との関りは?

本作で描かれるのはそこについてです。

ごくごく簡単になら、こんな説明になるのでしょうか。

 

~1904年、モロッコの港町タンジールでの出来事。

 馬群となって襲撃した賊一味は、アメリカ人である女性と子供2人だけは

 殺さずに連れ去った。

 アメリカ国内ではこれが、大統領まで巻き込む大きな国際問題にまで発展し、

 そこに様々な人間の思惑が重なって・・・~

 

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「風とライオン」 1978年 監督:ジョン・ミリアス/  

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 キャンディス・バーゲン/ショーン・コネリー/

 

族長ライズリー役は、

1987年『アンタッチャブル』(監督:ブライアン・デ・パルマ/)

でAW助演男優賞に輝いたショーン・コネリー

少し古い映画ファンには「007初代ジェームズ・ボンド」と

言った方が分かりやすいのかもしれません。

 

誘拐されたアメリカ人女性には、

1966年『砲艦サンパブロ』(監督:ロバート・ワイズ/)

で知性溢れる美貌を披露したキャンディス・バーゲン

筆者的にはイングリッド・バーグマン/のような

「美貌の大女優」を期待しましたが、時代のせいもあったのか、

残念なことに、これはという作品には恵まれなかった印象です。

 

アメリカ大統領ルーズベルトには、

名優ブライアン・キース

容姿だけでなく、本人の雰囲気まで巧みに醸し出しています。

 

さらには監督としても大作名作佳作を連打したジョン・ヒューストン

1948年『黄金』(出演:ハンフリー・ボガート/ほか)

では、アカデミー監督賞と脚色賞を同時受賞しています。

 

その他にも、特徴ある風貌のジェフリー・ルイス

女優ジュリエット・ルイス/の父親です。

 

監督は、

1973年『デリンジャー』(出演:ウォーレン・オーツ/ほか)

を監督デビュー作品としているジョン・ミリアス/が務めました。

 

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かつてのアメリカには、女子選手によるプロ野球リーグがありました。

1943年から1954年までの12年間という短期間でしたが、延べ10チームが創設され、

「全米女子プロ野球リーグ」(All-American Girls Professional Baseball League)

に参加しました。

 

ただ、まだまだ女性に対する意識が、現代ほどには高まっていない時代のこと

ですから、「プロ野球」とはいうものの、その技術の巧拙だけではなく、

そこはしっかり「見世物」的な要素も配慮されたようです。

 

そして、それぞれの女性は様々な事情を抱えながら選手を目指したようで、

それが原題の「A League of Their Own」(自分たち自身のリーグ)という言葉で

表されているのかもしれません

そうした各々の「家庭の事情」についても、本作は巧みな語り口で取り上げています。

 

その辺りを「お涙頂戴」式のドロドロではなく、軽いユーモアまで交えながら

割合サラリとした描き方にしているのも、筆者的には好感でした。

 

もちろん登場人物には、そのモデルになった人物がいて、その辺は多少の

デフォルメをまじえて描いています。

本編の最終部分では、当時のチームで活躍した「本人たち」も登場します。

 

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「プリティ・リーグ」 1992年 監督:ペニー・マーシャル/  

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 ジーナ・デイヴィス/トム・ハンクス/マドンナ/

 

出演は、新設チームの監督役に、後の作品の

1993年『フィラデルフィア』(監督:ジョナサン・デミ/)

1994年『フォレスト・ガンプ 一期一会』(監督:ロバート・ゼメキス/)

で、2年連続のAW主演男優賞に輝いた名優トム・ハンクス

 

チームのリーダー的存在となるのが、

1988年『偶然の旅行者』(監督:ローレンス・カスダン/)

でAW助演祷優勝を獲得したジーナ・デイヴィス

 

さらには、選手の一人として、「世界で最も成功を収めた女性音楽家」

とも紹介されることがあるマドンナ

同じく選手の一人に、

2001年『ジュラシック・パークIII』(監督:ジョー・ジョンストン/)

などのティア・レオーニ

 

助演で、デヴィッド・ストラザーン/やビル・プルマン/なども

登場していました。

 

監督は、

1990年『レナードの朝』

    (出演:ロバート・デ・ニーロ/ロビン・ウィリアムズ/ほか)

などの女性監督ペニー・マーシャル/が務めています。

 

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映画邦題が『許されざる者』と言った場合、少なからずの方が

1992年『許されざる者』(監督:クリント・イーストウッド/)

を思い浮かべるところでしょうが、実は1960年製作の本作も

実は同じ邦題の『許されざる者』です。

 

ただ、ジャンルが西部劇という点では共通していますが、相互の

作品の間には続編とかリメイクとかの関連はなく、キッチリ独立した

全くの別作品です。

 

また原題は、1992年作品が(原題:Unforgivenとされ、

後者の1960年作品は(原題: The Unforgiven )となって、

微妙に異なっています。

 

今回ここで取り上げたのは、

~1960年公開のアメリカ映画で、バート・ランカスターと

 オードリー・ヘプバーンが主演し、ジョン・ヒューストンが監督した

 西部劇映画『許されざる者』(原題: The Unforgiven )~

の方ですので、お間違えなく。

 

平和に暮らす一家の近所を、怪しい老人がうろつき、ある日、

こんなことを言い募ります。

~お前のウチにいる女にはインディアンの血が流れている~

 

噂が広まるのを嫌ってひっそりと日々を送る一家の前に、やがて、

カイオワ族の首領が表れて、こう言います。

~幼き日に別れた妹を返せ~

それに対し、一家の長は、

~妹は白人だ~と、その要求をきっぱり拒絶するのでした。

 

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「許されざる者」 1960年 監督:ジョン・ヒューストン/  

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 バート・ランカスター/オードリー・ヘプバーン/

 

一家の長にバート・ランカスター

同年の『エルマー・ガントリー/魅せられた男』(監督:リチャード・ブルックス/)

でアカデミー主演男優賞を獲得した大スターです。

 

疑惑の目を向けられる女性には、

1953年『ローマの休日』(監督:ウィリアム・ワイラー/)

の初々しい演技で見事にでアカデミー主演女優賞を獲得した

オードリー・ヘプバーン

 

脇を固める俳優陣がこれまた豪華で、

第二次世界大戦中には軍人として多数の勲章を受章し、その後に

映画界へ入ったオーディ・マーフィー

 

1973年『燃えよドラゴン』(監督:ロバート・クローズ/)

での、ブルース・リーとの共演が印象付会ジョン・サクソン

 

1958年『大いなる西部』(監督:ウィリアム・ワイラー/)

の西部男像で強烈な印象を残したチャールズ・ビッグフォード

 

サイレント映画を代表する大作1915年『國民の創生』

(監督:D・W・グリフュス/)や

1916年『イントレランス』などのD・W・グリフィス監督品にも

出演した大女優リリアン・ギッシュ

 

その他にも、アルバートサルミ/や若き日のダグ・マクルーア

なども出演しています。

 

 

監督は、

1948年『黄金』(出演:ハンフリー・ボガート/ほか)

でアカデミー監督賞・脚色賞を受周したジョン・ヒューストン/が

務めました。

1951年『アフリカの女王』(出演:ハンフリー・ボガート/ほか)

1956年『白鯨』(出演:グレゴリー・ペック/ほか)

など、印象深い作品を数多く監督しています。

 

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第二次世界大戦中の1943年、大学を卒業したばかりの青年が少尉として

アメリカ海軍の老朽駆逐艦ケイン号に配属されます。

戦闘任務を希望していた新任少尉にはこの艦での掃海任務は不本意であり、

またがさつで規律の崩れた乗組員や、横柄な態度の艦長にも

馴染めませんでした。

 

そんなところへ艦長が転属となり新しい艦長の着任です。

新しい艦長は、艦全体の規律を取り戻すために、乗組員に対して厳格な

態度を崩すことなく、容赦ない訓練を課すのでした。

ところが、そうした艦長の行動は、乗組員たちにとっては、ともすれば

自分のミスを部下たちに擦り付けたようにも感じられるでした。

 

そうした新艦長の命令や行動に対し、副長は従順に従ってはいますが、

内心では新艦長への不信感が募っていきました。

そんな副長に親友の大尉が話をきり出したのです。

小説家志望ということもあって豊富な知識を備えた人物です。

 

~大事に至らないうちに、海軍規定に従って艦長の任を解き副長である

 君が艦長としての指揮を執るべきだ。

 艦長には明らかに偏執症(パラノイア)の徴候が見受けられる。

 君も内心ではそう感じているだろう~

 

副長は取合おうとはしなかったものの、万が一に備えて艦長の異常行動を

密かに日誌に記し始めるのでした。

そんな矢先、艦は猛烈な台風に遭遇してあわや転覆の危機に陥ります。

ところが、この時の艦長の行動は、副長からすれば取り乱した挙句に

一時的に心神喪失状態となり、操艦もおぼつかなくなってしまったように

判断されました。

 

そこで副長は艦長を解任し、自ら指揮を執ることで嵐を乗り切った

のですが、帰還後にこの行動が「反乱行為」と見做されて軍法会議に

かけられることになったのです。

 

その時の艦長の命令は正常な心理状況のもとで下されたものだったのか。

また、そうした艦長を解任し自ら指揮を執った副長の行動は規律違反では

なかったのか。

「軍法会議」は次第に意外な真相を浮かび上がらせていくのでした。

 

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「ケイン号の反乱」 1954年 監督:エドワード・ドミトリク/  

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フレッド・マクマレイ/ヴァン・ジョンソン/

             ハンフリー・ボガート/

 

出演は、クセのある艦長役に、

1951年『アフリカの女王』(監督:ジョン・ヒューストン/)

で、AW主演男優賞を獲得した名優ハンフリー・ボガート

 

1954年『雨の朝巴里に死す』(監督:リチャード・ブルックス/)

で、エリザベス・テイラーの相手役を務めたヴァン・ジョンソン/が

本作の「副長」役を演じました。

 

小説家志望の大尉役には、

1944年『深夜の告白』(監督:ビリー・ワイルダー/)

などのフレッド・マクマレイ

 

新任少尉役には、

1954年『長い灰色の線』(監督:ジョン・フォード/)

ロバート・フランシス

アメリカ青年像を演じるにふさわしい清々しさを備えた俳優で、

将来を嘱望されていましたが、残念なことに飛行機の墜落事故で、

なんと25歳の若さで亡くなっています。

 

この他にも、軍法会議の場面になると、検察官にE・G・マーシャル

弁護人にホセ・フェラー/などの名優が登場し、画面を

引き締めています。

 

また、がさつな乗組員の役を、日にAW主演男優賞を獲得する

ことになる若き日のリー・マーヴィン/や

個性派俳優のクロード・エイキンズ/などが演じていることも

確認できます。

 

監督は、

1954年『折れた槍』(出演:スペンサー・トレーシー/ほか)

エドワード・ドミトリク/が務めました。

 

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原題は「The Burial」、直訳なら「埋葬」ということで、本作の

邦題はもう少し穏やかな表現で「眠りの地」になっています。

 

物語は、ミシシッピー州で代々続く葬儀屋がその家業を巨大企業から

守るために、やり手で口達者な黒人弁護士に目を付けて、雇おうと

するところから始まります。

 

ところが、その弁護士は首を縦に振ろうとはしません。

専門外の弁護であることと、白人の弁護をこれまでやったことがない

からというのがその理由です。

 

中に入った人間の必死の説得もあって、遂には弁護業務を受ける

ことになったのですが、正反対の性格を備えた二人はなにかにつけ

ソリが合いません。

 

しかし、少しづつ企業の腐敗や人種的不公正を暴いていくことで、

徐々に溝は埋まっていき、さらにはその絆も次第に強まっていく

のでした。

実話をもとにして描いているとされる社会派ドラマです。

 

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「眠りの地」 1978年 監督:マーガレット・ベッツ/  

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 ジュエミー・フォックス/トミー・リー・ジョーンズ/

 

出演は、葬儀屋を営む男に、

1993年『逃亡者』(監督:アンドリュー・デイヴィス/)

で、助演男優賞を獲得した以外にも、何度かAW演技賞の

ノミネート経験を持つトミー・リー・ジョーンズ

 

その裁判の手助けをする敏腕黒人弁護士役には、

2004年『RAY/レイ』(監督:テイラー・ハックフォード/)

で、リズム・アンド・ブルースの巨人レイ・チャールズを

演じて、見事AW主演男優賞に輝いたジェイミー・フォックス

 

その他にも、

1983年『ライト・スタッフ』(監督:フィリップ・カウフマン/)

で、宇宙飛行士になるゴードン・クーパー(演:デニス・クエイド/)

の妻役を演じたパネラ・リード/も出演しています。

 

監督は、

2017年『クローズド・ガーデン』(出演:メリッサ・レオ/ほか)

などを手掛けているマーガレット・ベッツ

詳しいことはよく知りませんが、また、名前の「マーガレット・ベッツ」に

ついては「マギー・ベッツ」と表記されることもあるようです。

   

 

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本作はこんなところから始まります。

~ある日、シアトル市立自殺防止協会に一本の「電話」がかかってきた。

 とある中年の女性からのもので、電話を受けた宿直のアルバイト学生は

 たちまち青ざめるのだった。

 女性は夫との不和から睡眠剤の致死量を飲んだという。

 しかし、住所やその他一切のことははっきり聞きとれぬ状態だった~

 

では、タイトルの『いのちの紐』って何のこと?

その答えは「電話線」に繫がった卓上電話機のことで、それによる

通話が途絶えてまうことは、すなわち通話の主である女性の命も

絶えることになるからです。

 

~アルバイト学生は女性との会話を続けて、なんとかして住所を聞き出そうと

 努めながら、一方では彼女の生命を救う手配をしなければならなかった。

 時間と共に、大勢の人間がアルバイト学生に加わって、女性の生命を

 救うべく戦いが始まった~

 

同時に、一刻も早く女性の所在地を特定し、さらにはそこへ救命チームを

送り込まなければならないのですから、神経の磨り減るやりとりが続きます。

しかし、その「いのちの紐」を通じた女性の声は、

~次第にか細いものになっていき、ついには聞こえなくなった~

 

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「いのちの紐」 1965年 監督:シドニー・ポラック/  

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 シドニー・ポアチエ/アン・バンクロフト/

 

アルバイト学生役には、

1963年『野のユリ』(監督:ラルフ・ネルソン/)

で、黒人俳優のアカデミー主演男優賞受賞という歴史的快挙を成し遂げた

シドニー・ポワチエ

 

自殺を計った女性には、

1962年『奇跡の人』(監督:アーサー・ペン/)

で、これまた、AW主演女優賞を獲得したアン・バンクロフト

 

その他にも、TVドラマ『刑事コジャック』のテリー・サバラス

TVドラマ『スパイ大作戦』の第1シーズンでリーダーの

ダン・ブリッグス役を演じたスティーヴン・ヒル

また、1999年『プロポーズ』(監督:ゲイリー・シニョール/)

などのエドワード・アズナー/などが共演しています。

 

監督は、

1985年『愛と哀しみの果て』(出演:メリル・ストリープ/ほか)

で、アカデミー作品賞とアカデミー監督賞を受賞したシドニー・ポラック

俳優としても、

1999年『アイズ ワイド シャット』(監督:スタンリー・キューブリック/)

など数多くの出演作品があります。

 

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物語の内容は、比較的シンプルな構成になっています。

~かつてはロデオで名を馳せたが、現在は落ちぶれ、馬の調教師で生計を

 立てる老カウボーイが、る日、牧場主から仕事を依頼されます。

 「メキシコに住む息子を連れて来れば報酬5万ドルを払う」~

で、早速メキシコに向かうという展開です。

 

正直なところ、あまり食欲のそそらないタイトルでした。

それぞれを分けて捉えるなら、

「クライ」(cryとは、叫ぶ、泣く、鳴く、ほどの意味でしょうし、

また、「マッチョ」(machoとは、

男らしい男、ムキムキ筋肉体形の男、ほどの意味になりそうですから、

相互のイメージにはなんとなくの齟齬感があり、別の言葉なら

座りの悪い組み合わせ、という思いを覚えたからです。

 

ただ、そう感じたのは何も筆者だけでなかったようで、ネットには

同系統の質問がいくつか挙がっていました。

それらも参考にすると、本タイトルには二重の意味合いがあるとの

ことです。

 

1>メキシコ少年が飼っている雄鶏の名が「Macho」で、

  それが鳴く「Cry 」。

2>感情を表に出さないのを良しとする(男らしい男)マッチョに

  対し、「泣け」(感情を表に出せ)と言っている。

 

ということだとすると、1>の場合のマッチョは雄鶏で、

2>の場合だと、マッチョは老カウボーイってことになるのかしらん。

 

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「クライ・マッチョ」 2021年 監督:クリント・イーストウッド  

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出演は、少年をメキシコから連れ帰る老カウボーイ役に、

クリント・イーストウッド

俳優であり、映画監督、映画プロデューサー、作曲家でもあり、

オマケに、一期だけでしたが市長を務めたこともある多彩な

スーパースターです。

 

少年を手元に置きたい父親役には、

1996年『スリング・ブレイド』(監督:ビリー・ボブ・ソーントン/)

2002年『パニック・ルーム』(監督:デヴィッド・フィンチャー/)

などのドワイト・ヨアカム

グラミー賞に21回ものノミネート(2度受賞)の実績を誇る

カントリー歌手であり、俳優はもちろん、映画監督まで務めたことが

ある人物です。

 

監督は、

1992年『許されざる者』(出演:クリント・イーストウッド/ほか)

2004年『ミリオンダラー・ベイビー』(出演:クリント・イーストウッド/ほか)

で、AW作品賞と同監督賞を2度受賞したクリント・イーストウッド/が

務めました。

 

アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。

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